- 作品 : Meg
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : AA
- 分類 : 冒険(山岳海洋)
- 初出 : 1998年6月8日~6月19日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : スティーヴ・オルテン
- 脚色 : 下川博
- 演出 : 松本順
- 主演 : 堀秀行
ジョナス・テイラーは三流大学に勤める古生物学者である。
6年前までは実力ナンバーワンの深海潜行艇操縦士として名を馳せていたが、ある事故がきっかけで名声を失い、今は酒浸りの日々。
大学の公開講座で、暇をもてあました老人相手に10万年前に絶滅した古代鮫「カルカロドン・メガロドン」の講義を淡々とこなしているが、その日はいつもと少し違った。
場違いに若く美しい東洋系の女性が熱意もあらわに彼の講義を聴いていたのだ。
その女性テリー・タナカと彼女の祖父マサオ・タナカと出会ったジョナスは、自らのカムバックを賭けて再び深海潜行艇の操縦桿を握ることになる。
そしてそれは6年前に彼を今の境遇に追い込んだカルカロドン・メガロドン=Meg(メグ)との戦いの始まりでもあった。
スティーヴ・オルテンの小説を原作とするラジオドラマで、いわゆるジョーズ系の作品です。
私は子供の頃にスティーブン・スピルバーグ監督の映画「ジョーズ」に衝撃を受けた世代ですので、このようなテーマの作品はやはりわくわくします。
「ジョーズ」は全長8mまで巨大化したホオジロザメが襲ってくるのですが、本作品では絶滅を免れて密かに深海で生き残っていた全長20mのメガロドンが相手です。
vs絶滅生物
青春アドベンチャーで絶滅したはずの怪獣に襲われる作品と言えば、まずは1997年(本作品の前年)に放送された「ロスト・ワールド」(コナン・ドイル原作)が思いつきます。
「ロスト・ワールド」は作品名のとおり主人公達が覚悟の上、恐竜たちが生きる異世界に乗り込んでいく内容であり、舞台設定自体が日常とは隔絶されています。
しかし、「Meg」は現実世界に怪獣が出現する話であり動物パニックものといえる作品です。
深海潜航艇
また、深海潜行艇のパイロットが主人公という面では2012年放送の「海に降る」が類似する作品と言えます。
「海に降る」は深海潜行艇パイロットのカムバックを扱っていること、謎の怪獣が出現することなど、本作と同じ要素もあります。
しかし、「海に降る」が現代の日本を舞台にした地に足の着いた?ストーリーで、終盤まではお仕事ものの色彩が強いのに対し、本作品は典型的な海洋冒険ものであり、ケレンミのある展開が続くため、かなり雰囲気が違います。
その他の深海が舞台の作品
その他、青春アドベンチャー系の番組で深海や謎の海棲動物をテーマにした作品としては既に紹介済みの「スフィア」や「遠い海から来たCOO」があります。
そういえば「遠い海から来たCOO」は終盤に軍人が暴走するという点でちょっと似た展開がありますね。
本作品における郷里大輔さんのダニエルスン大佐の演技も見事ですが、「遠い海から来たCOO」の家弓家正さんの演じるノルベール大佐の暴走っぷりもなかなかです。
海はラジオドラマ向きの舞台
…どうも話が脱線気味ですが元に戻しますと、これらの作品の他にも、潜水艦をテーマとした「幽霊海戦」や、かなり毛色は違いますが「シュレミールと小さな潜水艦」や「ウォーターマン」まで含めると海を舞台にした作品は青春アドベンチャーの一大勢力を形成している観があります。
音だけの表現媒体であるラジオドラマと音だけで情景を想像できる海は非常に親和性の高い取り合わせなのでしょう。
エキサイティング
さてさて、改めて本作の内容を紹介します。
テイラーとMegがどのような戦いを繰り広げるかはやはり聴いてのお楽しみなのですが、本作品は深海潜行艇のみならず、原子力潜水艦や麻酔銃、そしてヘリコプターまで登場する賑やかな作品です。
また、冒頭のメグがティラノサウルスを襲うシーンやジャンプしてヘリコプターを襲うシーンなど、どこまでリアリティーがあるのかはわからないのですが、迫力のある場面の連続で飽きさせません。
リアリティ?
リアリティといえばメグが現代まで生き残っていた理由(深海の熱水域でのみ生存できた)など、学問的にどこまで正しいのかは私に判断できませんが、少なくとも素人目には違和感を感じないものでした。
本作品、(恐らく)あまり深いテーマがある作品ではありませんが、単純な娯楽作品として十分に楽しめる作品だと思います。
ところで、個人的にちょっとだけ気になったのが、時折入るメグの鳴き声?らしい効果音。
演出上の都合でやっているのだと思うのですが、サメって鳴きませんよね?
声優の堀秀行さん主演
出演は主人公のジョナス役が声優の堀秀行さん。
少年ジャンプ系を中心とした多くのアニメに出演されている方のようです。
青春アドベンチャー系の番組ではアドベンチャーロード時代の「空色勾玉」や「サハラの涙」で主要キャストとして出演されていました。
ヒロインのテリー役は「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズで青春アドベンチャーではお馴染みの長谷川真弓さん。
その他、人気声優の草尾毅さん(オルファクトグラム、トリガー)や郷里大輔さん(完璧な涙)、ベテランの亀山助清さん(超能力はワインの香り)などなかなか多彩な顔ぶれです。
「武蔵坊弁慶」の脚本家
また本作の脚色は下川博さんが担当されています。
この方を検索して調べてみたところ、ラジオドラマでもないのにこのブログで何度も(「グリーン・レクイエム」及び「有頂天家族」の記事)言及している1986年にNHK(TV)で放送された新大型時代劇「武蔵坊弁慶」の脚本を担当された方のようです。
青春アドベンチャー系の番組でも何本か脚色を担当されています(少女探偵に明日はない、吸血鬼ドラキュラ、家族ホテル)。
何だかとても親近感が湧いてしまいました。
追伸
「Meg」が映画化され、2018年秋には日本でも公開されます。
詳しくはこちらの記事にて。
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