2023年アンケート結果1:青春アドベンチャー作品編

アンケート(年次)

【2023年NHK-FMオーディオドラマアンケート結果1:青春アドベンチャー・作品編】

9年目を迎えたNHK-FMオーディオドラマの人気アンケート。
今年も多くの方にご協力いただきました。
ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。
さて、まずは青春アドベンチャーに対するアンケートのうち作品に対する投票結果及びご感想です。
以下の諸点にご注意ください。

  • 参加者数の限られたアンケートですので順位は参考程度とお考え下さい。
  • 投票していない作品にもコメントできますので、各コメントは必ずしも投票者によるものではありません。
  • 今年も特定の出演者のファンの方による集中投票の傾向がみられました。詳しくは別途作成する反省会の記事をご覧ください。
  • 参加者の属性等はこちらの記事をご覧ください。

それでは早速、結果を発表します。
(注意)コメントには一部ネタバレ要素があります!

作品編・総合順位

第1位(31票)

嘘の木

嘘の木 原作:フランシス・ハーディング(青春アドベンチャー)
ダーウィンの進化論を否定する画期的な発見、ニューファルトン・ネフェリム。それは肩に羽が付いていた痕跡のある人間の化石だ。牧師で博物学者でもある私の父、エラスムス・サンダリーはこの発見で世間の注目を浴び、そして世間からつまはじきに合った。この化石に捏造の疑いが掛かられたためだ。そして、周りの冷ややかな目から逃れるために私たち家族は絶海の孤島への移住を余儀なくされた。しかし、あの化石が偽物の訳ない。捏造なんてありえない。私はお父様を信じている。

主演の能登麻美子さんのセリフとモノローグのウエイトがとても高い作品で、リスナーさんの感想を読むとそれをどうとらえたかがこの作品へのみなさんの評価を分けている気がする。
一方、能登さんの演技に隠れがちだが「暗闇で不気味に繁茂する謎の植物」を音で表現するという難題にスタッフが挑戦していることにも注目したい。
これら2つの点が成功したか否かは、この票数とコメントが証明していると思う。

■リスナーの感想■

  • 能登麻美子さんのモノローグがとても多い作品だが彼女の綺麗すぎる声に個人的にあまり乗れなかった。ただ、毎日楽しみに聴けたので「ウィル」「からふる物語」と競った末に3作品目に選んだ。(Hirokazu)
  • 「嘘の木」を巡るミステリー調の児童文学をオーディオドラマ化していて、主演の能登麻美子がヒロインを熱演していたのが印象的だったため(A)
  • 出演者の声が素晴らしい。そして父が善人ではなかったところが日本にはない感性だと思いました。(ヒトリーヌ)
  • 平田広明さんのことが好きで、初めて青春アドベンチャーを聴きました。平田さんが出てる出てないに関係なく、毎日とても楽しみにしていました。今までこういった朗読劇?オーディオドラマ?は聴いたことが一度もなかったのですが、読書が好きな私にとって、朗読というのはとても面白くて魅力的な物だと知ることができました。嘘の木というお話自体も初めて知ることができ、とても良い経験になりました。(heri)
  • ハラハラする展開で引きが良かった(fooomiyo)
  • 年の瀬に来て久々に青春アドベンチャーらしい作品に出会えた気がしました。オールドリスナーにとっては海外原作でミステリーはそれだけでワクワクしますが、今作はとにかく能登麻美子さんのワンマンショー。素晴らしい演技に聞き惚れました。(エンマ)
  • お話は悪くないと思うのですが、主人公の声が全然14才の少女に思えなくて残念でした。お母さんの声も高齢の人が演じていたようでまるで色気がなかったが、主人公に合わせたのではないかと邪推してしまう。(匿名希望)
  • 原作を凌駕するほどの新たな解釈の脚本に感じました。(北辺のマック使い)
  • 初聴であまりにも印象に残らなかったので、雑記帳を参考にして「フェイスの成長」を軸に聞き直したら少し味わいが出た。最後の「次回をお楽しみに」で「ニコルの塔」感が強くなりすぎて、二つの作品がクロスオーバーしてしまった事も印象を薄めた原因のような気がする。
    潘めぐみさんが少年ポール役だったので、少し前に放送された「とけるストーリーボックス」の第一話とリンクしているようで面白かった。・・・これって、ほぼ「あたしの嫌いな私の声」の流れですね(笑)。(HYRON)
  • フェイスの頑張りを応援しながら聞いていました。役者さんたちの演技もとても素敵でした。(かな)
  • すごくドキドキしました(みっきーちゃん)
  • 真実に少しずつ迫っていく構成が良かった。(タジ)
  • ミステリーとファンタジーを組み合わせたような話でとても引き込まれました。(みか)
  • 聞き応えのある作品だが、ちょっと救いのないお話に感じる。主人公のように割りきれない。(K2)
  • 洞窟のシーンが印象的。あの不気味に育った植物を音で表現されていて、イメージがしやすかった。(げん)
  • 主人公の声が良く、他の声優も粒揃いで固めていて良かった。
    内容も勿論良く音楽も良かった。(端森郎花 )
  • 19世紀が舞台だけあって、今では聞けないような辛辣なセリフが印象に残って良かったです。(けく)
  • 能登麻美子さんの声が素敵すぎる。(かりんこぱぱ)
  • 俳優や他の役者を否定するわけではないけれども、やっぱり、声優さんの演技って聞きやすいなって思いました。(匿名希望)
  • 能登麻美子可愛いのですが、1/1の地震は哀悼の意を伝えたい。(hirog3)
  • 主人公の人の心を見透かした巧みな嘘が怖くて途中で挫折。俳優さんの声が素敵な分、嘘が怖かった。再放送あったとしても聴けないかな(結構トラウマ)(匿名希望)
  • 声優の魅力再発見!しかしよくこんな原作探して来ますね。(鈴木橙輔)
  • 次の展開が気になった(かなゆいひむら)
  • キャスティングとあらすじに惹かれ、しばらくぶりに聴いた青春アドベンチャーはミステリアスなファンタジーした。その高いエンタメ性、そして女たちの物語でもある現代性がとても良かったです。ラスト、泣いた。(ボン)
  • 回を追うごとに引き込まれた。CVの芝居、音楽など、近年まれにみるクオリティではないか。海外の児童文学、レベル高!と驚き、同じ作者のほかの本も読むようになった。(ラット)
  • 能登麻美子さんのフェイスが無茶良かったです!次の展開はどうなるの?と楽しみに聴きました。(酒呑みたぬき)
  • 少女の抵抗と成長の物語で、自分は男だが、虐げられている者たちへの賛歌のように聞こえ、心を揺さぶられた。(バグジー)

