青春アドベンチャーの競作ではないオムニバス作品一覧(原作あり作品編)

オムニバス作品等の一覧

青春アドベンチャーでひとりの原作者の作品だけを集めたオムニバス作品

青春アドベンチャーのオムニバス作品(1回15分でストーリーが完結する作品の集合体)は脚本家の競作形態をとることが多いのですが、例外的に作品内の全話が同一の脚本家又は原作者による作品もあります。
この記事はそういった作品のうち原作のある作品(=オムニバス小説を原作とした作品)の一覧です。

オムニバスといっても…

なお、一見オムニバスの形態をとりながら実は各話にゆるやかな繋がりがあり最終話が総まとめ的な内容になっている作品(「ウォーターマン」、「人魚が逃げた」など)や、個々の回のストーリーの独立性は高いものの全体の縦糸になるストーリーがあったり案内役がいる作品(「僕たちはもう帰りたい」、「新釈・遠野物語」など)は連続ものと捉える方が妥当と考え除外しました。

作品一覧

草上仁のミラクルワールド

草上仁さんはSF中心の方ですがこの作品は必ずしもSFっぽい作品ばかりではないので当ブログでの分類は「多ジャンル」にしています。

  • 分類 : 多ジャンル
  • 初出 : 1993年
  • 原作 : 草上仁
草上仁のミラクルワールド (青春アドベンチャー)
草上仁さんは、青春アドベンチャーでも有数の採用作品数の多い作家さんで、「くたばれ!ビジネスボーグ」(1993年)、「ウェディング・ウォーズ」(1995年)、「お父さんの会社」(1996年)、「愛のふりかけ」(2000年)の4作品が、それぞれ連続10回でラジオドラマ化されています。この記事でご紹介する「草上仁のミラクルワールド」はこれらの作品と異なり、その名のとおりハヤカワ文庫から出版しているの短篇集「お喋りセッション」、「ラッキー・カード」、「ゆっくりと南へ」の中から4篇を選び、各1回15分でラジオドラマ化したショートショートラジオドラマ作品です。ちなみに全4回と中途半端な放送回数なのは、11月3日が特番でお休みであったためのようです。

少年探検隊

全話童話を題材にしたエッセイという青春アドベンチャーでは唯一無二の独特の作品です。

  • 分類 : 多ジャンル
  • 初出 : 1994年
  • 原作 : 池内紀
少年探検隊 原作:池内紀(青春アドベンチャー)
ドイツ文学者でエッセイストの池内紀(いけうち・おさむ)さんの随筆「少年探検隊」をベースとする作品です。「少年探検隊」というタイトルからは、少年がどこか遠くに出かけて大冒険をする、といった児童向きの文学作品が想像されます。確かに本作品は児童文学を取り上げているのですが、タイトルから一見想像されるようなオリジナルのフィクション作品ではなく、大人向きの一種のエッセーです。

イッセー尾形のたゆたう人々・イッセー尾形のたまゆら日記

あまりにいじましいおじさんの日常が暗いトーンで描かれる独特の作風。
こちらも青春アドベンチャーでは他にはない作品。
なお「イッセー尾形劇場・凡庸の極み」は原作なし扱いにして別記事に整理します。

  • 分類 : 日常
  • 初出 : 1996年・1997年
  • 原作 : イッセー尾形
イッセー尾形のたゆたう人々 (青春アドベンチャー)
1995年から1997年の各9月に1作品ずつ制作された、イッセー尾形さんフィーチャーの3連作。本作品は1995年の「凡庸の極み」に続く第2弾で、翌1997年に制作された「たまゆら日記」との間に放送されました。
イッセー尾形のたまゆら日記 (青春アドベンチャー)
1995年から3年に亘り1作品ずつ制作された青春アドベンチャーの「イッセー尾形シリーズ」。1995年の「イッセー尾形劇場 凡庸の極み」、1996年の「イッセー尾形のたゆたう人々」に続く、最終作がこの「イッセー尾形のたまゆら日記」でした。

