世界の終わりの魔法使い 原作:西島大介(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : 世界の終わりの魔法使い
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B
  • 分類 : 異世界
  • 初出 : 2013年7月22日~7月26日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 原作 : 西島大介
  • 脚色 : 小松與志子
  • 演出 : 木村明広
  • 主演 : 平田真菜

とある惑星の、とある時代。
世界を滅ぼそうとした最強・最悪の魔法使い・魔王を封じた城のすぐそばにある村でのお話。
魔王が封印されているためか、村の人々は空を飛ぶ程度の魔法なら皆、使うことができる。
しかし、その反面、魔王を封じた科学文明は衰退してしまっていた。
ムギはその村に暮らす少年だが、なぜか彼一人だけは魔法を使うことができない。
しかし彼はそれを悲しむことはせず、魔法による安易な解決を拒否して、一人で自らの力、科学文明で空を飛ぼうと試みている。
その日も自分が作った機械で空を飛ぼうと試みたのだが、魔王の城の近くで墜落してしまった。
これが少年ムギと魔法使いの少女アンとの出会いであった。



西島大介さんの漫画をラジオドラマ化した作品です。
西島さんは第35回星雲賞アート部門を受賞しているSF系の漫画家さんですが、この作品、少なくともラジオドラマ化している部分についてはSFというよりファンタジーの作品です。

元青春アドベンチャーリスナー

「世界の終りの魔法使い公式サイト」では西島さんご自身が昔、青春アドベンチャーで放送された「サラマンダー殲滅」(初出は「サウンド夢工房」時代)に言及されつつ、放送を歓迎するコメントを書いていらっしゃいます。
リテイク・シックスティーン」の豊島ミホさんや「見かけの二重星」のつばなさんも青春アドベンチャーのファンだったそうですが、こうして自分が昔リスナーとして聴いていた番組に自分の作品が取りあげられるのは嬉しい体験だろうなあと思います。
それにしてもラジオドラマ「サラマンダー殲滅」がでてくるあたり、西島さんが昔からSFが好きだったのがよくわかるエピソードですね。

(外部リンク)http://mag.kawade.co.jp/sekamaho/archives/2013/06/

全5回は短すぎる

さて、ラジオドラマの内容ですが、少年と少女が出会って世界に挑む話です。
全5回の短いお話であり、アンは実は…ムギは実は…この世界の人々は実は…などと書くとすぐにネタバレになってしまいますので、ストーリーの紹介は上記の粗筋だけでやめておきたいと思います。
ただ、どうしても感じてしまったのは、やはり全5回で表現するのは難しかったのではないかということです。
小説とラジオドラマの違いを書いた記事山田正紀さんについて書いた記事(「雲界の旅人」の部分)などでも書いたのですが、漫画原作のラジオドラマは絵の魅力を表現できない分、どうしても不利になりがちです。
エデン2185」など漫画原作でも気に入っている作品もありますし、過去、「マージナル」や「人魚の森」など、制作側がビジュアルがない不利を音楽で補おうという試みもなされてきましたが、完全に成功したとは言えないと思います。

独特のタッチを音で表現できるのか

とくに西島さんは上記の星雲賞アート部門受賞の経歴からもわかるとおり、独特なタッチの絵が魅力の方です。
ラジオドラマではなかなか魅力を伝えるのは難しかったのではないかと感じました。
また、エンディングもこの作品単体としてみると、とても中途半端に感じられるものでした。
聞くところによると原作は全3巻+番外編の長編のお話とのこと。
こうなったら、このエンディングを生かして、本作品の部分は最終的に本作品は大きな物語の導入部分に過ぎなかった、ということになるように、NHKスタッフは責任もって最後までお話を完結させていただきたいものです。

アニメ声優主体のキャスト

出演者は、主役のムギが平田真菜さん、アンが 金元寿子さん、しっぽ猫が野中藍さん。
主としてアニメで活躍されている声優さんを集めており、青春アドベンチャーでは割と少ないパターンです。

ラジオ・キラーと随分違う

スタッフは脚色が小松與志子さんで、演出が木村明広さん。
小松さんは、過去に名作「ラジオ・キラー」をご担当されていますが、今回はそれとは全く違う分野の脚本を担当されたことになります。
木村さんは2013年では初めての担当作品です。
スーツケース・キッド」や「三匹のおっさん」といった日常系の作品から「二分間の冒険」や「やけっぱちのマリア」などのファンタスティックな作品まで、幅広く担当されています。

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