- 作品 : 家電の極意
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B
- 分類 : 多ジャンル(競作)
- 初出 : 2011年10月31日~11月11日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 作 : (下表参照)
- 演出 : 真銅健嗣
- 主演 : 春日井静奈、大沢健
10人の作家がひとつのテーマのもとオリジナルの脚本を競作する、青春アドベンチャーではお馴染みの短編企画。
このような企画の代表は「不思議屋シリーズ」や「ライフシリーズ」ですが、その他にも、同様の構成の単発企画が放送されることもありました。
既に紹介した作品としては、「動物」をテーマにした「新・動物園物語」、「夢」をテーマにした「五つの夢」がこれに該当します。
本作品のお題は「家電」です。
家電というテーマは悪くない
「家電芸人」が流行ったのは2008年~2009年頃であり、2011年のこの時期になぜ家電であったのかは謎です。
しかし、類似の他の企画ではテーマと無理矢理結びつけているような作品が多いのですが、本作品はごく自然にテーマとして家電がストーリーに取り込まれている作品が多いと感じました(さすがに第10話はちょっと苦しいけど)
いかに家電が我々の生活に身近なものであり、種類が多いかと言うことがわかります。
2011年はオムニバスが多い年
それにしても本作品が放送された2011年は短編集作品が多すぎです。
本作品の二つ前に放送された作品が上で紹介した「五つの夢」なのですが、その更にひとつ前の「マナカナの大阪WORKERS」も同様の短編集。
さらに「ごくらくちんみ(第2期)」も原作者はひとりですが短編集です。
その他、再放送で「不思議屋百貨店」も放送されています。
私は青春アドベンチャーではあまり短編集が放送されることを期待していないので、1年で短編集の新作4作品は少し多すぎると感じてしまいました。
作品のばらつきが大きい
何はともあれ、本作品の全10話の概要を記載しますと以下のとおりです。
今回はいつもにも増して作品の質のばらつきが大きいと感じました。
個人的な一押しは第5話の「ラジカセからレクイエム」。
結末がちょっと出来すぎな感はありますが、15分間、緊張感が途切れない良作だと思います。
脚本家の添谷泰一さんは鳥取で演劇をされている方のようで、作品中で鳥取弁が出てくるのもなるほどという感じです。
なお、「家電の極意」全体の格付けをBとしているのは、この第5話の評価が引っ張っている面が強いです。
15分でもやろうと思えば結構面白いものができるものです。
各回の概要
また、第4話の「玉堀井大学こたつ部」や第6話の「闘うホームベーカリー」も悪くないです。
前者は、序盤はこいつ大丈夫か?と思うほど頼りない主人公ですが、なかなか気持ちの良いラストです。
後者は、特に何か感慨が残る作品ではありませんが、ヒロインに共感できます。
◆第1話 「ようこそ炊飯ジャー」 (おのゆうき)
格付 : C
逆ギレする自己中な女性の図々しさが妙にリアル。20年後におばちゃんのようになるのが目に見えるようだ。
◆第2話 「掃除機と猫」 (藤江洋一)
格付 : C
転職先の職場に馴染めない女性と、掃除機で吸われるのが好きな猫の話。空気の様な話で後味は特になし。
◆第3話 「ズボンプレッサー供養」 (有馬雪枝)
格付 : C
何だか妙にいい話みたいな結論になっているが、本当にこれで納得していいのか疑問。石田太郎さんの怪演はいつもながら素晴らしい。
◆第4話 「玉堀井大学こたつ部」 (滝本祥生)
格付 : B+
序盤は、温すぎる主人公と「ウケるんだけど」が口癖のヒロインに、何となくイライラさせられるが、終盤、彼らなりに成長している姿が意外と好印象。
◆第5話 「ラジカセからレクイエム」 (添谷泰一)
格付 : AA
また男女の痴話喧嘩の話かと思ったら意外と本格的な推理劇でびっくり。わずか15分のなかで複数の伏線がきちんと回収されている。何回も聴ける作品ではないが良作であるのは確か。
◆第6話 「闘うホームベーカリー」 (藤井香織)
格付 : B
第1話と違ってこの作品のヒロインが苛つくのは良く理解できる。確かに「そこじゃない!」よなあ。でも不動産の購入は慎重にね。
◆第7話 「姉とテレビ」 (斉藤清貴)
格付 : C+
日常の一コマを扱った作品で、BGMとしては手軽でかつ適度に緊張感がある作品。それにしても弟が甘い性格なのは確かだが、姉も失業者の割に随分と偉そうである。
◆第8話 「洗濯機の野望」 (植澤紀子)
格付 : C+
主婦モデルと就活女子の親子の普通のいい話。親子に関係する男が俗物過ぎる気はする。
◆第9話 「冷蔵庫の伝言」 (小林克彰)
格付 : C+
冷蔵庫に貼り付ける伝言メモを通した親子のコミュニケーションの話。超常現象が起こったのか否かがはっきりしない。ひょっとしたら「幻想(日本)」の作品なのかも知れない。
◆第10話 「ひと肌レンジ」 (高崎志乃)
格付 : B-
難病と闘う方々に敬意を表します。でもこの作品自体はよくある話で特に印象深いものではなかった。
主演は春日井静奈さんと大沢健さん
出演は、この種の青春アドベンチャーの短編企画によくあるように、主演の男女を固定して、各話毎にゲスト出演者を代える方式。
本作品の主演は、女性が女優の春日井静奈さんで、男性が俳優の大沢健さんです。
大沢さんはこの役10年後に放送されることになる「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」にての加持星十郎が印象的です。
また、春日井さんは、TEAM-NACKの音尾琢真さんの奥さんですな(といっても私は音尾さんを「水曜どうでしょう」でしか見たことがないので顔すらよく知らないのですが)。
◆シリーズ以外の競作オムニバス作品の一覧
不思議屋シリーズ、ライフシリーズ、10人作家シリーズだけじゃない!
シリーズもの以外の単発で制作された脚本家競作のオムニバス作品の一覧はこちらです。
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