ストーリーボックス ザ・マネー 作:水城孝敬ほか(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : ストーリーボックス ザ・マネー
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B-
  • 分類 : 多ジャンル(競作)
  • 初出 : 2025年2月3日~2月7日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 作  : (下表のとおり)
  • 演出 : 真銅健嗣
  • 主演 : (下表のとおり)

現在継続している青春アドベンチャーのオムニバスシリーズのひとつであるストーリーボックスシリーズの最新作がこの「ストーリーボックス ザ・マネー」です。
ストーリーボックスシリーズの作品の多くはタイトルが「○○のストーリーボックス」という形式なのですが、本作品は「ストーリーボックス ザ・トーキョー」以来、久しぶりに後ろにテーマが入る形式です。
内容的には他のストーリーボックスシリーズの作品と同様に日常系のストーリーが中心で、第4話「俺はゴッド」のみファンタジー要素があります。

出演者について

また、これも他のストーリーボックスシリーズと同様に各話ごとに主演する役者さんが違いますが、今回は全体的な出演者自体は作品間でかなり被っており、各話ごとに完全に入れ替えているわけではありません。
まあ各話ごとに全く違い出演者にするのも大変だと思いますのでこの辺が妥当なところかもしれません。

テーマ

さて、本作品のテーマはタイトルのとおり「マネー」。
かつて青春アドベンチャーのオムニバスでは見たことのなかったほどのギトギトのテーマなのでどうなることかと思ったのですが、聞いてみるとどこかできいたことがあるようなストーリーが多い。
考えてみるとどんなテーマのストーリーであっても日常系である限りお金というか経済的な問題がついてまわるのは当たり前ですね。
どうせなら「銭がすべてや!」的なドギツイものがあったら面白かったとは思いました。

分類、格付け、粗筋、一言

各話の概要は以下のとおりです。
個人的に気に入ったは圧倒的に第5話の「ペリカ」…ではなく「チルカ」。
昭和風味の乱暴な応援歌ですが、たまにはこういうのもよいのではないでしょうか。

第1話「十円玉で15秒」

  • 分類:家族
  • 格付:B+
  •  :水城孝敬
  • 主演:永嶋柊吾
  • 概要:お金がない。大家に泣きついたら10円玉を渡された。駄菓子も買えない10円で何ができるのか。
  • 一言:わらしべ長者が始めると面白いなと思ったが一向に先に進まず結局、家族のような展開に。

第2話「王を待つ」

  • 分類:日常
  • 格付:C
  •  :葉月けめこ
  • 主演:柳生みゆ
  • 概要:デパ地下の値引きタイム。値引きシールが貼られるのを待つ私、そしてライバルたち。大丈夫私はちゃんと幸せだ。
  • 一言:庶民の哀歓をコメディを織り込みながら描いているのだと思うのだが、コメディ的には特に面白くはなく、ペーソス的にもいまいち。

第3話「六文銭」

  • 分類:家族
  • 格付:B
  •  :三谷武史
  • 主演:千葉哲也
  • 概要:父が死んだ。喪主になった俺は母の今後の生活を考慮して葬式を質素にすることに決めた。コンセプトはコスパ重視だ。
  • 一言:青春アドベンチャーではアクの強い役が多い千葉哲也さんだがこの作品はしみじみしたノリ。

第4話「俺はゴッド」

  • 分類:幻想(日本・ライト)
  • 格付:C+
  •  :青山ユキ
  • 主演:大和田悠太
  • 概要:職を失った男のもとに「ゴッド」を名乗るおばさんが現れる。彼女が言うには不快なにおいになることと引き換えに「ゴッド」になれるというのだが。
  • 一言:正直、こういう結末になることは最初からわかりそうなものだが。いくら切羽詰まっているといっても男は想像力がなさすぎる。

第5話「チルカ」

  • 分類:日常
  • 格付:AA-
  •  :豊田愛
  • 主演:占部房子
  • 概要:25年前、私は母と兄と3人で古いアパートに暮らしていた。貧しい暮らしだったがそのアパートの1階には洋菓子店があって…
  • 一言:ありがちなストーリーであるが千葉哲也さんの存在感・説得力がすごい。優しいだけの世界観が好きな人にはあわないかもしれないが。

オムニバスに工夫を

例えば昨年(2023年)は「スケッチブックシリーズ」が3作品放送されたものの、テーマ以外特に違いがない状況。
世界観を共有するオムニバス「シンクホール」のような工夫のあるオムニバスがあまり成功したとは言えない状況から難しいのはわかります。
しかし、2024年アンケートでもオムニバスに食傷気味という回答もありました。
なんとか作品ごとの工夫を出していただきたいものです。

勝手な試案ですが

例えば、第1話を聞いていて思ったのですが、冒頭1分を全話で共有して、その後のストーリーを各脚本家に任せる(その後の展開ではなく、ストーリーや背景自体が全く違ったものになる)とかいかがでしょうか。
いわば昔のチュンソフトのゲーム「弟切草」みたいな流れ。
実際、取りまとめるのは相当難しいとは思いますが。


◆ストーリーボックスシリーズの作品一覧
全5話で構成されるミニ・オムニバス作品の「ストーリーボックス・シリーズ」。
不思議屋シリーズライフシリーズ10人作家シリーズの系譜を受け継ぐ脚本家競作オムニバスの最新シリーズ「ストーリーボックスシリーズ」の一覧は以下からご覧ください。

ストーリーボックスシリーズの作品一覧
青春アドベンチャーで新しいオムニバスシリーズが始まりました。その名も「ストーリーボックス・シリーズ」。ライフシリーズの(今のところ)最終作「フラワー・ライフ」が2015年に放送されてから久しぶりの新オムニバスシリーズのスタートです。2019...

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