第2位(24票)

玉麒麟 羽州ぼろ鳶組

玉麒麟 羽州ぼろ鳶組 原作:今村翔吾(青春アドベンチャー)
「あーあ、また深雪さまにしかられてしまう」頭取の愛妻の能面のような顔を思い浮かべ鳥越新之助は苦笑した。しかしつぶやくや否や、新之助の心中に浮かんだ深雪の顔は笑顔に変わった。「新之助さんがそんなことをするはずがないですよ」そう、組のみなは決して私のことを疑わないだろう。お頭も、先生も、武蔵さんも、寅次郎さんも、彦弥さんも、みな力になってくれるだろう。それでも…今は逃げなければならない。小さな命と真実を守るために。江戸の全てを敵にまわしたとしても。

羽州ぼろ鳶組シリーズも遂に6作品目で、今作の実質的な主人公は「ぼろ鳶組」イチの弄られキャラ・鳥越新之助。
ただ原作者の今村翔吾さんいわく執筆初期に「ある日突然、源吾、深雪、新之助の名前が頭に浮かんだ」というくらいの重要人物でもある。
一見へらへらしているが実は誰よりも正義感とやさしさを持つ新之助の魅力があふれた作品。

■リスナーの感想■

  • 鳥越新之助の主人公回なのでチャンバラ中心の楽しい内容だった。安心して聴けるぼろ鳶組を毎年放送して頂きつつ、これをベンチマークとして同等以上の別の作品が聴けることを期待している。(Hirokazu)
  • 人気シリーズのようですが、どうも相性がよくないようです。(ろんろん)
  • 安定のぼろ鳶組。しかも大好きな新之助メイン話。しかし昨今のNHK縮小議論の中ラジオも枠縮小にならないか心配。まだまだ原作は残っているというのに‥(エンマ)
  • 今年からたまに青春アドベンチャーを聞くようになったのですが、きっかけは「玉麒麟」が面白かったからでした。
    これより前のお話も聞きたいので、ぼろ鳶シリーズの再放送を切望しています!(匿名希望)
  • ヒロインがアウグッテ(ベルリンは晴れているか)を演じていた井頭愛海さんだったので、一票入れてしまいました。終戦戦直後のベルリンに続いて、江戸時代でも過酷な運命を背負わされてしまう井頭さんに、幸せになれる台本をお願いします!(笑)(HYRON)
  • いつも楽しみ(みっきーちゃん)
  • 鳥越慎之介の株が上がりそうな神回だった。(タジ)
  • ぼろ鳶シリーズ全て楽しみにしていますが、特にこの玉麒麟は素晴らしかった。
    主演の鳥越新之助役の小山貴司さんの熱演に心を動かされ何度も涙しました。
    このシリーズは大河ドラマのように特別枠で番組を作って欲しいくらいです。
    再放送や、ソフト化も期待しています。
    何度でも聴きたい!!(あき)
  • 鳥越新之助が一番好きなので、見所たくさんでした。(みか)
  • ナレーションが説明的でうるさすぎる。いっそのこと、講談調でやってみたら?(K2)
  • シリーズで聞く楽しさに満ちている(本とかえる)
  • 今回も面白かったです。源吾の身動きが取れない展開が新鮮で良かったです。(けく)
  • 好きな方が多いシリーズものですが、1作目以降はどうも微妙です。
    人物が多く出過ぎてコレの紹介で時間をとられ過ぎ。(hirog3)
  • 待ってました!!私が青春アドベンチャーにのめり込んだきっかけのシリーズ。今回の新之助の回もよかった。原作もいいし、またラジオの脚本もうまい。本から入っても、ラジオから入っても楽しめる。毎回期待を裏切らないのはさすが。(匿名希望)
  • 問答無用の鉄板シリーズ!(鈴木橙輔)
  • 面白かったけど、このシリーズの過去作に比べて印象が弱かった(匿名希望)
  • 前年は「彦弥〜!カッコイイ!」と思っていましたが、今回は「新之助〜!」でした。カッコイイ!(ちい)
  • 鳥越新之助が活躍。このシリーズもいいです。(酒呑みたぬき)

第3位(20票)

あたふたオペラ からふる物語

あたふたオペラ からふる物語 作:萩田頌豊与(青春アドベンチャー)
月曜日から金曜日、毎日放送されるラジオ番組「おとなのためのトークショー・じゃこもかしこも」の今週のゲストは、劇団「盗んだだるま」を主催する劇作家で演出家の唐富士夫(から・ふじお)。司会の久子と唐との会話は全く嚙み合わないが、唐の特技「25文字で名著」や、唐の学生時代の恋愛話でなんとか番組は進行していく。しかし、4日目にして番組は緊急事態を迎えてしまう。そして唐の恋愛話に登場した人たちが次々とスタジオに現れて…

