【特集】300作品紹介記念②:青春アドベンチャー・フェバリット演出家ランキング
演出家ランキング
この記事では、当ブログでNHK-FMのラジオドラマ300作品紹介を達成した記念として、この300作品に当ブログで付した格付けを基に、演出家さんごとの平均評点をランキングしようと思います。
作品の幅が広い
改めて申し上げますが、青春アドベンチャーはNHK-FMに残された最後の帯ドラマの枠です(他に1話完結形式であればFMシアターが、AMであれば「新日曜名作座」がある)。
そのためか、一応、若者向けというくくりはあるものの、エンターテイメント性の高い作品から日常が舞台の作品まで、様々な傾向の作品が放送されます。
はっきりいってリスナー層をあまり絞れていない、というか絞っていないと思います。
恐らくリスナーも幅広い
これはこの番組の長所でもあれば欠点でもあり、某巨大掲示板を見ていても、リスナーが傑作と考える作品は各リスナーごとにバラバラの傾向があります。
このブログの格付けも、あくまで私の趣味で付けていることもあり、リスナー全体の人気ランキングと一致しているとはとても思えません。
そのため、今回の記事のランキングもあくまで「私が好きな演出家」であるにすぎず、一般的な人気ランキングを推定しようとして企画したものでは全くありません。
この点にご留意の上、ご笑覧頂ければ幸いです。
あくまでサンプルは限定的です
さて、そうは言いつつ、この記事は楽しく読んでいただけるようにランキング形式にしたいと思います。
評価の方法は前の記事と同様に格付けに評点を振る方式(AAA=5点~C=1点)で、担当演出家別に平均をとっています。
一つの作品を複数の方が演出している場合は、両人とも1作品としてカウントしています。
その結果、例えば「五つの夢」だけで4人の演出家に1票ずつ入っています。
また、あくまですでに紹介した300作品を対象とするとともに、紹介済み作品が5作品に満たない方はサンプルが少ないため選外としています。
ここで選外にする基準を「5作品未満」とするか「3作品未満」とするかでかなりランキングは変わってきます。
具体的には、「カルパチア綺想曲」・「リプレイ」・「あの夜が知っている」の芦田健さん(平均評点4.47)や、「夏への扉」などの岩谷可奈子さん(平均評点3.77)、「西風の戦記」などの小木哲郎さん(平均評点3.47)、「スフィア」・「レッドレイン」などの中島由貴さん(平均評点3.10)などが選外になってしまいました。
それではスタート
さてさて、いつもながら前置きが長くなってしまったので評点が高いベスト10を10位から発表します。
- 第10位:藤井靖さん:平均評点2.83
2014年に最も多くの作品を演出された藤井靖さんが第10位に入りました。
まず申し上げたいことは、上記のとおり紹介数が少ない演出家さんが上位に来安いことは明らかであり、たくさん演出している方ほどこのランキングは不利になることです。
実は私がいつも楽しみにしている真銅健嗣さん(封神演義など)は平均評点2.72でベスト10外でした(真銅さんの作品はとくに振り幅が大きいので…)。
そうした中で、現在、非常にたくさんの作品を演出していながら平均評点が高い藤井さんへのMY評価は、第10位とはいえかなり高いです。
個人的な藤井作品のベストは「風神秘抄」か「ピエタ」のどちらか。
逆に今一つピンと来なかったのは「月蝕島の魔物」や「小惑星美術館」でしょうか。 - 第9位:小島史敬さん:平均評点2.83
ごく僅差で第9位になったのは小島史敬さん。
「ゴー・ゴー!チキンズ」や「ヤッさん」など割と身近な題材を扱うことが多いように感じます。
MYフェバリットは「バスパニック」。
小島さん作品にはひとつも”C”を付けていません。 - 第8位:佐々木正之さん:平均評点2.88
年1~2本しか担当作品がない佐々木正之さん。
最近の代表作は、ボクっ子迷探偵が活躍する「放課後はミステリーとともに「探偵部への挑戦状」」でしょうか。
佐々木さん演出で紹介した8作品はへの格付けは、“AA”から“B”に収まっており、標準偏差も0.57ととても小さい。
