NHK大河ドラマの主演つながり

ゆるゆるつながり

【特集:青アド・ポーカー19】NHK大河ドラマ主演つながり

このブログで紹介したラジオドラマの緩やかなつながりを紹介するこのシリーズ。
以前には、「NHK朝の連続テレビ小説」に主演している女優さんが主演している作品をまとめて紹介しました。
今回は「朝ドラ」と並ぶNHKの看板ドラマ番組「大河ドラマ」に主演している俳優さんが出演しているラジオドラマを紹介します。
なお、このシリーズのお約束として、このブログで紹介済みの作品に限定しています。

1960年代

1968年「竜馬がゆく」北大路欣也さん

白黒時代最後の大河ドラマ「竜馬がゆく」に主演されたのが北大路さん。
その後「独眼竜正宗」などでも重要な役で出演されました。
ラジオドラマではアドベンチャーロード時代の「おろしや國酔夢譚」で大黒屋光太夫を演じていらっしゃいます。

おろしや国酔夢譚 原作:井上靖(アドベンチャーロード)
江戸時代中期の天明2年。千石船・神昌丸は、船長(ふなおさ)大黒屋光太夫を始めとした17人の船員を乗せて伊勢の白子を出帆した。しかし、江戸に向かう途中で嵐に遭い舵を失い、8カ月にも及ぶ苦難の漂流をすることになる。そしてようやく漂着した陸地も、遙か北方のロシアの孤島であった。絶望的な状況のもと、懸命に日本へ帰る方策を探る光太夫達だが、運命は彼らに更なる流転を要求する。カムチャッカ、ヤクーツク、イルクーツク、そして帝都ペテルブルグ。鎖国の時代に、不屈の闘志で広大なロシアを横断した大黒屋光太夫の数奇な運命を追う。

1969年「天と地と」・1975年「元禄太平記」・1979年「草燃える」石坂浩二さん

大河ドラマ初のカラー作品「天と地と」で上杉謙信を演じた石坂浩二さん。
「元禄太平記」では柳沢吉保を、「草燃える」では源頼朝を演じました。
上杉謙信や源頼朝はともかく、柳沢吉保とは随分とマニアックな主人公です。
ただ、青春アドベンチャーでは「ドラマ古事記」で太安万侶を演じているので、こちらの方がよほどマニアックではあります。
それにしても大河ドラマ3回主演とは、当時の石坂さんの人気というのものが如何に凄まじいものだったか、わかります。

ドラマ古事記~神代篇~ 作:市川森一(特集オーディオドラマ/青春アドベンチャー)
平城京に遷都したばかりの大和朝廷では、時の権力者、右大臣・藤原不比等(ふじわら・の・ふひと)が新しい国造りの方策を練っていた。不比等の考える新しい国は、漢文で国史を編纂し、大国・唐からも歴史ある律令国家として認められる国でなければならない。そのために不比等は、国一番の碩学で、漢文の大家である太安万侶(おお・の・やすまろ)と、一度聞いたことは決して忘れないという驚異の記憶力を持つ語り部・稗田阿礼(ひえだ・の・あれ)に国史の編纂を命じる。阿礼は、天武天皇の御代に国史の暗記を命じられた人物であるが、実は安万侶とも浅からぬ因縁がある人物であった。

1970年代

1970年「樅ノ木は残った」・1972年「国盗り物語」平幹二朗さん

「樅ノ木は残った」で大河初出演にして初主演。
そのわずか2年後には再び大河に主演(ただし前半のみ)した平幹二朗さん。
もとは俳優座出身の舞台俳優であり、蜷川幸雄さん演出の舞台の常連でもあり、多くのシェークスピア作品にも出演しました。
FMシアター「紅いハンカチ」はご出身である広島を舞台にした作品です。

紅いハンカチ 作:藤井香織(FMシアター)
俺は今年も広島へ向かう。辛くても忘れないこと、死ぬまで。それが罪滅ぼしだと思ってきたからだ。しかし、浪子さんとの約束を果たそうとは思ってこなかった。「もしまたいつか会ってくれるなら…」浪子さんはどういう思いでそう書いたのだろう。今年、俺はこの女性と俺は初めてこの海を渡る。浪子さんと約束した弥山の消えずの火をみるために。