2022年夏、青春アドベンチャーファンの度肝を抜いた「あたふたオペラ」。
本職のオペラ歌手が超くだらない歌詞のオペラ(替え歌)を熱唱するという奇々怪々な作品だったが、その第2弾がこの「からふる物語」である。
前作と比較されるのは第2弾の宿命だが以下コメントのとおり前作以上という声多数。
ただしやはりインパクトは前作登場時に及ばないとの声も。
順位も評価も残念ながら前作にやや及ばない結果となった。

■リスナーの感想■

  • 3作品目として検討したが、どうしても昨年の「からめん」の衝撃に及ばず選外とした。ただし単なる二番煎じにならない工夫のある良作。(Hirokazu)
  • 去年のからめんがオペラと全体の物語がシュールで今回も期待していた。前回よりストーリーの構成やオペラの使い方が面白くなっていた。(サカナ屋)
  • 2作目ですが面白かったです。意欲を買いたいです。「誰も寝てはならぬ」がこんなにおふざけに似合うとはw(ろんろん)
  • 昨年に続いて2年連続登場。しかも単純な続編で無く視聴者の斜め上を行く新たなあたふたオペラ。「しんだ〜!」(エンマ)
  • 笑えて面白くて良かったです。ただふざけてますよ、という感じがちょっとクドかった。(匿名希望)
  • あいかわらずの脚本でよかった。声優さんの力演にも拍手。(あびちよ)
  • ヴェルディやプッチーニは「テルマエロマエ」での使われ方が斬新だっただけに、この内容では評価は低くなってしまう。「からめん」の「ゴマのうた」とか「どれだろう?」のような名曲(?)も生まれなかった。やはり二番煎じはツマラナイ。(HYRON)
  • 毎回笑いながら聞いていました。本物のオペラをこんなに楽しく聞けるのはこの番組だけでは?と思うくらい貴重な物語でした。(かな)
  • ちょっとした息抜き。(K2)
  • 前作のインパクトほどではないと思ったけれど、ラストは破壊力があり、やっばりこの感じが好き。(本とかえる)
  • 歌唱もいいんだけど、フッと笑える脚本が好き。青春アドベンチャーは笑いよりも感動のストーリーの方が圧倒的に多いからこういうのは新鮮でかなりお気に入り。(げん)
  • 相変わらずの何が飛び出るかわからないカオスっぷりが最高でした。(けく)
  • 前作に比べてきちんとラストがまとまってて、ほっとしたような残念なような? 前作のあのラストぶん投げは1回こっきりの禁じ手とは思いますが。相変わらずいい声の無駄遣いで耳が幸せでした。シリーズ続きますように!(野々宮)
  • 女声の歌詞が殆ど聞き取れず面白くなかった。歌詞が番組サイトに掲載されていたんですね。「死んだ」をオチにして笑えるのは小学生まででは?(匿名希望)
  • ラジオドラマを中心にした4編という形で失敗している。
    箇条書きのような物語で面白くない。
    1作目の破天荒をもう一度お願いしたい。(hirog3)
  • 内容的に仕方ないのですが、少し音がガチャガチャしていて夜聞くには耳に障り、聞き逃しで昼に聞きました 笑(匿名希望)
  • これも強烈。ただ前年のほうが良かったかなぁ。歌詞が聴き取り辛くなりましたかね?(鈴木橙輔)
  • 去年の二番煎じかと思ってたけど、去年以上に面白くて笑えた(匿名希望)
  • オペラに慣れていないせいですが、歌が長くなって歌詞が聴き取りづらかった。歌詞が公式サイトに載っててよかったです。中身は相変わらず笑っちゃう。脚本の方のセンスがすごい。(ちい)
  • 昨年の『からめん』のがパンチがありましたが、こちらも毎日楽しく聞きました。今年もあたふたオペラシリーズのの新作を待っています。(匿名希望)
  • その道のプロが真剣にふざけると、面白い。年に一回くらいこういうの聞きたい。(バグジー)

第4位(19票)

とけるストーリーボックス

とけるストーリーボックス 作:小峰貴之ほか(青春アドベンチャー)
本作品「とけるストーリーボックス」はオリジナル脚本5話で構成されるストーリボックスシリーズの第5弾です。2023年では3月の「ふれるストーリーボックス」に次いで2作品目の放送となりました。

コメントからも窺えるとおり、特定の俳優のファンから集中投票があったことがこの順位の最大の原因であることは否めない(集中投票問題にはついては別途、反省会の記事で詳述する予定)。
ただ、2015年以降当ブログが毎年実施しているアンケートで、オリジナル脚本のオムニバス作品が上位に入ったのは初めてであり、個人的にも聞きごたえのある回が複数あったと考える。

