本屋大賞受賞作つながり

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【特集:青アド・ポーカー21】本屋大賞受賞作つながり

「本屋大賞」はその名のとおり、作家や評論家が選考するのではなく、全国の書店の書店員の投票で決められる文学賞です。
2004年に始まった新しい賞ですが、今では売上部数に影響のある賞として一定の評価を得ているようです。
一応、1位が「大賞」ですが、例年10位まで発表されています。

重要な作品供給源

青春アドベンチャーでもこの賞の受賞作家、受賞作を積極的に取り上げる傾向にあり、実は「大賞」(=1位)の作品を取り上げたのは「一瞬の風になれ」だけなのですが(人気がありすぎてラジオドラマごときでは放映権を取れないから?)、2位以下であれば、すでに紹介した作品の中でも以下の13作品が取り上げられています(FMシアターでの制作を含む)。

2005年第3位:家守綺譚(原作:梨木香歩さん)

家守綺譚」は2005年に元男闘呼組の高橋和也さん主演で青春アドベンチャー化されました。
良作と評判のラジオドラマです。

2006年第3位:死神の精度(原作:伊坂幸太郎さん)

青春アドベンチャーでオーディオドラマ化された伊坂幸太郎さんの作品は3作品。
そのうち、この「死神の精度」は2006年の本屋大賞第3位作品です。

2007年第4位:終末のフール(原作:伊坂幸太郎さん)

2作品目は「終末のフール」で2007年本屋大賞第3位。
その他「オーデュボンの祈り」がラジオドラマ化されています。
「死神の精度」と「終末のフール」は連作短編形式の作品です。

2007年第1位:一瞬の風になれ(原作:佐藤多佳子さん)

佐藤さんの作品は「一瞬の風になれ」の他にも「しゃべれどもしゃべれども」も青春アドベンチャー化されています。
なお、この2007年の本屋大賞では、同じ女性作家の作品で同じように陸上競技を題材とし、どこかタイトルも似通っている「風が強く吹いてる」も第3位に入っています。

2008年第3位:有頂天家族(原作:森見登美彦さん)

有頂天家族」は2009年に青春アドベンチャー化、2013年にテレビアニメ化されています。
青春アドベンチャーでの主演は河相我聞さんでした。

2013年第8位:世界から猫が消えたなら(原作:川村元気さん)

世界から猫が消えたなら」のオーディオドラマは妻夫木聡さん主演で、本作の聴きどころもずばり妻夫木さんの演技です。
ただし実は本作品はちょっと番外編で、青春アドベンチャーではなくFMシアターでオーディオドラマ化されました。

2010年第4位:神去なあなあ日常(原作:三浦しをんさん)

神去なあなあ日常」も2014年の映画化の4年前の2010年に青春アドベンチャー化されています。
青春アドベンチャースタッフの初動の速さはなかなかのものです。

2012年第3位:ピエタ(原作:大島真寿美さん)

2012年青春アドベンチャーの隠れた傑作「ピエタ」も本屋大賞3位を受賞しています。
たまにはこういう上品な作品もいいものです。

2017年第9位:コンビニ人間(原作:村田沙耶香さん)

コンビニ人間」は芥川賞受賞作でもあります。
こちらも青春アドベンチャーではなくFMシアターでのオーディオドラマ化。

2017年翻訳小説部門:ハリネズミの願い(原作:トーン・テレヘン)

ハリネズミの願い」の原作者のテレヘンはオランダの国民的な作家さんとのこと。
翻訳小説部門は第9回(2012年)から発表されています。

2019年第3位:ベルリンは晴れているか(原作:深緑野分さん)

ベルリンは晴れているか」は第二次世界大戦直後のベルリンを舞台にドイツ人の少女を主人公にして日本人の作家が書いた意欲作。
第160回の直木賞候補作でもあります。

2021年第7位:滅びの前のシャングリラ(原作:凪良ゆうさん)

滅びの前のシャングリラ」は「終末のフール」、「ひとめあなたに…」などと同じ終末もの。
凪良ゆうさんは2020年の本屋大賞で「流浪の月」で大賞を受賞しています。

2022年第5位:六人の嘘つきな大学生(原作:浅倉秋成さん)

2022年1月に青春アドベンチャー版が放送された「六人の嘘つきな大学生」。
その後、4月に本屋大賞5位が発表され、5月には映画化、舞台化、漫画化の発表。
相変わらず青春アドベンチャースタッフの先物買いは素晴らしいですね。

2023年第5位:月の立つ林で(原作:青山美智子さん)

月の立つ林で」はこの一覧では珍しいオムバス形式の作品。
ちなみに青山さんは2021年と2022年にも本屋大賞の2位を受賞しています。

受賞作家でリストアップすると

なぜだか第3位と第4位がやたらと多い、不思議な一覧になりました。
中盤くらいの順位の作品を、敢えて狙っているんですかね?
なお、「受賞経験のある作家」の原作ということであれば他にもまだまだあります。
一覧にすると以下のとおりです。

発掘部門

また、本屋大賞には過去作をラインナップする「発掘部門」というものもあります。
こちらは各投票者が発売時点に関係なく過去作から好きな作品を選ぶもので、集計はせずリスト化したものがずらずらと発表されるだけ(2016年から実行委員会が1冊選ぶ「超発掘本!」が発表されている)なのですが、ここにも青春アドベンチャー(又はその前身番組及びFMシアター)でラジオドラマ化された作品が多く含まれています。
過去作だけあって、「発掘部門」で選ばれた年と作品の発表時期、そしてラジオドラマ化の時期が全く符号していませんね。

「本屋大賞」は青春アドベンチャーに相性の良い賞といえると思います。


■シリーズ「青アドポーカー」
作品間の緩やかな繋がりを楽しむこの企画。
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