「卯」の音も出ない! 作:藤井青銅(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : 「卯」の音も出ない!
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B
  • 分類 : コント
  • 初出 : 1998年12月21日~12月24日
  • 回数 : 全4回(各回15分)
  • 作  : 藤井青銅
  • 演出 : 松本順
  • 主演 : 筧利夫、渋谷琴乃

銀河連邦からこの星に派遣され、人間が間違った方向に進まないか、近い将来この星を銀河連邦に入れても大丈夫か、を監視するのが我々の役目である。
そう我々は監視員。
今年も、1年間、虎(寅)に扮してこの星を見守ってきた監視員から、来年、兎(卯)に扮する監視員に引き継ぎを行う時期がやって来たのだ。
いい時だけチヤホヤする飽きっぽい性格、行き当たりばったりの経済運営、物質的な満足のみを追い求め心の満足に気づかない、そして自ら文化を育てようとしない…
この国の人々の性質は少しは変わったのだろうか。


干支シリーズ第6弾

1993年から2009年までの長きに亘って、青春アドベンチャー年末の恒例だった「特集・青春アドベンチャー・干支シリーズ」(ただし本作品の頃にはまだ「干支シリーズ」というシリーズ名は付いていない)。
本作品はその第6弾で、1998年の年末に放送されました。

通常より1回少ない全4回

内容は例年どおり、1998年の1年間に起こった出来事を、コント仕立てにして面白おかしく振り返るというものです。
毎日、「スポーツ」、「政治経済」などのテーマがあるのですが、通常全5回で放送されるところ、この年は例外的に全4回で放送されたため、例年ある「文化・芸能」が1回にまとまっています。
本作品で取り上げている1998年の主な出来事は以下のとおりです。

第1回:スポーツ

横浜フリューゲルスの合併・消滅」「大相撲の人気低下」「原田・涙の大ジャンプ」「サッカーワールドカップ・フランス大会

スポーツの話題の多かったこの年でトップに取り上げられたのはなぜか「フリューゲルス」問題。
フリューゲルスはこの放送の後の1999年1月1日に、見事、天皇杯で優勝して有終の美を飾ることになりますが、経緯に納得できない一部のサポーターが「横浜FC」の設立に動くことになります。
この動きで中心的な役割を果たした辻野臣保さんは、青春アドベンチャーでは1993年に「ハリーとアキラ」の脚本を書いた方です。
この回のエンディング流れた12年前のヒット曲は、中森明菜さんの「TANGO NOIR」。

第2回:政治・経済

小渕首相の存在感」「地域振興券発行決定」「銀行の貸し渋り

公明党の強い要望により実現した地域振興券。
終わってみれば、地域振興券の効果は限定的だったとの評価も根強いですが、この記事をアップする前年の2015年には「プレミアム(割増)付き商品券」なる制度が再び登場。
こちらは2014年度補正予算の「地域消費喚起・生活支援型」の交付金を活用した事業で、国費はプレミアム部分のみの投入であり、スキームも全く違いますが、推薦した政党は同じらしい。
果たして歴史的な評価はどのようになるのでしょうか。
この回の12年前のヒット曲は、徳永英明さんの「輝きながら」。

第3回:社会的な出来事

ノストラダムスの予言の年」「郵便番号の7桁化・携帯電話の11桁化」「バイアグラ

そういえば個人のメールアドレス所有が一般化したのもこの頃でした。
また、一昔前にはあれだけ騒いだ「1999年7の月」でしたが、さしたる騒ぎもなく通り過ぎていきました。
ちなみに、ノストラダムスの大予言をネタにした「笑う世紀末探偵」が青春アドベンチャーで放送されるのは翌年の1999年になります。
この回のだじゃれである「アンゴラウサギのモア」(=アンゴルモア)と「ノストラの息子」(=ノストラダムス)はかなり苦しいですが、「三倍・胡座(さんばい・あぐら)」は笑ってしまいました。
エンディングの12年前のヒット曲は、森川由加里さんの「SHOW ME」。

第4回:文化・芸能

映画タイタニック」「Mr.ビーン」「松田聖子電撃再婚・郷ひろみ電撃離婚
今となっては結局、松田聖子さんは誰と結婚して、誰と離婚したのが、よくわからなくなってしまったのですが、当時はまだ松田聖子さんの結婚・離婚がそれなりのニュースバリューがありました。
1980年代の松田聖子さんは本当に凄かったですからね。
最終回のエンディング曲は、マイケル・ジャクソンの「バッド(Bad)」。

主演は筧利夫さんと渋谷琴乃さん

メインの出演者は例年どおり2名。
前年の監視員である“寅”(トラ)を俳優の筧利夫さんが、翌年の監視員である“卯”(ウサギ)を女優の渋谷琴乃さんが演じています。
青春アドベンチャーにおける筧利夫さんといえば1994年の「紅はこべ」、そして2018年スタートの「ぼろ鳶組シリーズ」ですが、干支シリーズでは恒例どおり本年と1年前の「タイガーにしなさい!」の両方に出演されています。
また、「天使のリール」や「新宿鮫・氷舞」にも出演されている渋谷琴乃さんも、筧さんと同様に本年と1年後の「辰のお年頃」の双方に出演。
この頃の干支シリーズは、この「1年ダブりリレー方式」を忠実に守っていました。

【年忘れ青春アドベンチャー・干支シリーズの一覧】
干支一巡を大きく上回る17年間も続いた、青春アドベンチャーの年末の風物詩「干支シリーズ」の一覧はこちらです。

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青春アドベンチャーの長い歴史において、最も多くの脚本と最も多くの笑いを提供しているのが脚本家・藤井青銅さんです。こちらに藤井青銅さん関連作の一覧を作成していますので、是非、ご覧ください。

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