タイムスリップ大坂の陣 原案:鯨統一郎、脚本:山本雄史(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : タイムスリップ大坂の陣
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B+
  • 分類 : タイムトラベル
  • 初出 : 2011年1月10日~1月21日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原案 : 鯨統一郎
  • 脚本 : 山本雄史
  • 演出 : 保科義久
  • 主演 : 田村ゆかり

いつもどおり、脳天気にたこ焼き屋を探していた女子高生・麓(ふもと)うららのもとに、再び統一執行部のタイムトラベル管理官・石松が姿を現す。
石松が言うには、豊臣方と徳川方が一触即発の状態にある1615年の大坂で再び歴史改変が行われつつあり、解決のためにうららの力が必要だという。
前作「タイムスリップ川中島」での心の傷から立ち直っていないうららは、一旦は同行を拒否するものの、例によってなし崩し的にタイムトラベルすることになってしまう。
そして、過去2回に亘りタイムトラベルしている戦国時代で、うららは意外な人物に再会することになる。



鯨統一郎さん原案(第1作目の「タイムスリップ明治維新」のみ原作)、山本雄史さん脚本のラジオドラマの第5弾で、この記事をアップする2013年時点では最後の作品です。
前作の「タイムスリップ川中島」の放送が2007年。
前作で一応、シリーズ全体のストーリーが完結していましたので、3年間ブランクを空けて再登場したことになります。

「江」とタイアップ

このタイムスリップシリーズは、各作品が放送された年のNHK大河ドラマとタイアップするのが通例でした。
そのため、本作品は上野樹里さん主演の「江~姫たちの戦国~」とタイアップして大坂の陣が舞台に選ばれています。

2008年~2010年のタイムスリップシリーズ

ちなみに、タイムスリップシリーズの新作が制作されなかった2008年から2010年の3年間は過去の作品が再放送されました。
具体的には、「篤姫」が放送された2008年は「タイムスリップ明治維新」(2004年初放送)が、「天地人」が放送された2009年は「タイムスリップ戦国時代」(2006年初放送)が、「龍馬伝」が放送された2010年は「タイムスリップ川中島」(2007年初放送)が再放送されました。
2010年のみ大河ドラマと舞台があっていませんね。

この年はタイムトラベルものが多かった

ところで、本作品が放送された2011年は本作品の他に、タイムトラベル系の作品が「小袖日記」、「ほろびた国の旅」、「珊瑚の島の夢」と3作品も放送された年でした。
さすがに集中しすぎですね。

あっさり復活

さて、作品内容は基本的に毎回同じで、何者かの手によって行われつつある歴史改変をうらら、薔薇之介、石松の3人組が阻止するストーリーです。
実は、前作でレギュラー出演者のうちの一人が死んでしまっているのですが、ある手段を使って本作品で再登場しており、この基本パターンに変更はありません。
ちなみにこの主要登場人物が復活するやり方は、相原コージさん・竹熊健太郎さんによる漫画「サルでも描けるまんが教室」で紹介されていたパターンのひとつだったと思いますが、かなり、あっさりした再登場の仕方です。

「タイムスリップ戦国時代」との関係

また、すでに本作品と近い時代に2回もタイムスリップした経験があるうららですので、本作品でもその時の事件の顛末が語られたり、縁者が出てきたりして、今までの展開を踏まえた内容になっています。
というより「タイムスリップ戦国時代」の結末が、本作品のストーリーに直接的な影響を与えています。

「のだめカンタービレ」との関係

また、いつもと同じと言えば、このシリーズでは毎回のお約束になっている、うららが実際の歴史上の人物を見て大河ドラマの俳優さん(今回は上野樹里さん)と違うと叫ぶ台詞も健在です。
ちなみに、そのシーンで使用される曲はベートーヴェン「交響曲第7番」第1楽章抜粋。
そう、上野樹里さんが民放で主演したドラマ「のだめカンタービレ」でしきりに使われていた曲です。
局が違うんですけど…NHKなかなかやりますね。

黒幕は同時代人?

一方、いつもと違うことと言えば、今回の歴史改変の黒幕が日本人ではないこと、そしてタイムトラベラーではなく同時代の、ある有名な実在した作家であることです。
そのため、本作品はその作家の作品の名台詞を頻繁に引用する内容になっています。
その作家とは?
“To be or Not to be.”
うーん、バレバレですねえ。

真面目なうらら(その2)

そして、もうひとついつもと違うと言えば、うららがいつになく真面目であること。
「タイムスリップ川中島」以降、すっかり仲介役が板に付いてしまった観がありますがそれに加えて考え方もかなり真面目です。
今までも自分なりの正義感はあったのですが、あくまで自分目線であったのに対して、今回のうららは、良心の呵責に悩み、自らの罪に怯えるなど、かなり異色です。

今度こそ本当に完結

ストーリーの結末も前作とは違った方法ではありますが、今度こそ完全にこのシリーズは終わってしまう内容になっています。
全5作品も続いた作品ですので、終わってしまうとさすがに寂しいですね。
でも、最後の結末は今ひとつ納得いきません。
***が無事だったのは納得いくのですが、うららの**まで無くなっていたのはなぜなのか?(ネタバレ防止のため伏せ字)
私の理解力が足りないのかな?
今ひとつ理屈が分かりませんでした。

いつものメンバー

出演者はいつもどおり、田村ゆかりさん(うらら役)、織田優成さん(旧芸名:有馬克明さん、薔薇之介役)、浜中博史さん(石松役)、そして語りの佐々木睦さん。
不動のメンバーで安心して聴けます。

いつもの制作陣だが…

また、制作陣も、いつもどおり脚本が山本雄史さん、演出が保科義久さんのコンビです。
山本さんは「ゲノム・ハザード」や「バルト海の復讐」なども担当していますが、やはりタイムスリップシリーズの印象が強いですね。
一方の保科さんは1980年代からこの枠のラジオドラマを担当されているベテランで、「ジャガーになった男」など活劇が上手いイメージがあります。
完璧な涙」や「王の眠る丘」、それにこのタイムスリップシリーズなど、織田さんを多く起用している印象もあります。

ご冥福をお祈りいたします

そのほかスタッフについては、長い間、青春アドベンチャーの選曲を担当され、ここまでタイムスリップシリーズも担当していた伊藤守恵さんが、水津雅幸さんに交代しているのが涙を誘います。
ネットの噂ベースですが、伊藤さんはこの間に亡くなられたらしいです。
合掌。

【タイムスリップシリーズ各作品の記事へのリンク】

【保科義久さん演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
名作、迷作、様々取りそろっています。
こちらを是非、ご覧ください。



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