【特集:青アド・ポーカー35】「原案」があるラジオドラマの一覧
2021年は多かった
NHK-FM青春アドベンチャーで放送されるラジオドラマは、大きく小説・漫画等の「原作」がある作品と、それがないオリジナル脚本の作品に分かれます。
前者は「原作:○○○○、脚色:○○○○」と原作者と脚本家の名前が並んで表示され、後者は「作:○○○○」と脚本家の名前のみ表記されるためすぐに見分けがつきます。
しかし、2021年11月現在、青春アドベンチャーの30年弱・400作品以上の歴史の中で8作品だけ、「原案」という方の名前が表記された作品があります。
2021年、珍しくも3作品も「原案」作品があったことを記念してその一覧を記載します。
原案付き作品の一覧
- 光の島(2003年)
原案付き作品の中でももっともイレギュラーなのがこの「光の島」。
原作と原案がともにある珍しい作品です。
というのも直接の原作作品は尾瀬あきらさんによる漫画なのですが、この漫画にはさらに元になった森口豁さんによる「子乞い―沖縄孤島の歳月」というノンフェクションがあるための「原案」表記なのです。 - タイムスリップ源平合戦(2005年)
- タイムスリップ戦国時代(2006年)
- タイムスリップ川中島(2007年)
- タイムスリップ大坂の陣(2011年)
鯨統一郎さん「原案」のタイムスリップシリーズですが、実は2004年の第1弾「タイムスリップ明治維新」には原作小説があり、「原案」ではなく「原作」表記でした。
もともと「明治維新」の段階からオリジナルキャラが活躍する作品で、脚本家(山本雄史さん)の色の濃い作品でしたが、第2弾の「タイムスリップ源平合戦」から完全なオリジナルシナリオになり、「原案」表記に移行しました。 - 負け犬たちのミッドナイト・バス(2021年)
「負け犬たちのミッドナイト・バス」で原案表記されているのは漫画家のサレンダー橋本さん。
どうも元ネタになる漫画があったようにも見えず、ちゃんと脚本家も「作」として蔭岡翔さんがついています。
本作品におけるサレンダー橋本さんの位置づけはいまひとつわかりません。
ご本人のTweetも「NHKオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の原案を担当しました。」というそっけないものだけですし。
謎だ。どなたかご存知の方いらっしゃいませんか?NHKオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の原案を担当しました。負け犬たちのミッドナイト・バスという題で、声は栗原類さん、内田理央さん。脚本は蔭岡翔さんです。
2/1(月)21:15スタートで全10話!お楽しみに〜https://t.co/ZDbmfrEIpk pic.twitter.com/MCoiwlfsj0
— サレンダー橋本 (@surrender_h) January 7, 2021
- 人工心臓(2021年)
シナリオ自体は「作」の長谷川彩さんによるものと思われますが、明治・大正期の作家、小酒井不木さんによるわが国初のSF小説「人工心臓」(実在する小説)がストーリー上、重要な位置付けにあることからこのような表記になったものと思います。
江戸川乱歩や小酒井不木といった実在の人物と、博士やその妻・房子といった小説「人工心臓」の登場人物が交互に登場する不思議な作品です。 - 黒十字の魔女 ヴィクトリア朝怪奇冒険譚外伝(2021年)
2017年にめでたく3部作(月蝕島の魔物、髑髏城の花嫁、水晶宮の死神)として完結したはずの田中芳樹さん原作の「ヴィクトリア朝怪奇冒険譚」がオリジナル脚本の「外伝」として復活。
本作では田中芳樹さんは「原案」扱いとなりました。
原作作品から原案作品へと続く流れは「タイムスリップシリーズ」以来だと思われます。
ひょっとしてこの後も続くでしょうか?
その他の作品
これらの作品の他、「ふたりの部屋」時代の「拝啓 名探偵殿 パート2 」(原案:藤原宰太郎さん)や、「エアメール・スペシャル」(原案:久保田早紀さん)などが、すでに紹介した作品における「原案」表記作品です。
また、2021年の「ピーチ・ガイ~ハリウッド・リメイク『桃太郎』~」は、書籍を原案に再構成のうえラジオドラマ化したものですが、原案の著者とラジオドラマ化の脚本家が同一人物のため、単に「作」とされており「原案」表記はありませんでした。
■シリーズ「青アドポーカー」
作品間の緩やかな繋がりを楽しむこの企画。
その他の記事の一覧はこちらです。
2021/10/20補足
この記事は元々2021年に原案作品が2作品(負け犬たちのミッドナイト・バス、人工心臓)もあったことから作成したのですが、なんとその後の11月に3作品目の原案作品が放送されることになり、3作品を前提に書き替えたものです。
コメント