1972年「新・平家物語」仲代達矢さん

源平ものの大河ドラマで主役(平清盛)を演じた仲代さんが、青春アドベンチャーで担当したのは「夢源氏剣祭文」。
源平つながりにも見えますが、意図したものなのでしょうか。
ただし、「夢源氏剣祭文」での仲代さんの役割は演者ではなくナレーターです。

夢源氏剣祭文 原作:小池一夫(青春アドベンチャー)
平安時代。4歳の少女・茨木(いばらき)は、都にいる父を探して旅をしている途上で母を亡くし、天涯孤独の身の上になってしまう。さらに、追い打ちを掛けるように鬼に襲われた茨木は、辛くも命を守ることができたものの、鬼に耳をかじられてしまう。そして、茨木は、その後に出会った山姥から不吉な予言を受ける。すなわち「鬼にかまれた者は、その毒により、徐々に鬼に変じていく」と。多くの武人、陰陽師、貴族達との関わりの中で、少女・茨木にどんな運命が待ち受けているのか。

1980年代

1983年「徳川家康」滝田栄さん

翌年から近代路線に移行することが決定していた大河ドラマで、歴史ものの集大成的に制作されたのがこの「徳川家康」。
主役の家康を演じた滝田栄さんは前年に朝ドラに出演していたもののまだあまり大物とはみなされていない時期でした。
ちなみに「虫明亜呂無短編集」に出演された当時はまだTV出演も少ない1ミュージカル俳優でした。

虫明亜呂無短編集 (ふたりの部屋)
本ラジオドラマ「虫明亜呂無短編集」は作家・虫明亜呂無(むしあけ・あろむ)さんによるスポーツをテーマにした10編を原作とする作品です。珍しいお名前の虫明さんですが、名字も名前も本名とのこと。虫明さんご自身は文京区の湯島生まれ(開成中学校→早稲田大学)ですが、虫明は岡山に多い実在する名字。亜呂無は大正時代の洋画家だった父・虫明柏太氏がフランス語の「香り」(英語でいうアロマ)から付けたのだそうです。

1987年「独眼竜正宗」・1993年「炎立つ」渡辺謙さん

渡辺謙さんの出世作「独眼竜正宗」ですが、その後、渡辺さんが「世界のケン・ワタナベ」にまでなるとは当時は想像できませんでした。
ちなみに正宗の父親の輝宗を演じた北大路欣也さんが、別のラジオドラマで同じ大黒屋光太夫役を演じているのは、上記のとおりです。
なお、「炎立つ」での渡辺さんは、藤原経清(ふじわらのつねきよ)と藤原泰衡(ふじわらのやすひら)の二役でした。

大黒屋光大夫 原作:吉村昭(特集オーディオドラマ)
思えば、信じられないほど遠くへ来たものだ。伊勢の白子の一介の船頭に過ぎなかった、この大黒屋光太夫が、ロシア帝国の首都ペテルブルグにいるのだ。船を失い、紀州様から託された大事な船荷の米も失った。そして、出港時には16人いた部下達も、長い漂流と放浪の果てに次々と死亡し、先日、九右衛門が死亡した今となっては、庄蔵、小市、新蔵、磯吉の僅か4人だけになってしまった。船頭としての責任を痛切に感じる。しかし私はここで下を向くわけにはいかない。日本に帰るのだ。生き残った全員を連れて日本へ帰るのだ。そのためには、もうこの国の皇帝に直訴するしかない。この国で出会えた最良の人物、ラックスマンの助力もある。女帝エカテリーナ二世と面会して何としても帰国の許可を取り付けるのだ。

1990年代

1993年「炎立つ」村上弘明さん

1993年の「炎立つ」で渡辺謙さんとダブル主演した村上弘明さんですが、元仮面ライダー俳優でもあります。
個人的に大河ドラマにおける村上弘明さんといえば中井貴一さんが主演された「武田信玄」(1988年)における高坂弾正を思い出します。
NHK-FMのラジオドラマではさらにその2年前、「黄金のアポロ」に主演されています。

黄金のアポロ 原作:高千穂遥(アドベンチャーロード)
その日、ついにレオンは第21代「黄金のアポロ」の座に登り詰めた。「黄金のアポロ」、それはこの管理社会「ポリス」において最高の格闘士に与えられる称号。ポリスにおける最高の栄誉といってよい。そして、孤児として育ったレオンこと、レオンセラトスがついに掴んだ最高の栄誉は、最高の恋人をも伴うものだった。レオンはまさに得意の絶頂にあった。しかし、まさにその晩、ポリスの外に住まう蛮族「バルバロイ」がポリスを強襲。祝いの席はめちゃくちゃにされてしまう。そして、それのみならず、バルバロイたちは口々に衝撃的な言葉を叫び始めたのだ。「黄金のアポロ、レオン万歳! バルバロイの王!」