安定した面白さです。 - 第7位:吉田努さん:平均評点2.93
先に述べた真銅さんの評点の標準偏差1.25を凌ぐ、標準偏差1.31をたたき出した振れ幅の大きい演出家さんが吉田努さんです。
“AAA”または“AAA-”の作品が「DIVE!!」・「砂漠の王子とタンムズの樹」・「スピリット・リング」と3作品もありながら、なぜかトータルでは第7位。
実は吉田さんには「スウィート・アンダーグラウンド」、「645~大化の改新・青春記」、「少年漂流伝」といった尖がったオリジナル脚本企画の作品が多いのです。
これらが私の肌にあわなかったためこの順位にとどまっているのですが、一般的な評価はもっと高いはずです。 - 第6位:保科義久さん:平均評点3.08
1980年代から2000年代中盤まで、青春アドベンチャーらしい冒険ものをたくさん作られていたのが保科さんでした。
保科さんもやはり多作ながら気持ちの良い作品が多く、私は大好きな演出家さんです。
専業の声優さんを多用するのも保科さんの演出作品の特徴でした。
“AAA”クラスの作品は「ジャガーになった男」、「オルガニスト」の二つだけと少ないのですが、“AA”クラスの作品はずらりと並びます。
「完璧な涙」だけはさっぱり良さがわかりませんでしたが。
保科さんに関しては、作品一覧をこちらに作っていますので、ご参照ください。 - 第5位:伊藤豊英さん:平均評点3.13
1980年代から1990年代にかけて活躍された方で、「暗殺のソロ」や「CF愚連隊」など、保科さん同様、気持ちの良い冒険物語が多い方です。
でも、伊藤さんの作品で最も高格付けにしているのはリリカルな「ふたり」だったりします。
伊藤さんに関しても、こちらに作品一覧を作っています。ご参照ください。 - 第4位:平井敦さん:平均評点3.26
平井さんの演出作品は5作品しか紹介していなので、参考記録と考えた方が良いかもしれません。
でも“AAA”を付けた「分身」や“AA”の「海賊モア船長の遍歴」など確かに面白い作品が多い。
「フルネルソン」だけはどうも肌に合いませんでしたが。 - 第3位:松本順(すなお)さん:平均評点3.28
松本さんはどちらかというと制作統括(プロデューサー)の印象が強いですが、演出作品も6作品紹介しています。
実が“AAA”クラスはひとつもなく、“AA+”の「光の島」が最高位です。
あまり高い格付けにしませんでしたが「カレーライフ」なども意外と楽しめた作品でした。 - 第2位:川口泰典さん:平均評点3.43
1990年代に、今の藤井靖さん以上のハイペースで異常な数の作品の演出を担当されていたのが川口さんです。
共同名義の作品が多いのでどこまで川口さんが切り盛りされていたのかは不明ですが、とにかく一時期の青春アドベンチャーは川口さん関連の作品ばかりです。
川口作品の特徴といえば、海外小説の原作作品が多いこと、そして宝塚出身の女優さんの多用です。
また、川口作品に付した格付け面での最大の特徴は“AAA”クラスが多いこと。
詳しくはこちらの川口さん演出作品一覧を見て頂きたいのですが、この記事の時点でも「ブラジルから来た少年」、「おろしや國酔夢譚」など6作品もあります。
ただ、中には「猫のゆりかご」、「時間泥棒」など、ピンと来ない作品もありました。 - 第1位:笹原紀昭さん:平均評点3.95
栄えある(?)第一位に輝いたのは笹原紀昭さん。
アドベンチャーロード期に活躍された笹原さんの演出作品は、わずか6作品しか紹介していないものの、最も低い格付けが「皇帝の密使」の“A+”。
それ以外の5作品、「脱獄山脈」、「遠い海から来たCOO」、「幽霊海戦」、「空色勾玉」、「木かげの家の小人たち」はすべて“AA-”以上。
でも、“AAA”クラスは「木かげの家の小人たち」だけなんですけどね。
その後、笹原さんの紹介作品も、こちらに一覧を作りました。
次の特集は「2014年作品一覧」です。
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