原作者が出演しているラジオドラマ

ゆるゆるつながり

【特集:青アド・ポーカー⑥】原作者が出演している作品つながり

この特集は、NHK-FMのラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」の各作品について、共通する特徴を探しだして整理するコーナーです。

原作者自ら出演とは?

今回はラジオドラマにその作品の原作者が出演している作品つながりを整理しました(青春アドベンチャー以外の番組で放送された作品も含んでいます)。
この特集では、基本的に今まで当ブログで紹介した作品から対象となる作品を抽出しています。
今回の趣旨に合致する作品は今のところ14作品紹介済みです。
ポーカーには14カードという役はありませんが、あえて言うならそのようなところでしょうか。

さて、原作者が出演する場合にはいくつかのパターンがあると思います。
そのパターンごとに紹介します。
敬称略です。

パターン別のご紹介

いわゆるカメオ出演

カメオ出演とは一種の記念出演で、作品の制作側の関係者や友人がチョイ役で出演することです。
有名なのは映画監督のアルフレッド・ヒッチコックでしょうか。
ヒッチコックの監督作品には彼自身が“隠れキャラ”のように出演するのが通例でした。
カメオ出演で演じる役は、基本的にストーリーとは直接関係がなく、はっきり言って誰が演じても良いチョイ役です。
「おいしいコーヒーのいれ方」では原作者の村山さんが「老人ホームのスタッフ」、「カレーライフ」では原作者の竹内さんが代議士の秘書という、いずれもチョイ役で記念出演されていました。
一方、「昔、火星のあった場所」の北野さんはもともと役者もされていたそうですので、後記の3.に近い位置づけですが、端役ですのでこちらに入れています。
また、「夜哭烏 羽州ぼろ鳶組」の今村翔吾さんは番組公式ホームページには記載されていないのですが、ご本人のtwitterによればモブで?出演されているようです。

作者の分身的な登場人物役で出演

「悲しみの時計少女」の主人公の名前は原作者である谷山浩子さんと同じヒロコであり、まさに原作者の分身的なキャラクターです。
ちなみに谷山さんはシンガーソングライターですし、オールナイトニッポンなどのラジオ番組のパーソナリティもされていました。
また、「おしまいの日」では普通に主演もされていました。
そのため、しゃべりもなかなか達者であり、役者としても問題はありません。
また、「スペインから」はもともとトラベルエッセーを題材にした作品で、原作者の倉田美和子さんご自身が主演されています。
ただし、この作品が恐ろしいのは「悲しみの時計少女」とは違い、原作であるトラベルエッセーが自費出版に過ぎないうえに、倉田さんは作家としても役者としても素人であったということ。
NHKスタッフもなかなか無謀なこともするものです。
なお、このパターンの一種ですが、作品中のフィクションの存在ではなく原作者そのものの役で出演する場合もあります。
その例として、「絶句」はメタ構造をもつ作品で、作中に「原作者の新井素子」が登場するのですが、ラジオドラマではこの役を新井素子さんご自身が演じていらっしゃいました。
こちらはかなりの棒読みのセリフでしたが。

普通に役者として出演

「カメオ出演」との違いは明確ではないのですが、ある程度、ストーリー上、重要な役を他の出演者に交じって演じる場合です。
特に劇団系の劇作家が原作者の場合、もともと役者として舞台に立つ機会もあり、他の出演者と同じレベルの演技ができることが多いと思います。
「怪人二十面相・伝」では原作者の北村さんが、初代・明智小五郎という、出番は少ないが大切な役を自ら担当されていました。
また、「ファイティング40、ママはチャンピオン」の鈴木一功さんは脚本家というよりむしろ俳優として有名な方です。
一方、「ひとめあなたに…」は原作者さんである小説家さんが自ら出演するパターンですが、作者の分身である主人公ではなく、主人公が連れ歩いているぬいぐるみ、という不思議な役どころでした。
上記2.ではたどたどしい演技の新井さんですが、本作品では悪くない感じです。

作品解説などのトークで出演

北村さんは「怪人二十面相・伝」に普通に役者として出演するほかに、第1回冒頭でこの作品の執筆経緯を自ら解説されています。
このような形式の作品は青春アドベンチャーでは他にはありません。
また、「ザ・素ちゃんズ・ワールド」(「カフェテラスのふたり」にて放送)はSF作家新井素子さんのエッセーをもとにした作品であり、ドラマ部分では小林聡美さんが「新井素子」役を演じていますが、それ以外にインタビューに答える形で新井さんご自身もご出演されています。
これと似たような形で、「さらば国分寺書店のオババ」(「ふたりの部屋」にて放送)では、第9回・第10回にそれぞれ約5分ずつ主演の伊武雅刀さんと椎名さん対談するコーナーがあります。
この作品でこの対談コーナーが一番面白いと思うのは私だけでしょうか。
さらに、「さだまさしの自分症候群」では、各回の冒頭にさだまさしさんが話すミニコーナー(設定上は留守電の返信メッセージ)があります。
また、原作者ではないのですが、「谷川俊太郎の詩と旅する ことのはワンダーランド」では、作中で読まれる詩の作者である谷川俊太郎さんと音楽を担当したその息子さんである谷川賢作さんが出演されています。

楳図かずおさん!

これらの他、アドベンチャーロード時代の「漂流教室」に原作者の楳図かずおさんがご出演されたようです。
私は聴いたことがないのですが、どのような役だったのでしょうか?(※コメント欄に「あずたか」さんより情報をいただきました。そちらもご覧ください。)


次の特集は青アドポーカー第7弾で「軍人が主人公の作品つながり」です。



■シリーズ「青アドポーカー」
作品間の緩やかな繋がりを楽しむこの企画。
その他の記事の一覧はこちらです。



コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
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    いつもちらちら見せてもらってます.
    ちょい役だと「カレーライフ」で竹内さんが終盤で出ていらしたのが珍しくて覚えています.
    こうみると他にもそんな配役の遊びがあったのですね.

  2. Hirokazu より:

    SECRET: 0
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    コメント、ありがとうございます。
    「カレーライフ」、気が付きませんでした。
    こういうお遊びは是非積極的にやってほしいですね。

  3. あずたか より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    初めまして。たまたまこのブログにたどりついた者ですが、この番組枠がずっと好きだったので、少しずつ、楽しく目を通させて頂いております。
    漂流教室、本放送聴いておりました。楳図先生は、オリジナルキャラとおぼしき教員の「楳図先生」役でカメオ出演されておりました。
    変貌した未来世界を目の当たりにして精神に異常をきたしたらしく、これで日常から解放されると歓喜した挙げ句、最後に「俺は自由だー!」と絶叫する、という役どころでした(笑)。
    堂々としたお芝居ぶりと声量で素人感の少ない仕上がりだったと記憶しています。北村想さん、新井素子さんのご出演分も聴きましたが、それらと比べても遜色無かったと個人的には思います。

  4. Hirokazu より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    あずたか様

    「漂流教室」の情報ありがとうございます。
    コメントを拝見すると、実に「楳図さんらしい」役柄の様で効果的な演出だったのだろうと想像します。
    実は、私自身が聴いたことがないこともあり、このブログではラジオドラマ版「漂流教室」についてはほとんど言及していないはずなのですが、「漂流教室」の検索ワードでこのブログにたどり着く方は結構いらっしゃいます。
    きっと印象に残っている方が多い作品なのだと思います。
    是非機会があったら聴いてみたいものです。

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