■リスナーの感想■

  • 鈴木勝吾さん、よかったです!(匿名希望)
  • 「お地蔵さんのまにまに」、キャラクターの性格に皆リアリティがあって、内容に入り込みやすかったです。特に結城さんがお地蔵さんに座るのを咎めたり、仏を演じるのを躊躇ったりするあたりが、熱心な仏教徒ではないけど罰当たりなことはしたくないという日本人特有の感覚だと思いました。(匿名希望)
  • お地蔵さんのまにまにの鈴木勝吾さんが特に良かったです。(匿名希望)
  • お地蔵さんのまにまにが素敵でした。(匿名希望)
  • 「お地蔵さんのまにまに」が面白かったです!(ととこ)
  • 『お地蔵さんのまにまに』分かり易くて楽しく聞けました。これだけしか聞いてないですが、ラジオドラマっていいな、と思いました。もっと何度も聞けたらいいのになと、最後の終わり方にカタルシスを感じました。(匿名希望)
  • 「お地蔵さんのまにまに」が一番好きです。15分の短いなかに起承転結がぎゅっと凝縮されており、明日香と結城のかけあいがコミカルで楽しかったです。仕事が上手くいかない明日香と売れない役者の結城が江戸時代へ行き、ひとりの人の命を救い、現代でもまた新たな一歩を踏み出すというのがよかったです。結城役の鈴木勝吾さんのやわらかくあたたかい声のトーンや話し方が好きでした。また他の役でもきいてみたいなと思いました。(さとみ)
  • 鈴木勝吾さんのファンです。
    鈴木さんの『お地蔵さんのまにまに』ご出演をきっかけに、初めて青春アドベンチャーを拝聴しました。
    タイムスリップ物でファンタジー要素もあるお話でしたが、登場人物の驚きや焦りといったリアルな感情を鈴木さん、平体さん、高木さんが声のお芝居でリアリティを持って届けてくださって、聴いていて情景が目に浮かぶようでとても面白かったです!
    また、各曜日「とける」の意味が異なっていたのも、同じ韻で違う意味を複数持つ日本語ならではの仕掛けでワクワクしました。(ゆみ)
  • 現実の世界で行き詰まりを感じていた主人公が過去にタイムスリップすることでその知識を活かすことができ、尚且つそれが己自身を見つめ直す切っ掛けにもなる…という王道なストーリーが、実は何の教訓的な意図もなく、単に優しさが織りなす偶然の中で完結しているところが好きでした。
    聴き終わった後に自然と笑顔になれるような、読後感の爽やかなショートストーリーでした。(匿名希望)
  • 2話は面白かったがそれ以外は・・・。(HYRON)
  • 田中要次さんサイコー。(鈴木橙輔)
  • 5本それぞれに脚本家の方の個性があって楽しかった(匿名希望)

第5位(18票)

昼も夜も彷徨え

昼も夜も彷徨え 原作:中村小夜(青春アドベンチャー)
12世紀。ヨーロッパ・イベリア半島にイスラム教徒が跋扈し、中東・エルサレムを十字軍という狂気が支配していた時代。2大宗教の圧迫が強まる中、ユダヤ教徒はその内部でも独善的なラビ(宗教指導者)による排他的な指導体制を敷いていた。そんな時代にひとりの若いユダヤ人神学者がラビたちの独善的な主張に異を唱える。イスラム教の信仰告白をしてでも生き延びるべきだ。しかし、彼自身は違う道を選ぶ。自由だけは手放せない。だからそれ以外の全てを手放して逃げる。逃げて己の信条が守れる場所を探して昼も夜も彷徨い続ける。風のように彷徨い続けるその生き方こそ彼の精神の姿そのものだった。

原作は中村小夜さんだが脚色は中世ヨーロッパものを得意とする並木陽さんが担当。
オリジナル脚本の多い並木さんが脚色で関わるのは「ハプスブルクの宝剣」以来2作品目。
本作の舞台は北アフリカと中東なのでヨーロッパではないが、地中海世界が舞台であること、主人公がユダヤ教徒であること等から広く西洋歴史ものといえ、納得の脚色家選択である。
なお、中村小夜さんは翌2024年オリジナル脚本の「太陽の城 月の砦」が採用されることになる。

■リスナーの感想■

  • 歴史ものとしては物足りなさが残るが後半の会話劇に焦点を絞った脚色はお見事。「ハプスブルクの宝剣」もそうだったが、好きな小説を脚色する並木陽さんはいつも冴えている。(Hirokazu)
  • 古典作品が発掘されたような聴き応えがありました。こういう作品に出会いたいです。(ろんろん)
  • 一票入れたが、何度でも聴き直したいというほどでもない。・・・ということは今年は全作品を通して印象に残る作品が無かったという事か?
    同じく成河さん主演の武揚伝もそうだったが、事態が進みそうになると足踏みする・・・人生ってそんなものなのかなぁ。(HYRON)
  • 言葉の重みや生きた証など、宗教についても考えさせられる作品でした。(かな)
  • 作者の人を検索したくらい気になりました。(みっきーちゃん)
  • 今回は脚色だが、並木陽作品の安定感があった(本とかえる)
  • 波瀾万丈の展開に大満足しました。(けく)
  • 知的で爽快。(tenmangould)
  • 歴史もの、原作をこれまた上手にラジオドラマ化していて面白かった。ラジオドラマきっかけで原作がまた広がっていくのかなとも思った。(潤之)
  • 話はすごく難しかっですが、タイトルといい、マイモニデスの生涯といい、何ともいえないじわじわと深い感動を味わいました。有名な人だそうなのでじっくりもう一度聞きたい作品です。(匿名希望)
  • 普段、触れたことのない内容なのでとても興味深く聴きました。こういう静かで力強い、時を越えた異国の物語を発掘してくれるのは、青春アドベンチャーならではの感じがします。(匿名希望)
  • 重厚、壮大、これぞラジオの真骨頂。(鈴木橙輔)
  • 終盤の、モーセとファーディルの丁々発止の対話がとてもよかった!聴き逃し配信で繰り返して聴いてしまいました。(ちい)
  • 事実に基づいたお話なのに、ワクワクドキドキする場面が多く、ついつい話に引き込まれていました。(匿名希望)

第6位(16票)

