檻の中の殺意 原作:テリー・ブラジンスキー(アドベンチャーロード)

格付:AA
  • 作品 : 檻の中の殺意
  • 番組 : アドベンチャーロード
  • 格付 : AA
  • 分類 : サスペンス
  • 初出 : 1985年4月22日~5月3日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : テリー・ブラジンスキー
  • 脚色 : 有高扶桑
  • 演出 : 峯岸透
  • 主演 : 松橋登

野生動物の本当の姿は野生でしか見ることができない。
それが動物学者としてのスティーブの主張であり、長年、サンフランシスコ動物公園の園長を務める父とは最近は喧嘩ばかりだ。
しかし父が倒れ、嫌々、動物園の園長代理となって改めて感じるのは、自分の原点はやはりこの動物園であったということ。
何より動物が好きだし、動物園もより良いものにしていきたい。
そう心に誓ったスティーブだが、着任早々、カモシカが不審な死を遂げる。
そして送られてきた不吉なメッセージ。
「園長、お前は俺の天使たちを閉じ込め虐待している。こんなことが続いて良い訳がない。カモシカは解放された。次はどの天使の番かな」



本作品「檻の中の殺意」はテリー・ブラジンスキー原作のサスペンス小説を原作とするラジオドラマで1985年にアドベンチャーロードで放送されました。
アドベンチャーロードは1985年4月スタートの番組ですので、同番組としては2作品目というごく初期の作品ということになります。

マイナーな作品にも…

さて、本作品の原作者であるテリー・ブラジンスキー(Terry Brykczynski)ですが、ネットで検索しても来歴はほとんどわかりません。
邦訳されているのは本作品だけのようですし、英語で検索しても著書として出ているのは本作品の原題である「Caged」の他には「The Armchair Angler」くらいしかありません。
最近青春アドベンチャーで立て続けに海外冒険小説の名作として知られている「シャドー81」や「深夜プラス1」を放送したように、NHK-FMは有名作家の傑作として世に知られている作品をオーディオドラマ化することもあるのですが、1作しか有名でないマイナーな海外作家の良作を採用することも多いです。
1980年代~1990年代では「最後の惑星」とか「北壁の死闘」、「A-10奪還チーム出動せよ」などでしょうか。
本作品も全く世に知られていない作家の作品ですが、なかなかの良作です。

ジャンルは?

ではどこが良作かというと、まずストーリーの方向性が全く分からないのがいい。
動物学者が主人公で動物園から物語は始まるのですが、これだけならば冒険もののスタートにも見えます。
しかし聞いていくとどこか不気味な事件が連続しサスペンスあるいはホラー的な雰囲気に。
そして事件の度に謎めかした犯行予告が送られてくるあたりはミステリー的でもある。

古臭さは否めない

ラジオドラマとしても、どこか前衛的な音楽やナレーションのない脚本、ごくシンプルで武骨とも言って良い飾り気のない効果や演出が相まって、なんともとらえどころのない作品になっています。
なお、この演出、明らかに古臭さを感じますし、わかり安さ重視の昨今の演出に慣れていると素人お断り的な突き放したような印象も受けるのですが、しばらく聞いていると「ラジオドラマの演出なんてこれでいいんじゃないか」と思えてくるのが不思議です。

こんな素材でも十分サスペンス

そう思って聴くと、完全にいっちゃっている犯人もイイ感じですし、その犯人が毎回送ってくる不気味ながらもポエム感満載の犯行予告もイイ。
大体、動物園で動物が殺される、という何だかよく分からないファクターの一点突破で緊張感のあるサスペンスにしているだけでも大したものだと思います。
そして犯人が捕まって以降にもうひと山ある構成も面白い。
エンディングは若干陳腐ですし、犯人の動機もわかったようなわかんないようなものですが、なかなか楽しめる展開で、名作として知られている訳ではなくてもエンタメ作品として十分な水準にあると感じました。

出演者

主人公のスティーブ・クーパー役は俳優の松橋登さん。
同時期の「女たちは泥棒」でも主演されていました。
その他、内田稔さん、加藤和夫さん、高田敏江さん、土井美加さんなどが主な出演者です。


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