高倉酒店で会いましょう 作:葉月けめこ(FMシアター)

格付:B
  • 作品 : 高倉酒店で会いましょう
  • 番組 : FMシアター
  • 格付 : B
  • 分類 : 日常
  • 初出 : 2018年9月15日
  • 回数 : 全1回(50分)
  • 作  : 葉月けめこ
  • 音楽 : 田頭勉
  • 演出 : 真銅健嗣
  • 主演 : 横内正

「角打ち」(かくうち)とは、北九州地域で見られる簡易な酒場で、酒店の一角に立ち飲みができるスペースをつくり酒店で販売している酒を酔客に供する店のことをいう。
ここ北九州・小倉の角打ち「高倉酒店」は、地元の老人が日中から酒を飲みに集まる老人のパラダイスだ。
今日も今日とて、老人たちが愚痴を言ったり叱ったり叱られたりしながら楽しく酒を飲んでいる。
そんなある日、この高倉酒店に目が覚めるような美女が現れた。
すらっとした背丈の彼女はメーテル似のまさに銀河系美女。
当然、常連の老人たちは色めき立ったのだが、最近、近所では老人が若い女に美顔器を売りつけられる詐欺があったばかり。
大丈夫なのか?


本作品「高倉酒店で会いましょう」は北九州出身の脚本家・葉月けめこさんによるオリジナル脚本のラジオドラマです。
葉月さんの作品としては、第45回創作ラジオドラマ大賞の佳作を受賞した「春を待つ音」が2017年7月に放送されていますが、今回紹介する「高倉酒店で会いましょう」と「春を待つ音」は、福岡県を舞台としていること、都会から女性がやってくることなど比較的似通った要素を持つ作品です。

ラジオドラマらしい導入

さて、本作品はまず老齢の男性がひとりで炊事・選択などの家事を行っているシーンからスタートします。
背後でラジオが流れていることで自然と舞台が北九州であることがわかる親切設計である一方で、なぜ老人が一人で家事をやっているのか、老人が独り言で語りかける「すずさん」が誰なのか等、敢えてぼかされていることもあり、先を聞きたいという興味をかき立てられる良い導入部だと思います。

角打ちってご存知?

そしてその後「角打ち」を舞台とした冒頭の紹介文のとおりの物語が展開していきます。
「角打ち」という言葉、九州以外、特にお酒を飲まない人の間ではあまりなじみのない言葉ですが、酒屋の一角を立ち飲みスペースとしている業態です。
あくまで「酒の販売」+「無料の飲食スペースの提供」という建て付けなので、料金水準は居酒屋のそれではなく小売店価格準拠というお財布に優しいお店。
ただし、飲食業関係の許可はとっていないので、その意味ではグレーな業態ともいえるのですが、北九州などでは観光資源として積極的にPRもしているため、「せんべろ」(1000円でベロベロになるまで酔える店)などと同じような酒飲みワードとして、北九州地域以外にもそれなりに広まりつつあるようにも思います。
とにかく、「角打ち」といえば福岡、特に鉄鋼の街であった北九州が本場なわけで、本作品は北九州の風俗に密着したご当地ドラマと言えます。

出演者もご当地色濃厚

出演者についても、方言指導を兼ねる準主役級の多田野曜平さんが北九州市出身であるほか、萩尾みどりさん、松熊つる松さん、矢崎文也さん、柴田義之さんが北九州又は福岡県内のご出身と、ご当地色が濃厚。
なにより主演の横内正さんが北九州(若松区)育ちとのこと。
横内さんと言えば時代劇「水戸黄門」の初代・格さん(渥美格之進)として有名ですが、公式HPの写真拝見すると「偽黄門様?」と言いたくなるようなうさん臭いひげ姿。
ですが、お声を聞くと(「王女アストライア」の頃に比べればかなり低音にはなりましたが)良く響くいい声が健在なのは嬉しいですね。

松本零士さんもね。

ご当地ついでにもうひとつ紹介しますと、本作品のヒロインの容姿に例えられているメーテルが登場する作品は当然、松本零士さんの漫画「銀河鉄道999」な訳ですが、松本さんも実は福岡出身(ただし北九州ではなく久留米)。
ここまで地元職が濃厚だと北九州局の制作なのかと思ったのですが、本作品も「春を待つ音」と同様に本局の制作のようです。

いつものFMシアター

さて、作品のストーリーを端折ってきてしまいましたが、簡単に言うと、まあアレですよ、ちょっとした事件が起きて、ちょっとした謎が解き明かされてハッピーエンド。
主人公たちが老人なのでそれなりに事情があるのは当たり前ですし、ヒロインの女性が都会からやってきた理由にもあまり捻りはありません。
そもそも都会から来た女性の職業が「ファッション雑誌の編集者」というものコテコテですよね。
つまりは、いつものFMシアターらしい作品です。

からっとしていて好印象

ただ、「春を待つ音」よりライトな雰囲気で聞きやすいこともあり、決して悪い印象のストーリーではありませんでした。
具体的には、FMシアターお得意の「老い」や「痴呆」を扱っている側面もあり、全体に「家族の問題」の存在が見え隠れもするのですが、どろどろとした展開になることはありませんし、そもそも、メインストーリーにはあまり影響がありません。
なにより悪態をつきつつも、リタイア後を毎日楽しく過ごしている老人たちの言動がからっとしているのが好印象でした。
でもまあ、私はこういう作品はたまにでいいかな。


本作品は当ブログが実施した「2018年FMシアター・特集オーディオドラマ人気投票」の第2位(「通い猫アルフィーの奇跡」と同点)の作品です。




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