また、桜の国で(再)

また、桜の国で 原作:須賀しのぶ(青春アドベンチャー)
中学を卒業後に外務省の留学生試験に合格してから早10年。1938年、日本の外務書記生・棚倉慎(たなくら・まこと)はベルリンからワルシャワへと向かう列車の車上にいた。先の大戦で傷つき、疲れ果てた欧州。欧州中のすべての人々が平和を渇望しているはずだった。しかしこのポーランドを覆う暗い影は何なのだ。歴史上幾度も他国に侵略され国土を失ってきたポーランドはまた何かに怯えているかのようだ。何かとは?それは領土的な野心を隠そうとしない隣国・ナチスドイツなのか。それとも平和のためなら小国の滅亡にすら目をつぶろうという大国の無関心なのか。いくつもの価値観の間で押しつぶされるポーランドの人々。自身、日本とロシアという二つのアイデンティティの狭間に立つ慎は、この踏みにじられ、引き裂かれた国で何を目にするのか。

2022年に実施した全作品アンケート第2位の実力作だけに、今年の再放送作品の中では最上位となった。
第二次世界大戦期のポーランドを舞台にした作品だが、大国から見捨てられ踏みにじられたポーランドの悲劇が、いま支援の継続が危ぶまれている隣国ウクライナの現実とクロスオーバーして聴いていてつらい。
人間は自らの獣性を克服できるのだろうか。

■リスナーの感想■

  • 数年振りに聴きました。勧善懲悪な気軽に聴ける作品が好きな自分としてはしんどかった場面も多々あった。俳優、音楽が素晴らしかった。(レモン)
  • 今まで聴くタイミングを逃していたが、今回聴いてみて評価が高い理由がよくわかった。物語として優れているからこそ、未だ燻るドイツとポーランドの戦後賠償問題など聴き終わってからも考えさせられるところが多かった。どのキャストも印象深く好演しているが、井上芳雄さんと中川晃教さんの「コンサートでもコントでもない唯一の共演作」というのは大きい。「盟友」として日本のミュージカル界を切り拓いてきたお二人だからこその噛み合った演技が素晴らしかった。いつか舞台でも共演できることを、また青春アドベンチャーでも共演の機会に恵まれるように祈っている。(ともこ)
  • 再放送でやっと聴けました。なかなか傑作だと思います。(ろんろん)
  • 中学生の息子と聞いていましたが、戦争について深く考えさせられました。(かな)
  • ウクライナ、ガザに想いを馳せながら(みっきーちゃん)
  • 何度聞いても心に残る作品だと思います。(vt)
  • 登場人物が多い分、15分枠では未消化な感は、ぬぐえない。まとめて聞きたい。最終話から一週間は、聞き逃しで放送してほしい。(K2)
  • 好きな作品だけれど、実際の戦争がおきている時なので、聴くのは辛い(本とかえる)
  • 後半の重い展開が心に残りました。(けく)
  • 井上さんはじめ出演者の方々のファンなのもあってお気に入りの作品ですが、聞くたび新鮮に一喜一憂しながら聞いてしまいます。お話の結末も全部知ってるのにね! (野々宮)
  • 大戦中の外交官の物語はいい話が多くて期待していたが、この話は今ひとつ印象に残らなかった。(匿名希望)
  • これも重たい。最後絶対泣く。(鈴木橙輔)
  • 重厚な物語で引き込まれた(匿名希望)
  • 聴くのは2回目ですが、エピローグの最終回で泣きました。タイトルを見直してまた涙…。この時勢に、この作品を再放送したことに敬意を表します。(ちい)

第7位(13票)

うるはしみにくし あなたのともだち

うるはしみにくし あなたのともだち 原作:澤村伊智(青春アドベンチャー)
この学校に通う女子の鞄には、ある日突然、雑誌が入っていることがある。占い雑誌「ユアフレンド」の昭和64年4月号。そこには昔自殺した姫崎麗美が残したおまじないが書かれている。そのおまじないは同じクラスの女子の顔を好きに変えることができる。かほちよのいきるすべなきもののわざたえてのろはむうるはしみにくしクラスで一番の美少女・羽村更紗が自殺した。原因はわからない。しかし棺の扉は固く閉じられ、葬式の参列者が彼女の顔を見ることは決してなかった。

青春アドベンチャーでは2018年の「なにわ純情ナイトメア」以来のホラーで、荒唐無稽な「なにわ~」と比較するとかなりしっかりと怖い作品。
ただ、テーマがルッキズムということもあり、その怖さは見栄や嫉妬や差別感情といった人の感情に根差したものであり、「結局人の感情が一番怖い」という意味ではサスペンスに近いともいえる。