5つの贈りもの

全5話のうち3話が原作あり、2話がオリジナルという異色の構成。

  • 分類 : 日常
  • 初出 : 2005年
  • 原作 : パール・バック(第4話・第5話は井出真理「作」)
5つの贈りもの 原作:パール・バック、作:井出真理(青春アドベンチャー)
クリスマスを巡る5つの短編で構成されたオムニバス作品で、2005年のクリスマス前の時期に放送されました。ちなみに、クリスマス前の時期といえば、2013年と2020年に「クリスマス・キャロル」を、1993年と2010年には「サンタクロースが歌ってくれた」(再放送)を、2017年と2019年には「クリスマスの幽霊」を、2009年には本作品「5つの贈りもの」(再放送)を12月に放送しており、かなり意識して放送スケジュールを組んでいるようです。

押入れのちよ

後の直木賞作家・荻原浩さんの原作。
ホラー風味だがそれほど怖くはない。

  • 分類 : ホラー
  • 初出 : 2007年
  • 原作 : 荻原浩
押入れのちよ 原作:荻原浩(青春アドベンチャー)
後の直木賞作家・荻原浩さんの短編集「押入れのちよ」(全9編)から5編を取り上げてラジオドラマ化した作品です。各1回(15分)ずつ全5回で放送されました。荻原さんは本作品と同じ2007年に、もう1作、「僕たちの戦争」が青春アドベンチャーで原作として取り上げられているほか、10年インターバルを開けて2017年に「金魚姫」が採用されています。

ごくらくちんみ・ごくらくちんみ(第2期)

江戸文化研究家の故・杉浦日向子さんの原作。
食をテーマにした掌編集。

  • 分類 : 旅とグルメ
  • 初出 : 2009年・2011年
  • 原作 : 杉浦日向子
ごくらくちんみ 原作:杉浦日向子(青春アドベンチャー)
青春アドベンチャーはひとつの話を通常15分×10回程度で放送する場合が多いのですが、1話完結の短編で構成される作品もあります。本作は漫画家・江戸風俗研究家であった杉浦日向子さん原作の全5回の短編集です。毎回、女性の主人公(各話ごとに異なる)の生老病死を、以下の珍味(酒肴)と絡めて語る内容で、単なるフィクションというよりグルメ薀蓄を交えたエッセイ風の雰囲気を持つ作品です。
ごくらくちんみ 第2期 原作:杉浦日向子(青春アドベンチャー)
漫画家で江戸風俗研究家であった杉浦日向子さんの小説が原作のラジオドラマで、1話完結・全5回の短編集です。本作には2009年に放送された同じタイトルの作品(ごくらくちんみ)があります。

幻坂

有栖川有栖さん原作だが本格ミステリーではなく、ファンタジーあるいはホラー作品。

  • 分類 : 幻想(日本/シリアス)
  • 初出 : 2014年
  • 原作 : 有栖川有栖
幻坂 原作:有栖川有栖(青春アドベンチャー)
ミステリー作家として有名な有栖川有栖さんの小説を原作とするラジオドラマです。ただし、本作品「幻坂」は推理小説ではなく(第3話のみ少しだけその要素がある)、一種のファンタジー小説です。青春アドベンチャーは「人気作家の有名作」といった、直球ど真ん中の作品をあまり扱わない(ひょっとして予算の問題から扱えない?)傾向があり、本作品も青春アドベンチャーらしい「ずらし具合」のチョイスだなと感じます。

あなたがいる場所

スポーツ小説や旅行小説で有名な沢木耕太郎さん原作だが、日常に交錯する生死の一断面を描いた作品。
なお、タイトルが似ている「あなた似た自画像」は脚本家競作のオムニバス。

  • 分類 : 生老病死
  • 初出 : 2014年
  • 原作 : 沢木耕太郎
あなたがいる場所 原作:沢木耕太郎(青春アドベンチャー)
沢木耕太郎さんといえば「深夜特急」、「テロルの決算」、そして「一瞬の夏」。主にスポーツや旅をテーマにしたノンフェクション、ルポルタージュで有名な方ですが、本作品は沢木さんの初の短編小説集「あなたがいる場所」を原作としたラジオドラマです。