2000年代

2002年「利家とまつ~加賀百万石物語~」唐沢寿明さん

2002年の「利家とまつ」でまつ役の松嶋菜々子さんとダブル主演だった唐沢寿明さん。
テレビドラマ「愛という名のもとに」でブレイクする前年に「サウンド夢工房」の「いつも誰かが…」に出演されています。
「いつも誰かが…」では主演の増田未亜さんの相手役でした。

いつも誰かが… 作:雁田昇(サウンド夢工房)
背はあまり高くないけど顔もプロポーションもまあまあのごく普通の高校生、風子。ある日彼女は、自分にほんの少しだけ先の出来事を予知できる超能力があることに気づいた。こんなささやかな能力では彼女のまわりで大事件が起きたりはしない。でも彼女の日常は少しづつ変化を見せる。友人との付き合い方、気になる男性との関係…今日も誰かが体験しているかもしれない、少しだけ不思議な物語。

2006年「功名が辻」上川隆也さん

「功名が辻」は山内一豊とその妻・千代の物語です。
どちらかというと千代役の仲間由紀恵さんの方が主役格だったのかも知れませんが、一応、上川さんもダブル主役ということでここに挙げさせていただきました。
実は、上川さんは演劇集団キャラメルボックス所属の舞台役者だった時代に、初期の青春アドベンチャー(あたしの嫌いな私の声サンタクロースが歌ってくれた、天使のリールなど)に割と重要でない役で出演されています。

天使のリール 原作:喜多嶋隆(青春アドベンチャー)
角田潮里(しおり)は葉山から青山学院大学に通う大学生。父親は行方不明だが、漁師の祖父と何不自由なく暮らしていた。潮里と祖父の夢は、ふたりで釣り船をやることだったが、念願のフィッシングボートが届いた時に祖父は急逝してしまった。祖父が大好きであったハワイにちなんで命名されたその船、「アロハ丸」を引き継いだ潮里は、女子大生を続けながら、土日と水曜日は一人で「アロハ丸」の船長を始めることを決心する。女子大生船長・潮里が、釣り客達や、祖父や父に縁のある様々な人たちと交流するなかで成長していく姿を描く。

2007年「風林火山」内野聖陽さん

男臭さが魅力の内野さんが大河ドラマで演じたのが山本勘助であり、青春アドベンチャーで演じたのがモンテ・クリスト伯ことエドモン・ダンテス。
ともにいかにも内野さん向きの役ですね。

モンテ・クリスト伯 原作:アレクサンドル・デュマ(青春アドベンチャー)
エドモン・ダンテスが牢獄「イフ城」に収監されて14年が過ぎた。身に覚えのない罪状で逮捕され、まともな裁判もなくこの絶海の孤島に送り込まれたのが19歳の時。自らが逮捕された理由も知らず、絶望の未来しか想像できない中で、ただ生き延びるだけの日々だった。そんなダンテスに、一筋の希望の光が差した。そう、彼は、自分を陥れた人間の名を知るとともに、脱獄のチャンスをつかんだのだ。復讐しなければならない、あの3人の男達に。

2010年代

2016年「真田丸」堺雅人さん

2004年の大河ドラマ「新選組!」で名を上げた堺さんが、主演で戻ってきたのが「真田丸」。
一般には真田幸村として知られる真田信繁を演じます。
青春アドベンチャーでは、女優の増田未亜さん、声優の永井一郎さんとともに、2002年の「不思議屋薬品店」に主演。
第3話「恋のバストアップ大作戦」のはじけた演技が聴きどころです。

不思議屋薬品店 作:北阪昌人ほか(青春アドベンチャー)
新進気鋭の脚本家10人が、オリジナルラジオドラマを競作する「不思議屋」シリーズ8作品中の1作です。本ブログでは「不思議屋」シリーズの作品は、「不思議屋料理店」(2007年)に続き2作品目の紹介です。