■リスナーの感想■

  • 待望のホラー作品だが個人的ははあまり怖くなかった。もっともっと怖い作品を期待している。(Hirokazu)
  • ルッキズムをテーマにした青春ホラーで「呪い」が題材の本作を年始にオンエアしたのは評価できる(A)
  • しんどかったけど最後まで聴きました。もう少し工夫があれば……(ろんろん)
  • 六人の嘘つきな大学生みたいな感じを期待してたら、本当に似たような展開がありビックリした。(匿名希望)
  • 原作は未読だが、ラジオドラマとしてはストーリーの粗さが目につき好きになれなかった。(HYRON)
  • お話しに引き込まれてしまい、原作も読みました。
    原作を読んだ上で、もう一度聴きたい作品です。(にざえもん)
  • 毎週続きが気になるドラマでした。最後の展開も考えさせられる内容で、一緒に聞いていた娘は原作本を買っていました。(かな)
  • ミステリー寄りのホラーだったのかも。怖い演出を期待しすぎてしまったがこれはこれでよかった。(タジ)
  • マスクをしてる時の声や音響がすごかった。見た目をナレーションや音で表現するのは難しかったかもしれないけど、十分我々にも伝わったし、ちゃんとゾッとした(げん)
  • ルッキズムをテーマにしつつも、現実的なところに落ち着いたところが良かったです(けく)
  • ホラーは苦手で怖かったのですが、謎解きはなるほどと思うことが多く、何度か聞き直しました。タイトルの読み方がわからなかったことや、1回だけ録音失敗したこともあり、理解に時間をかけたこともあり、とても印象深い作品になりました。(匿名希望)
  • 最後しっくりこないよくわからない物語でした。(hirog3)
  • ドキドキしながら聴きました。女子高生が多く出てくるので、どうしても声だけでは誰が誰かわからなくなることもあり、ネットで内容を検索しながら聴きました(匿名希望)
  • 大変怖かったです。桜庭ななみ、上手いですね。(鈴木橙輔)
  • じめじめした悪意にイヤ〜な気持ちで聴いていました。(ちい)
  • 毎回ドキドキしながら聞きました。(匿名希望)

第8位(9票)

人工心臓(再)

人工心臓 原案:小酒井不木、作:長谷川彩(青春アドベンチャー)
私、江戸川乱歩が探偵小説家として世に出ることができたのは小酒井不木の推薦によるところが大きい。しかし、不木の体が弱いこと知っていながら彼に創作を進め、しかも晩年ろくに彼に手紙を書く事すらしなかった。不義理をしたという負い目あればこそ、彼の全集の取りまとめに引き受けたのだが…やはり不木の妻・久枝は私に腹を立てているのだろうか、あのような奇妙なことを言い出すなんて。「人工心臓は実在致します…」

全5回と短い作品だが凝った構成と独特の濃い雰囲気のため聴く人を選ぶ作品。
初出は2021年なので最近では異例に短いサイクルでの再放送。
嵌った人からのリクエストが多かったのだろうか。

■リスナーの感想■

  • 動画サイトで聴きましたが面白かったです。(匿名希望)
  • マクロプロスの処方箋と似たところもあるが、一捻りある。お話が二重構造になっているのはおもしろいが、やや拍子抜け。(K2)
  • 話が進むに従ってどんどん盛り上がる展開が良かったです(けく)
  • 短いながら強烈な印象が残った(かりんこぱぱ)
  • 個人的に今まで聞いてきた作品の中で、演技、間、音、演出…全てが完璧だと思っています。(匿名希望)
  • こういう雰囲気好きな方には良いのだと思います。
    やはり再放送ですよね。(hirog3)
  • 初回放送で聴いた時、始めが怖くて聴くのをやめてしまったんですが、これは最後まで聴いてこそ!ですね。こんな内容だったとは。楽しかったです。再放送ありがとうございます(匿名希望)
  • 恐怖感を誘う表現が多く、いつの間にか自分が乱歩になったような気持ちで聞いていた。ものすごい緊張しながら聞いていて、奥さんが最後冗談だと明かした瞬間、ものすごいホットしました。(かなゆいひむら)
  • 江戸川乱歩の現実?と、作中作のどちらの場面なのか、だんだん混乱しました。その境目が溶け合っていく感じがかえってよかったです。(ちい)
  • 非常に引き込まれる演出と素晴らしい演技でとても印象に残っています。実験室の試験管の音や、心臓の音、迫る声等、様々な音の使い方が素晴らしく、没頭できる作品でした。また、江戸川乱歩と小酒井不木の二人、不木と久江の関係性についても大変面白く、自分で調べてみたくなりました。(定食)
  • 何回聴いても良い!小林親弘さん上手い!(アスタローテ柊)

第9位(8票)

常識のない喫茶店

常識のない喫茶店 原作:僕のマリ(青春アドベンチャー)
駅前から続くこじんまりとした商店街の先に、学生時代に通っていた喫茶アジールはある。この喫茶店のドアにアルバイトの募集の張り紙があることに気が付いたのは求人誌を買って帰る道すがらのこと。大手メーカーに就職したものの目標予算に追いまくられて心を病み、退職。そこでは面倒な客に頭を下げ続けるのが常識だった。「この店で働くにあたって一番必要なことは優しさと思いやり」面接をしてくれたアジールのマスターはそういった。ここでなら私も働くことができるのだろうか。この常識のない喫茶店でなら。

2022年の全作品アンケートの出演者部門第3位の人気者、朝倉あきさんの青春アドベンチャーで5年ぶりの主演作品。
ただ朝倉あきさんへの評価とは異なり、本作品の主張に共感できるかは人によって分かれたようだ。

■リスナーの感想■

  • 毎日楽しく聴いてました。(真夜中のオレンジ)
  • なんだかイマイチ共感できないんですよね。朝倉あきさんの無駄使いのような。(ろんろん)
  • お客様は神様じゃない、と言うのも分かるけど主人公達がエラそうで好きになれなかった。(匿名希望)
  • 共感できるところもあったが、少し押し付けが強すぎる様な・・・(HYRON)
  • 僕のマリさんの作品に惹かれました。
    今、私が大切にしたいと思うことにも触れていて、何度も聴きたい作品です(にざえもん)
  • こんな喫茶店があったら、常連になりたいと思うくらい楽しいお話でした。(かな)
  • マスターの人間力すごい。(タジ)
  • 飲食店の接客の大変さが伝わってきました。(けく)
  • 嫌い。考え方が合わない。(匿名希望)
  • 10代どころではなく50代60代でも勘違いしている方がいらっしゃいますので、常識というのを間違えている人たちに聞いていただくの学習教材として良いです。(hirog3)
  • 理想の接客!(鈴木橙輔)
  • 迷惑客に毅然と対応するのは今や当然のことなので「常識のない」とまで言えないなと思った(匿名希望)
  • どのお話も人の機微に触れるシーンがあって、心に響きました。(久留米のましまし)

