- 作品 : 踊る21世紀
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B+
- 分類 : コメディ
- 初出 : 2000年10月2日~10月13日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 作 : 藤井青銅
- 演出 : 川口泰典
- 主演 : 海津義孝ほか(下表参照)
「笑うシリーズ」から「踊るシリーズ」へ
本作品「踊る21世紀」は2作品制作された「踊る21世紀」シリーズの第1作なのですが、事実上は1994年から1998年まで制作された「笑う20世紀」シリーズの続編と言って良い位置づけにあります。
この間に挟まれた1999年の「笑う世紀末探偵」だけは続きものの長編作品だったのですが、この「踊る21世紀」で再びオムニバス短編形式に戻り、翌年の「踊る21世紀 Part2」に続きます。
川口組・最後の大集合
一方、この「踊る21世紀」は1990年代後半の青春アドベンチャーを席巻した川口泰典さん演出作品群、あるいは「川口組」ともいえる役者さんの最後の出演作品といってもよいと思います(年末に放送された「2001年巳年の旅」はその性格上、ディレクターと言えども主演を自由に決められない。また翌2001年の「見習い魔女にご用心」はおまけ的に制作されたシリーズの最終作と想定されるため。)
実際、この作品の最終回の最後には青春アドベンチャーでは極めて異例な出演者のカーテンコールがあり、本作品の出演者6名、春風ひとみさん、こだま愛さん、森奈みはるさん、八十田勇一さん、海津義孝さん、橋本さとしさん、が紹介されています。
単にこの作品の最後というだけではなく、川口時代の締めくくりを意識していたのかなと感じてしまいます。
さて、各回の概要等は以下のとおりです。
◆第1話 「地盤相続税」
主演 : 海津義孝
粗筋 : 「地盤」は政治家という職業にとっては大切な資産。ならば相続税の課税が必要だ。
一言 : アイデアは面白いが、兄弟が急に結束してしまうあたりストーリーがいまいち。
◆第2話 「牧場にかける恋」
主演 : 森奈みはる
粗筋 : お年頃の女の子には男を選ぶ権利がある。最初のお坊ちゃんも次のチャラ男も私にはあわないわ。
一言 : 競馬を主人公にした話なのだが、取り立てて目を引く展開ではなくオチも普通。
◆第3話 「プロデュース時代」
主演 : 八十田勇一
粗筋 : 現代は個人プロデュースの時代。サラリーマンだってプロデュサーを付けちゃいます。
一言 : 「どうみてもパッとしない女子」が想定しているのは時代的に華○朋○か、持○香○か。
◆第4話 「イチャツキ判定」
主演 : 橋本さとし
粗筋 : 人前でのイチャツキにも何らかの基準が必要。各界の識者が集まって議論を始めたが。
一言 : 何かの風刺なのかも知れないが、そもそも基準の必要性がぴんと来ない。オチもイマイチ。
◆第5話 「恐怖のシルバーシート」
主演 : 海津義孝
粗筋 : あれは何年前のことになるか。疲れ果てた私が座ったのは山手線のシルバーシートだった。
一言 : 惜しい。コメディに囚われずきちんとホラーにした方が意外性があって面白かったのでは?
◆第6話 「朝のコーラス」
主演 : 海津義孝
粗筋 : 満員電車では注意をするとギスギスしてしまう。どうすれば和やかな雰囲気にできるのだろう。
一言 : これも惜しい。笑いに逃げなければ感動的なラストに持っていける要素があったように思う。
◆第7話 「当世浮世風呂」
主演 : 海津義孝
粗筋 : 文化財級に貴重な存在になってしまった銭湯。存続のためは起死回生の一手が必要だ。
一言 : 官僚主義を風刺しているのかもしれないが、さすがにリアリティを欠く。
◆第8話 「オリンピックでっせ!」
主演 : 橋本さとし
粗筋 : 大阪五輪の誘致のための切り札。それが新競技だ。幸いにも大阪はそのネタには困らないぞ。
一言 : 「相方がぼける前に突っ込むとオフサイド」はわかったような…。オチもまずまず。
◆第9話 「大岡・遠山の”平成裁き”」
主演 : 海津義孝
粗筋 : 八重洲の地下から突然、侍が現れた。彼の名は大岡越前守忠相。いわゆる”大岡越前”だ。
一言 : 「タイムスリップ大岡越前」?大岡越前は海津義孝さん、遠山の金さんは橋本さとしさん。
◆第10話 「24時間の男」
主演 : 今井朋彦
粗筋 : 金物屋業界初の24時間営業。しかし客は集まらない。困った店主はコンサルタントにアドバイスを求めるが。
一言 : 007のテーマが流れる回。007つながりで「00-03都より愛こめて」の直後にこの記事を書いたのは内緒だ。
第8回は丁度盛り上がっていた大阪オリンピック構想に併せた作品ですね(結局、翌2001年に北京に決定)。
「笑う20世紀 Part5」もそうでしたが、時事的なネタが多く、「干支シリーズ」と被っているように感じます。
選曲が凝っている
なお、作品名にあわせて、もんた&ブラザーズの「ダンシング・オールナイト」が全体のテーマ曲となっているほか、各回のエンディングテーマとしてダンスに関係する楽曲(荻野目洋子さんの「ダンシング・ヒーロー」、アイリーン・キャラの「フラッシュダンス…ホワット・ア・フィーリング」など)が採用されています。
【藤井青銅原作・脚本・脚色の他の作品】
青春アドベンチャーの長い歴史において、最も多くの脚本と最も多くの笑いを提供しているのが脚本家・藤井青銅さんです。こちらに藤井青銅さん関連作の一覧を作成していますので、是非、ご覧ください。
【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。こちらをご覧ください。傑作がたくさんありますよ。
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