2019年「いだてん~東京オリンピック噺~」阿部サダヲさん

「いだてん」にて、金栗四三役の中村勘九郎さんと並ぶW主演をされたのが田畑政治を演じた阿部サダヲさん。
青春アドベンチャーでは「不思議屋博物館」で主演されています。
不思議屋シリーズ」は通常、各作品、男女1名ずつが主演するのですが、この「不思議屋博物館」だけはイレギュラーで、女性側こそ全15回、高橋由美子さんが通して主演されたのですが、男性側は5話ごとに田辺誠一さん、尾美としのりさん、阿部サダヲさんが主演する形式でした。

不思議屋博物館 作:原田裕文ほか(青春アドベンチャー)
青春アドベンチャーを代表するオリジナル短編集企画である「不思議屋シリーズ」の第3作目として制作されたのが、本作品「不思議屋博物館」です。1999年の「不思議屋百貨店」から2007年の「不思議屋料理店」まで全8作品が制作された「不思議屋シリーズ」ですが、本作品は他の作品にない特徴がふたつあります。

2020年代

2020年「麒麟がくる」長谷川博己さん

2020年放送中の「麒麟がくる」にて主役の明智十兵衛光秀を演じているのが長谷川博己さん。
シン・ゴジラ」で矢口蘭堂を演じた方ですね。
FMシアターではご紹介した「孤島の花」以外にも、2006年「はるさんの日記」にも出演されています。
なお、長谷川さん以外の「麒麟がくる」出演者が登場するラジオドラマはこちらの記事でまとめています。

孤島の花 作:鈴木そなた(FMシアター)
瀬戸内海の孤島に作られた高級老人ホーム「リル・ドゥレーブ」。高級感を演出するラウンジやホール、シェフが腕を振る食事、そして24時間体制の医療サービス。そこはまさに「限られた人だけの特別な場所」。夢を実現した者たちの理想郷だ。しかし、勤務する医師にとって理想の職場かは別問題。29歳の医師・三浦新司がここに務めているのは、以前勤務していた大学病院で医療ミスのトラブルに巻き込まれたからであって、自ら希望してき来たわけではない。夢を成し遂げた老人と、夢を見ることを諦めた医師。正反対のようだが、本当にそうなのだろうか。

2025年「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」横浜流星さん

青春アドベンチャー「昨日の海は」に主演した時は若干19歳。
イケメンとして話題になった「烈車戦隊トッキュウジャー」放送終了のほぼ1年後でした。
その後、順調にキャリアを積み重ねて26歳の時に大河ドラマへの主演抜擢が発表されました。

昨日の海は 原作:近藤史恵(青春アドベンチャー)
大江光介は、四国の寂れた町・磯ノ森(いそのもり)に両親と3人で暮らす少年。進学校に入学したころから「将来は磯ノ森を出ていくかも知れない」と漠然とは思っていたが、他人に誇るものも、他人から隠さなければいけないものも、いずれも持っていない、ごくごく平凡な高校生…だと思っていた。しかし、母の姉である芹(せり)伯母さんが東京から戻ってきたときに、芹の両親、すなわち光介の祖父母が実は心中で他界していたことを知ってしまう。光介にとっては噂でも聞いたことがなったが祖父母の心中事件。しかし、それが噂にならなかったのは、地元の人間なら誰でも知っていることだったからなのだ。そしてそれを契機に、光介は周りの人達が心中事件について胸に秘めていた思いを知るようになる。

前か後か

北大路さん、仲代さん、石坂さん、渡辺さんなどが、すでに大河ドラマの主演経験がある方の起用。
滝田さん、上川さん、内野さん、堺さん、村上さん、長谷川さんなどが、昔、青春アドベンチャー・FMシアター等に出演された経験のある方が大河ドラマの出演を勝ち取った例です。
今後も青春アドベンチャーから出世した方が増えるのが楽しみです。

「朝ドラ」との違い

ところで、「朝ドラ」は若手女優の塔竜門として機能しているのに対して、「大河ドラマ」はすでに人気の俳優さんを起用する番組です。
また、「朝ドラ」が1年に2作品を制作しているのに対して、「大河ドラマ」は1作品です。
これらのこともあり、「朝ドラ」に比べるとかなり少ない人数になっています。


■シリーズ「青アドポーカー」
作品間の緩やかな繋がりを楽しむこの企画。
記事の一覧は以下をご覧ください。

ラジオドラマ作品間の、出演者・原作・作品内容などのちょっとした関連性を見つけて楽しむ
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