第10位(6票・3作品)

白狐魔記 洛中の火(再)

白狐魔記 洛中の火 原作:斉藤洋(青春アドベンチャー)
人間に興味を持ち、仙人のもとで修行をするうちに、様々な力を持つに至った狐、白狐魔丸(しらこま・まる)。思いもよらない力を発揮して元の大軍を覆滅してしまい、大きな後悔を胸に眠りについた彼が、次に目を覚さましたのは51年後だった。京の都で聞いたところによると、天皇の反乱という前代未聞の事態こそ幕府によって鎮圧されたものの、天皇のシンパである楠木正成なる人物が、圧倒的な数を誇る幕府軍を繰り返し撃退しているという。再び戦乱の世が近づいているのだろうか。人間はお互いに争うことをやめられないのだろうか。

2014年から年2作品ずつ制作され、青春アドベンチャーでも有数の長期シリーズになった白狐魔記。
ただ再放送のペースはゆっくり目で2023年の再放送はこの「洛中の火」1作品だけだった。
それにしても渡辺徹さんの声が懐かしい…

■リスナーの感想■

  • 白狐魔シリーズ毎回楽しく聴いてました。
    次回の放送も楽しみにしてます。(真夜中のオレンジ)
  • 火の鳥の狐バージョン?(K2)
  • 渡辺徹さん…(泣)(鈴木橙輔)
  • 俳優としての渡辺徹さんをあまり知らず、もっとドラマを観ておけばよかったなぁ、と思いました。(ちい)
  • 白狐魔記シリーズいいですね。この作品では渡辺徹さんが出ていたんですね。(酒呑みたぬき)

夜に星を放つ

夜に星を放つ 原作:窪美澄(青春アドベンチャー)
2022年上期の第167回直木賞を受賞した窪美澄さんの小説「夜に星を放つ」。そのオーディオドラマ化作品が本作品です。原作小説は相互にストーリー上の関連がない5篇の短編から構成されていますが、本作品はそのすべてを15分×2回ずつでドラマ化しています。いずれも人との出会いや別れといった人間関係の移ろいを繊細に描いた作品群で、第1週目の最初の2話については少しの恋愛要素を織り込みつつ少しの痛みを伴う別れの物語になっていました。本作品は当記事アップ時点で第3目の前半が終了したところ。全体が終了した時点で記事を修正したいと思っています。

オムニバス作品だが脚本家競作ではなくしっかりとした原作小説のある作品。
2023年は1話30分構成やキャストを各話ごとに変えるなどオムニバスの工夫が感じられた年だった。

■リスナーの感想■

  • 本作品を聴いてオムニバスは1話=15分×2回くらいで作った方が余裕があるように感じた。(Hirokazu)
  • 日常でぶつぶつ・ぐつぐつしている内容は好きでは無い。原作は直木賞受賞らしいが・・・。世間と私と、感覚のずれが起因しているのだろうか?(HYRON)
  • 原作のファンなので(パンダ)
  • 短編ドラマ5作品でしたが、どれも心温まるものでよかったです。(匿名希望)
  • 子役ちゃんたち上手。2話づつって面白いですね。(鈴木橙輔)
  • しっとりした世界観が良かった(匿名希望)
  • 優しさ溢れるストーリーが魅力的(アスタローテ柊)
  • 余韻のある終わり方がよかった。短編集のアドベンチャーはいくつもあるが、内容が分かりやす過ぎたり、効果音や音楽があまり凝っていなかったりするけど、これはその辺も深みと奥行きがあった。(ラット)
  • 文芸路線の落ち着いた作風が好み。15分×2回で30分で描く短編というのが良い。15分の短編では描けない深みがあった。(バグジー)

時砂の王(再)

時砂の王 原作:小川一水(青春アドベンチャー)
22世紀、謎の増殖型戦闘機械群ETとの戦いにようやく勝利しつつあった人類は重大な事実に気が付く。ETは過去に遡行し、機械群と戦う能力を持たない過去の人類を滅ぼすことにより人類絶滅を目論んでいたのだ。衝撃を受けた人類は、総力を挙げて人型人工知性体メッセンジャーを過去に送り込み、過去の人類と共同戦線を組むが一歩及ばず、ETはすでに400以上の集団をさらに過去に送り出した後であった。追い詰められた人工知性体は、ETの最終目標を人類発祥の時代-10万年前-と断定、そこを絶対防衛線として強固な陣地を構築。人類の歴史を食い荒らしながら過去に遡行するETと、人類発祥の時代を基地として迎撃を始めた人工知性体との最前線は、紀元3世紀の東アジアの小島に定められた。「親魏倭王」を名乗る少女が治める島国に。

小川一水さん原作の2作品目の青春アドベンチャー化作品の再放送(一作品目は「イカロスの誕生日」)。
2023年の青春アドベンチャーは本作と「つばき、時跳び」の再放送作品2つがタイムトラベルもの
本作は主体的に時間移動を行うこと、人類史に絡めた壮大な物語であるなど、SFらしい作品。

