孤島の花 作:鈴木そなた(FMシアター)

格付:A
  • 作品 : 孤島の花
  • 番組 : FMシアター
  • 格付 : A
  • 分類 : 日常
  • 初出 : 2011年2月26日
  • 回数 : 全1回(50分)
  • 作  : 鈴木そなた
  • 音楽 : 森光明
  • 演出 : 長野怜英
  • 主演 : 倍賞千恵子

瀬戸内海の孤島に作られた高級老人ホーム「リル・ドゥレーブ」。
高級感を演出するラウンジやホール、シェフが腕を振る食事、そして24時間体制の医療サービス。
そこはまさに「限られた人だけの特別な場所」。夢を実現した者たちの理想郷だ。
しかし、勤務する医師にとって理想の職場かは別問題。
29歳の医師・三浦新司がここに務めているのは、以前勤務していた大学病院で医療ミスのトラブルに巻き込まれたからであって、自ら希望してき来たわけではない。
夢を成し遂げた老人と、夢を見ることを諦めた医師。
正反対のようだが、本当にそうなのだろうか。


今年の大河ドラマ麒麟がくる」、面白いですよね。
あの派手な衣装には面食らいましたが、庶民をちゃんと貧しく描きつつも画面全体には清潔感がある。
本木雅弘さん、高橋克典さん、といった一昔前のトレンディ俳優(?)も年をとっていい味を出しています(おふたりとももう退場しちゃいましたが)。
このブログ的には、青春アドベンチャーの往年の常連出演者だった吉田鋼太郎さん(ブラジルから来た少年など)の存在感が大きいのも嬉しいところ。
そして何より長谷川博己さんの明智光秀が、ご本人が43歳である割にはフレッシュ感があっていいですよね。
明智光秀が主人公である以上、結末はわかりきったアレしかあり得ないわけで、しかも逆にそこに至る動機はどううまく描いてももすっきりしない感が残ることが予想される中、とても面白く描いていると思います。

「麒麟がくる」応援企画

でも、そんな「麒麟がくる」も新型コロナウィルス感染症の影響を受けてついに放送が中断。
いつまでかは現時点では明確にされていませんが、完全にストック切れしているのであれば少なくとも1カ月程度は厳しいのかな。
という訳で、当ブログでは「麒麟がくる」応援企画として主演の長谷川博己さんが出演しているラジオドラマを紹介することにしました。
長谷川さんが初めて出演したNHK-FMのラジオドラマはFMシアターの「はるさんの日記」(2006年)なのですが、実は手元に音源がなく、今回は2つめの出演作品である「孤島の花」(2011年)を紹介致します。

実質的な主演は長谷川博己さんだが

さて、物語の舞台は冒頭のあらすじのとおり。
長谷川博己さんが演じる三浦医師と入居者の老人たちとの絡みでストーリーは進んでいきます。
ちなみに、番組ホームページの表記順序では入居者の一人で元女優である原美音子を演じる倍賞千恵子さんがトップ表記ですが、これは恐らく出演者の「格」に配慮したもので、ストーリー的には完全に長谷川さんが主演です。
ただ、倍賞さんが顔出し出演程度なのかというとそうではありません。
特に終盤、佯狂(と言うほどではないけど)を告白して以降の存在感はさすが。
ストーリー的にも老人が若者を追い詰めて終わりだったら興ざめなのですが、最後、老人も夢を諦めることはできないことを告白する姿は納得感がありました。
死ぬまで何かにしがみつくことがバラ色の人生。
倍賞さんが演じてこその説得力だともいます。

「医は算術」とまではいわないけど

それにしても日本のドラマって医師を神聖視しすぎてはいませんかね。
今大学入試において医学部が異常に人気で、国立の医学部であれば地方の大学であっても、入学には東大かそれに準ずるくらい学力が必要な状況です。
先行き不透明な時代、学生時代の努力を最も確実に、効率よく換金できる手段が医師になることだという身も蓋もない認識が広がっている証拠だと思います。
もちろんこのコロナ禍の中、真摯に働いている医療関係者の皆さんには感謝の言葉もないのですが、「医術は仁術であるべき」、「医者は人格者であるべき」、「医者は患者のためにプライベート犠牲にしても仕方がない」、「医者は疲れているのが当たりまえ」、「医者は僻地医療や海外援助に積極的であるべき」的なことを期待するようなドラマはお医者さんを追い詰めることになりやしないかなとも思います。
本作品の三浦医師だって医師になるために、時間もお金も膨大に投資してきたはず。
そう簡単には理想には殉じられないですよね。

長谷川博己さん、いいよね

さて、最後に主演の長谷川博己さんについて一言。
本作品での長谷川さんは上記のとおり医師の役。
2016年の「シン・ゴジラ」では政治家でしたね。
明智光秀含め、真摯な雰囲気があり、どこか清潔感があるのがいいですね。
早く「麒麟がくる」の続きが見たいところです。



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