ディス・イズ・ザ・デイ

サッカーをサポーター中心に描いた作品で、架空の2部リーグのスポーツチームを描いている。
その意味で舞台設定に多少のつながりはあるが、ほぼ各話が独立している。

  • 分類 : スポーツ
  • 初出 : 2019年
  • 原作 : 津村記久子
ディス・イズ・ザ・デイ 原作:津村記久子(青春アドベンチャー)
日本サッカー2部リーグ、最終節。全国5会場で繰り広げられる熱戦の陰でサポーターたちの様々な人間ドラマが繰り広げられていた。お気に入りのチームにはもちろん勝って欲しい。でもそれだけではない。スタジアムに集う理由はさまざまだ。

<あの絵>のまえで

有名な絵画をモチーフにしたオムニバス作品。
原田マハさんはキュレーターでもある。

  • 分類 : 日常
  • 初出 : 2020年
  • 原作 : 原田マハ
<あの絵>のまえで 原作:原田マハ(青春アドベンチャー)
人生に迷って立ち止まった時、あの絵との出会いが再び歩き出すきっかけとなった。これは1枚の絵が引き起こした5つの小さな奇跡の物語。本作品「<あの絵>のまえで」は原田マハさんによる同名の短編集を原作とするラジオドラマです。原作小説は6篇構成なのですが、本作品はそのうちモネの「睡蓮」をモチーフにした「さざなみ」以外の5篇を1回15分ずつの枠でラジオドラマ化しています。

夜に星を放つ

第167回直木賞受賞作。
全体を通して「夜」と「星」がモチーフ。

  • 分類 : 日常
  • 初出 : 2023年
  • 原作 : 窪美澄
夜に星を放つ 原作:窪美澄(青春アドベンチャー)
2022年上期の第167回直木賞を受賞した窪美澄さんの小説「夜に星を放つ」。そのオーディオドラマ化作品が本作品です。原作小説は相互にストーリー上の関連がない5篇の短編から構成されていますが、本作品はそのすべてを15分×2回ずつでドラマ化しています。いずれも人との出会いや別れといった人間関係の移ろいを繊細に描いた作品群で、第1週目の最初の2話については少しの恋愛要素を織り込みつつ少しの痛みを伴う別れの物語になっていました。本作品は当記事アップ時点で第3目の前半が終了したところ。全体が終了した時点で記事を修正したいと思っています。

実は昔の方が多かった

青春アドベンチャーが30年以上続いている割には、このような企画の作品は少ないと感じられると思います。
実は1980年代・1990年代の前身番組、特に「ふたりの部屋」、「カフェテラスのふたり」、「サウンド夢工房」は短編集やエッセイ原作の作品が多く、このような形態の作品もたくさんありました。
その中でも特に好きな作品は「十二人の手紙」です。

十二人の手紙 原作:井上ひさし(ふたりの部屋)
本作品「十二人の手紙」は井上ひさしさんの同名のオムニバス小説を原作とするラジオドラマです。大衆小説、SFからファンタジーそして戯曲まで井上ひさしさんといえば戦後日本を代表する作家、脚本家のおひとり。直木賞(大衆小説)、日本SF大賞(SF小説)、岸田國士戯曲賞(戯曲)をすべて受賞しているのって井上ひさしさんくらいではないでしょうか。

概観

今回の一覧の原作者は意外と有名な作家が多い印象です。
「有名な作家の有名な作品」をあまり採用しないのが、青春アドベンチャーの特徴といえると思うのですがそれを象徴するような一覧になりました。
なお、ひとりの脚本家の手によるオムニバス作品(番組オリジナル脚本作品)については別記事にする予定です。


◆青春アドベンチャーの5大オムニバスシリーズ・プラス2
連続ドラマ(帯ドラマ)が通常の青春アドベンチャーにおいて脈々と受け継がれてきた脚本家競作のオムニバスドラマ作品。
それをシリーズごとに紹介した記事は以下のとおりです。
シリーズもの以外のオムニバス作品と干支シリーズも付け加えています。

  1. 青春アドベンチャー・不思議屋シリーズの作品一覧
  2. ライフシリーズの作品一覧
  3. 10人作家シリーズ(名古屋脚本家競作シリーズ)の作品一覧
  4. ストーリーボックスシリーズの作品一覧
  5. オムニバスドラマ「スケッチブックシリーズ」の一覧
  6. シリーズ以外の脚本家共作オムニバス作品一覧
  7. 年忘れ青春アドベンチャー・干支シリーズの作品一覧

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