新・動物園物語 作:伊佐治弥生ほか(青春アドベンチャー)

格付:C
  • 作品 : 新・動物園物語
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : C
  • 分類 : 多ジャンル(競作)
  • 初出 : 2013年2月4日~2月15日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 作  : (下表参照)
  • 演出 : 佐藤譲、松木健祐
  • 主演 : 吉沢悠、さくら

5人の脚本家の競作によるオリジナルの短編6作品から構成されるオムニバスシリーズです。
基本的に15分×2回の構成で、伊佐治弥生さんが担当された第1話と最終話のみが1回完結の形式になっています。

どの辺が「新」?

本作は、全ての話が動物(必ずしも「動物園」ではない)に関連する作品ですが、各話の間に内容の関連性は全くありません。
ちなみに、本作品のタイトルは「新・動物園物語」ですが、過去、青春アドベンチャーで「動物園物語」という作品が放送されたことはありません。
カフェテラスのふたり」時代に「幻の動物園」という作品が放送されていますが、本作品とは内容が全く別物です。
そのため、「新」は単に「今までとは違った」という以上の意味はなさそうです。

各話の概要と脚本家さん

本作品の各話の担当作家さんと、作品ジャンル及び内容についての一言は下表のとおりです。
なお、5人の脚本家さんのうち、伊佐治弥生さんは「オーバー・ザ・ハポン」(1995年)と「珊瑚の島の夢」(2011年)で、佃典彦さんは「ロスト・タイム」(1990年)で、過去、青春アドベンチャー系の番組のオリジナル長編を担当した実績があります。
また、西脇良典さんは2015年に「夜叉ヶ池で見つけた命」でオリジナル長編が採用されました。
珊瑚の島の夢」も「ロスト・タイム」も超大作という感じではありませんが、まずまずの佳作だと思います。
機会がありましたらこちらも是非。

◇第1回・はじまりの物語「鶴の恩知らず」
分類:幻想(日本)
作 :伊佐治弥生


民話と同じように恩返しに来た鶴だが、男は妙に淡々とした性格で、民話とは違う展開を迎える。
シュールな状況を真剣に捉えるべきか、笑ってしまって良いのか微妙な話。


◇第2,3回・旅立ちの物語「ネズミのパラダイス(前後篇)」
分類:幻想(その他)
作 :朝倉寛


大災害で故郷追われた兄弟ネズミが、噂に聞く「動物園」という楽園を目指して大冒険をする。
「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」や「ガンバの大冒険」、「遠い星から来たノーム」のような話と言ったら言いすぎか。


◇第4,5回・思い出の物語「カバが棲んでいる(前後篇)」
分類:幻想(日本)
作 :佃典彦


ある秘境の温泉の露天風呂にはカバが棲んでいるという。昔、人生の転機でそのカバを見た母と、今人生の転機を迎えつつある娘の話。
カバがいなければ普通の日常系の話。カバが出てくる必要はあったのか?


◇第6,7回・漂う物語「人魚の肉(前後篇)」
分類:幻想(日本)
作 :西脇良典


動物園に保護された人魚をめぐる男女と女性の父親の話。前編が男性視点、後編が女性視点になっている。
正直言って、何が言いたいのか以前にストーリー自体がよくわからなかった。


◇第8,9回・まきこまれる物語「トイレから蛇(前後篇)」
分類:幻想(日本)
作 :仲井美樹


遅刻寸前で目を覚ましたらトイレに日本語を話す蛇が座っていた。仕方なく会社を休んで蛇を動物園まで届けることになったが…
「人魚の肉」と違って話は良くわかるが何が言いたいのかはやはり良くわからない。


◇第10回・おしまいの物語「仮名手本蛙之王様」
分類:伝奇
作 :伊佐治弥生


江戸時代(?)、夫を殺した容疑でお白州に引き出された女だが、夫は実は蛙だったといい始める。
これも結局何が言いたいのか、笑ってよいのか良くないのか良くわからなかった。

ご了承ください

以前書いたとおり私は青春アドベンチャーでは1話完結の短編集よりも、10話で一つの作品となる長編の方を希望しています。
また、これも以前書いたとおり作品内容のジャンルとしては日常系や幻想系(当ブログのジャンル分けはこちらの記事をご参照ください)の作品はあまり好みではありません。
そのため、上記の格付けや表の寸評が辛めになってしまったのはご了解ください。
各話の善し悪しは聞く人の趣味趣向によって様々だと思いますので、あくまでご参考ということで。

シンプルな話が好き

個人的には、単純な冒険物語である第2回・第3回「ネズミのパラダイス」と、ごく日常的な人情の機微に触れた物語である第4回・第5回「カバが棲んでいる」が印象的でした。
なお、「ネズミのパラダイス」の寸評を書いているときに、ふと「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」を思い出したのですが、これ、青春アドベンチャー向きですよね。
以前、「二分間の冒険」や「雪の女王」の記事で「童話や児童文学に感情移入するのは難しい」という旨を書きましたが、「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」は児童文学ではありますが独自の世界観を作り上げた正統的な冒険物語です。
いつか【特集】お勧め作品で紹介して見ようかな。

出演者

主演の男女二人は基本的にどの作品も吉沢悠さんとさくらさんが演じていらっしゃいます。

【10人作家シリーズ(名古屋脚本家競作シリーズ)作品一覧】
その難解さとアンニョイさで青春アドベンチャーでも異彩を放つ、名古屋局制作のオムニバス作品シリーズの一覧は、こちらです。
本作品以外の作品の記事もご覧ください。



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