- 作品 : 少年探検隊
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : C
- 分類 : 多ジャンル(その他)
- 初出 : 1994年2月14日~2月25日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : 池内紀
- 脚色 : 伊佐治弥生
- 演出 : 角岡正美
- 主演 : 加藤健一、小田茜
ドイツ文学者でエッセイストの池内紀(いけうち・おさむ)さんの随筆「少年探検隊」をベースとする作品です。
「少年探検隊」というタイトルからは、少年がどこか遠くに出かけて大冒険をする、といった児童向きの文学作品が想像されます。
確かに本作品は児童文学を取り上げているのですが、タイトルから一見想像されるようなオリジナルのフィクション作品ではなく、大人向きの一種のエッセーです。
実は、この記事の直前に取り上げた「少年漂流伝」も、タイトルから連想されるものと内容がかなり違いファンキーな作品でした。
2作続けてアクの強い作品を紹介しましたが、次に紹介する「妖怪博士と少年探偵団」はちゃんと少年向きの作品ですので、ご容赦ください。
出演者ふたりを通して
さて、本作品の構成は、毎回、児童文学の名作とされている作品を1作品ずつ取り上げ、その粗筋をなぞるとともに、作者である池内さんの体験(と思われる内容)を織り交ぜていきます。
その過程で、出演者である加藤健一さんと小田茜さんの口を通して、池内さんの感想や作品から連想される事項についての意見が語られていく形式です。
私の勝手な解釈では、加藤さんが池内さん自身、小田さんが子どもである池内さん(あるいは池内さんの感傷そのもの)を担当しているのだと思って聴きました。
前身番組では例あり
このように本作品はドラマではなく一種のエッセイです。
ただし、伊佐治弥生さんによる脚色と感傷的な音楽により、かなりリリカルな雰囲気の作品になっており、一応、ラジオドラマ番組で流されてもおかしくない体裁になっています。
このようにラジオドラマではない作品は、「ふたりの部屋」・「カフェテラスのふたり」・「サウンド夢工房」などの前身番組の時代には比較的多く見られました。
当ブログでも「ザ・素ちゃんズ・ワールド-”ひでおと素子の愛の交換日記”から」をすでに紹介しています。
極めて例外的
しかし、番組が青春アドベンチャーになって以降では、極めて例外的な作品です。
細かい点を見ても、①出演者は二人だけ、②出演者名はドラマ終了後ではなく冒頭でコールされる、③各回の最後は明確な区切りがなく何となく終わる、など青春アドベンチャーの原則的なコードに沿っていない作品です。
制作したのはNHK名古屋局。
名古屋局らしい、尖った企画ですね。
各回の紹介
なお、各回で紹介する児童文学作品は以下のとおりです。
- 家なき子 (エクトール・アンリ・マロ)
- フランダースの犬 (ウィーダ)
- 宝島 (ロバート・ルイス・スティーヴンソン)
- ピノッキオ (カルロ・コッローディ)
- 源平盛衰記 (不明)
- 鉄仮面 (黒岩涙香ほか)
- 黒いチューリップ (アレクサンドル・デュマ)
- クオレ (エドモン・デ・アミーチス)
- 王子と乞食 (マーク・トウェイン)
- 巌窟王、ノートルダムのせむし男、ロビン・フッド、西遊記、ジャングル・ブック、奇巌城、海底二万哩、ああ無情 (第10回は多くの作品が一言ずつ触れられている)
誰もが知っている名作
取り上げた作品の中には「黒いチューリップ」のようにややマイナーなものも含まれていますが、多くは誰もが知っている児童文学の超有名作品です。
しかし、こうして改めて大人の視点で評論されるととても新鮮です。
なお、「源平盛衰記」は児童文学ではありませんが、池内さんはこの作品を「少年の論理」が貫かれている作品と評しています。
それにしても「フランダースの犬」は悲しすぎますね~
まさに美少女
出演者は、俳優の加藤健一さんと女優の小田茜さんのおふたり。
小田さんは、1990年に小学生にして第4回全日本国民的美少女コンテストのグランプリを受賞した方です。
本作品は1994年放送ですので、小田さんが15歳の時の作品ということになります。
正直、「とても上手い!」とは言えない演技ですが、どことも定かではない学校の図書室を舞台とした、せつなく感傷的な少年時代を思い出させる本作品に、美少年を連想させる小田さんの声はとてもあっていると思います。
実際の私の少年時代には、小田さんのような美少女も、美少年もいませんでしたけどね。
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