【特集:青アド・ポーカー18】直木賞受賞作がNHK-FMでラジオドラマ化されたケース
この「青アド・ポーカー」のコーナーは、NHK-FMのラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」(系列番組を含む)で放送されたラジオドラマについて、緩やかなつながりを見つけて、それをポーカーの役になぞらえて楽しもうというコーナーです。
今回は直木賞
以前、青春アドベンチャーの原作として取り上げられた芥川賞作家を紹介しましたが、今回は芥川賞と対になる直木賞(正式には「直木三十五賞」)を取り上げます。
純文学の賞である芥川賞と異なり、直木賞は大衆小説に対して贈られる賞であり、エンタメ作品を放送する青春アドベンチャーとは相性の良い賞です。
そのため、芥川賞と同じように直木賞の受賞「作家」を特集するのであれば、まさに枚挙に暇はありません。
このブログで紹介した作品の中からざっと上げるだけでも以下のとおりになります(敬称略)。
- 石田衣良(エンジェル)
- 今村翔吾(火喰鳥 羽州ぼろ鳶組ほか)
- 逢坂剛(あでやかな落日)
- 大沢在昌(アルバイト探偵、新宿鮫 氷舞)
- 荻原浩(僕たちの戦争、押入れのちよ、金魚姫)
- 海音寺潮五郎(鷲の歌)
- 角田光代(なくしたものたちの国)
- 桐野夏生(顔に降りかかる雨)
- 佐々木譲(獅子の城塞、武揚伝)
- 佐藤賢一(ジャガーになった男)
- 篠田節子(聖杯伝説)
- 朱川湊人(鏡の偽乙女~薄紅雪華文様)
- 高橋克彦(ドールズ~闇から来た少女)
- 半村良(女たちは泥棒)
- 東野圭吾(虹を操る少年、分身)
- 三浦しをん(神去なあなあ日常)
- 道尾秀介(光)
- 宮部みゆき(蒲生邸事件、今夜は眠れない、夢にも思わない)
- 村山由佳(エンジェルス・エッグ、おいしいコーヒーのいれ方)
- 森絵都(DIVE!!、カラフル)
- 山田詠美(ぼくは勉強ができない)
- 連城三紀彦(黄昏のベルリン)
受賞作自体が原作
しかし、青春アドベンチャーの「やや外す」という方針(勝手な想像)もあるのか、直木賞受賞作自体を取り上げることは稀です。
2023年7月放送の「夜に星を放つ」でようやく「直木賞受賞作フォーカード」ができましたので、ご紹介いたします。
蜩ノ記(原作:葉室麟さん)
青春アドベンチャーでは数少ない本格時代劇の「蜩ノ記」は第146回(2011年下半期)の直木賞受賞作です。
青春アドベンチャーではSF作品がよく取り上げられるのですが、SF作品に対して直木賞はなぜかとても辛い。
一方、時代劇は青春アドベンチャーではあまり取り上げられませんが、直木賞における受けはいい。
それが青春アドベンチャーで直木賞受賞作が少ない一つの原因になっていると考えます。
遠い海から来たCOO(原作:景山民夫さん)
放送作家として、小説家として一世を風靡された景山さんの代表作ではある「遠い海から来たCOO」は、第99回(1988年上半期)の直木賞受賞作です。
ラジオドラマとしては「アドベンチャーロード」の時代に放送されましたが、正当的で単純な冒険小説すぎて、受賞に当たっても議論があったようです。
青春デンデケデケデケ(原作:芦原すなおさん)
「青春デンデケデケデケ」は第105回(1991年上半期)の直木賞受賞作。
ラジオドラマは1991年5月の放送ですが、直木賞発表は例年7月ごろですので、ラジオドラマ放送後に受賞したものと思われます。
ちなみに翌1992年には大林宣彦監督の手で映画化されています。
本作品は高校生のバンドを巡る青春物語ですが、ラジオドラマは「スラップスティック」というバンドをやっていた有名声優4人をそのまま起用した意欲作でした。
夜に星を放つ(原作:窪美澄さん)
青春アドベンチャーでは2作品目の直木賞受賞作で2022年上期の第167回直木賞が2023年に青春アドベンチャー化されました。
この4作品の中では唯一の女性作家の作品かつ短編のオムニバス作品です。
なお、5作品のうち2作品は新型コロナウィルス感染症を扱っており、極めて今日的な話でもあります。
実はもう1作
なお、上記の3作品以外の直木賞受賞作としては、「アドベンチャーロード」時代に放送された逢坂剛さん原作の「カディスの赤い星」があります。
是非もう一度聞いてみたいと思っているのですが、音源が手元にありません。
もしお持ちの方がいらっしゃいましたらお聞かせいただけましたら幸いです。
■シリーズ「青アドポーカー」
作品間の緩やかな繋がりを楽しむこの企画。
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