見え見えだったり、そうじゃなかったり。青春アドベンチャーの狙った放送スケジュール。

青アドの小ネタ

「狙った放送スケジュール」とは

先日、放送されたNHK-FM青春アドベンチャー「ふれるストーリーボックス」の最終話が「卒業式を探して」というタイトルで高校生の卒業式の日を描く作品だったのですが、その放送日はまさに2023年都立高校の卒業式がスタートする3月3日でした。
季節ものを放送するという意味では、夏の時期に戦争関係の作品を放送したり(こちらにまとめています)、年末にクリスマス関係の作品を放送したり(サンタクロースが歌ってくれたクリスマス・キャロルクリスマスの幽霊など)、主にFMシアターですが3月に震災関係の作品を放送する(どこかで家族、「はるかぜ、氷をとく」など)ことはよくあります。
しかし、作品内容に関係した歴史上の重要な日にひっそりと放送日をあわせるような、一種のお遊びも青春アドベンチャーでは度々行われているのです。

一覧というほど整理されていないが

こういったお遊びは公式HPなどでも公表しないことが普通なので、気がついた人だけ慄然とすることになります。
是非同じ気持ちを共有して頂きたくて、思い出す範囲で一覧にしてみました。

  • 蒲生邸事件(放送:1999年2月15日~2月26日)
    二・二六事件を小ネタに使った宮部みゆきさんのミステリーなのですが、放送の最終日が2月26日にピタリ。
    明らかに狙ってやっていますよね。
  • 白狐魔記 元禄の雪(放送:2016年12月5日~12月16日)
    これは前作「白狐魔記 天草の霧」が4月放送だったので、その時点で次は12月か?と予想できた案件でした。
    つまり12月はいわずとしれた元禄赤穂事件(いわゆる「忠臣蔵」の元ネタ)の起きた時期だったからなのですが、実際の放送ではさらにすさまじく、討ち入りの場面を放送する日を実際の討ち入り日(旧暦だけど12月14日)に合わせるという神業が披露されました。
  • また、桜の国で(放送:2017年8月25日~9月15日)
    第2次世界大戦直前にポーランドに赴任した外交官を主人公とした作品なのですが、作中でポーランド侵攻が描かれたのは第4回(8月31日放送)から第5回(9月1日放送)にかけて。
    実際のポーランド侵攻は1939年9月1日ですので、これも見事なあわせ方です。
    また、作品全体をワルシャワ蜂起(8月~10月)の時期とあわせています。
  • カムパネルラ(放送:2018年9月10日~9月21日)
    宮沢賢治ワールドと現実の世界をリンクさせた作品ですが、歴史的な事件とは無関係。
    だと思ったら、実は放送最終日にあたる9月21日は宮沢賢治の死去した日なのです。
    本作品、宮沢賢治の葬式のシーンもあるので意図的にあわせたのでしょう。
  • 武揚伝(放送:2018年10月8日~10月26日)
    こちらも死去した日にちつながりで、10月26日は「武揚伝」の主人公・榎本武揚の命日です。
    「武揚伝」自体は函館戦争までが舞台ですので、「カムパネルラ」と異なり命日は特に重要な作品ではなく、完全にスタッフのお遊びだと思います。

他にもありそう

その他、「碧眼の反逆者 天草四郎」の放送された4月6日から4月10日は原城の落城(4月12日)にかなり近い。
また、「タイムライダーズ」の放送期間4月3日から4月21日にタイタニック号の沈没日(4月15日)を含んでいますが、ピタリというわけではないので偶然かもしれません。
偶然という点でいうと「クリスマス・キャロル」の放送は原作の初版発売日にあっているのですが、これが両作品ともクリスマス近辺を狙ったからであって、その意味では偶然だと予想します。
なお、ここに記したのは私が覚えている範囲のものですので、忘れてしまったものや、そもそも気が付いていないものもたくさんあると思います。
気が付かれた方がいらっしゃいましたら是非ご教示ください。

未来を予言してしまった?

一方、これらとは真逆の意味でちょっと恐ろしい放送スケジュールだった例もあります。
まずは「バイオレンス・ジャック」。
永井豪さんの漫画を原作とした作品で、大地震のあとの荒れ果てた世界が舞台。
放送は1994年10月11日から10月22日までだったのですが、そのわずか3カ月後の1995年1月17日に阪神淡路大震災が発生しました。
そして2011年1月24日から2月4日に放送された「サバイバル」(さいとうたかをさんの漫画原作)の時は、放送の約2カ月後に東日本大震災(2011年3月11日)。
青春アドベンチャーでは少なくとも漫画原作の大地震物は放送しない方が良いのかもしれません。

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