- 作品 : 見かけの二重星
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B+
- 分類 : SF(日本)
- 初出 : 2012年7月16日~7月20日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 原作 : つばな
- 脚色 : 大河内聡
- 音楽 : 木原健太郎
- 演出 : 藤井靖
- 主演 : 大後寿々花
女子高生の綾子は毎日、お昼の校内放送を担当している一見明るい普通の高校生。
ある日突然現れた自称・天才科学者の実験に成り行きで協力してしまったために、二人に分裂してしまう。
分裂したことは家族以外には秘密のまま、友人・彼氏未満の先輩を巻き込んだ、二人の綾子の学園生活が始まった。
本作品「見かけの二重星」は「天才科学者」・「ワープ」・「分身」・「タイムスリップ」などの「若者に受けない」(作中の台詞)古典的なSFのモチーフを利用した作品です・
ジャンルは一応、SF系としていますが、難しい理屈を捏ねる作品ではないので、ちょっと不思議な青春ものとして、SF系が苦手な人も抵抗なく聞けると思います。
気軽に聞ける作品
内容的には「急逝した姉」・「自分の分身」など、「ふたり」に少しだけ似た要素もありますが、「ふたり」と比較してコミカルで気楽に聞ける作品です。
全5話と短編作品ですが、その割にはきちんと起承転結があって、中盤に「分身」の本当の事実が明らかになり、終盤にそれを踏まえてさらに一捻りした展開が待っています。
全5回はやや苦しい
ただし、日常生活をじっくりと描くには時間が足りなかった感じを受けました。
彼女たちの生活をもう少しじっくりと聞いた後に上記の展開だったら、もっと印象深い作品になったなあ、というの私の印象です。
青春アドベンチャーには、10話の作品では15話だったら良かったのに、5話の作品では10話だったら良かったのに、と思う作品が多いんですよね。
しかし、学園生活や先輩との恋愛まで絡めて描かれ、設定を十分生かした結末でまとめられており、全体としてコンパクトにまとまった楽しい作品だと思います。
漫画原作のラジオドラマ
原作は「つばな」さんの漫画のようです。
青春アドベンチャーではライトノベルの原作が意外と多いのと比較すると、漫画原作の作品は少ないと感じます。
とっさに思いつくのはサウンド夢工房時代の「わたしは真悟」(楳図かずお)くらいです
原作として利用しがいのある魅力的な作品層という点で、日本では漫画は小説以上の部分があると思います。実際、非常に多くの漫画がテレビドラマや映画の原作に採用されています。
しかし、青春アドベンチャーで意外と漫画原作の作品が少ないことをみると、漫画という媒体とラジオドラマという媒体とは意外と難しい相性にあるのかも知れません。
この辺についての雑感は別記事に書いています。
リスナー⇒原作者
なお、NHK-FMの公式サイトによれば、つばなさんはもともとこの青春アドベンチャーのファンだったとのこと。
(外部リンク)http://www.nhk.or.jp/drama-blog/1360/126294.html
(↑リンク切れ)
最近では「リテイク・シックスティーン」の豊島ミホさんや「世界の終りの魔法使い」の西島大介さんも青春アドベンチャーのファンだったようです。
ラジオドラマにはクリエイターの卵を刺激する何かがあるのかも知れませんね。
それにしても、自分の作品が、自分の好きだった番組に取り上げられるなんて嬉しいだろうなあ。
大後寿々花さんが好演
主演(綾子ともう一人の綾子の一人二役)は大後寿々花(おおごすずか)さん。
同一人物が二人で会話をするシーンが続くので、ともすれば単調でリスナーを混乱させかねない特殊な役なのですが、全く違和感を感じず、上手く演じていらっしゃると思いました。
なお、2014年には「あたたかい水の出るところ」でも主演されています。
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