■リスナーの感想■

  • 原作の構成を脚色することでオーヴィルの壮大な旅路として聴くことができた(A)
  • 第二次世界大戦や卑弥呼の時代の軍事力でエイリアンと渡り合うのはいくらなんでも不自然。(K2)
  • 時間肢という設定が壮大で面白かったです。(けく)
  • 壮大なSFと古代日本の邪馬台国がリンクしているのが良い(かりんこぱぱ)
  • 好きなタイムトラベルものなのに面白さは今ひとつでした。(匿名希望)
  • あの幕開きからまさか卑弥呼まで飛ぶとは。これのお陰で我が家のスマートスピーカーには『カッティ』という渾名が付きました。(鈴木橙輔)
  • 面白いだけでなく切ない雰囲気もあって、好きなタイプのお話。ラストを原作と変えてることはこのブログで知った。読んで比べたが、ドラマの方が気持ちよいと思った。(ラット)

第13位(5票・4作品)

シャドー81

シャドー81 原作:ルシアン・ネイハム(青春アドベンチャー)
1972年5月。泥沼の戦場と化したベトナムから1機の試作戦闘機とひとりの米国空軍パイロットが姿を消した。試作機の名前はTX-75Eバンバイア、パイロットの名前はグラント・フィーリング大尉。米国が誇る最新鋭戦闘機とその操縦士が再び姿を現したのは米国本土ロサンゼルス郊外、ハワイに向かい飛び立ったジャンボジェット機PGA81便の背後だった。そしてPGA81便にピタリと張り付いたTX-75Eから驚きの宣言がなされる。「こちらはPGA81便の影、シャドー81。機長、あなたの機はたった今乗っ取られた。指示に従わない場合は撃墜する。要求はただひとつ。ベトナム戦争の即時停戦だ。」

50年以上前のベトナム戦争の時代の作品を選んだのは、やはりロシアによるウクライナ侵攻を意識してのことなのだろうか。
ただつくりは事前に予想したより随分ライトだったような…

■リスナーの感想■

  • 半世紀近く前の作品なのでそのままドラマ化すればよい訳ではないのはわかるが脚色の方向性が違う気がする。(Hirokazu)
  • 予算的な問題なのかもしれないが、朝倉伸二さんや政岡泰志さん、その上、朝倉あきさんまで、声に特徴のある方が複数役で出演するのは、聞いていて少し興醒めしてしまう。今年は全体を通してそんな面も強く不満に残る作品が多かった様な気がする。
    ギレン閣下も最近は鑑定団の印象が強くて、ストーリーには全く関係無いのに「鑑定額は如何に!」が出そうで、変な事を心配してしまった。(HYRON)
  • 70年代に音の本棚(東京fm)で聞いた記憶あり。おなじころ、nhk でもやってたようだ。大統領に知らせますか?なんかも両方聞いたおぼえがある。ベトナム戦争も遠い過去の話になってしまった。(K2)
  • キャストが豪華すぎた。ストーリーもすごくよかった。(げん)
  • 次はどのような展開になるか、ハラハラしながら聞けて面白かったです。(けく)
  • 盛り上がりに欠ける展開だった。(ちず)
  • Gを、Gを感じるッ!(鈴木橙輔)
  • 翻訳物は演技が濃いというか…ちょっと苦手で途中脱落してしまいました…(ちい)
  • もう少し重厚な雰囲気で聞きたかったです。(匿名希望)

ラングドックの薔薇

ラングドックの薔薇 作:並木陽(青春アドベンチャー)
1237年、フランス王との戦いが終焉し一時の平和を享受している南フランス・ラングドック。しかし平穏は表面的なものに過ぎない。フランス王に屈服した南フランス諸侯も、異端として迫害される「良き人々」(=カタリ派)の民衆も未だ苦しみの最中にあった。主を持たない若き自由騎士ペイレも領地を奪われた没落貴族の子弟である。一見、無責任な放蕩生活を続けるペイレだが、彼にも自らの心の内を苛む、ある思いがあった。

2018年の「暁のハルモニア」以来毎年1作品必ず制作され、当アンケートでも人気を博してきた並木陽さん脚本のオリジナル西洋歴史物語の第6弾。
ただ、今年は不思議に票が伸びず、コメントの熱意も控えめ。
というか今年のアンケートでは全般的に宝塚ファンの方々の動きが鈍かったような気がする。偶然かも知れないが。

■リスナーの感想■

  • 聖ルイ9世、母后ブランシュ、大教皇インノケンティウス3世など攻め入った側の事情、レーモン7世ら守る側の事情を丹念に説明してもらえると歴史譚としてもっと面白くなるのに・・・。街の名前などもオック語(トロザ)だけでなく、王国関係者はトゥールーズと発音するなど、使い分けて欲しかった。(HYRON)
  • 並木陽さんの作品が好きです!意思の強い女性が運命を切り開いていく物語なので。あと推し海宝直人の声も良かった!(里芋)
  • 宝塚風ではあるが、時代背景に馴染みが薄いのが難点。(K2)
  • 様々人物の思惑が絡みあう展開が良かったです。(けく)
  • 歴史もので、これも好きな一作だった。
    最後はたぶんに、いわゆるハッピーエンドとは違うともいえようが、とくに気にしない。(潤之)
  • 俳優さんたちの声がとてもよく!毎回ワクワク、耳福。再放送ありがとうございます!(匿名希望)
  • 女性がね、カッコイイです。音くり寿ちゃん可愛い。(鈴木橙輔)
  • 並木陽さんの作品は、あまり馴染みのない地域が舞台で勉強になり、出演者も豪華でとても面白いのですが、毎年恒例になりつつあり、「また似た感じかぁ…」とちょっとマンネリに感じます。面白いですけどね!(ちい)

蒼のファンファーレ(再)

蒼のファンファーレ 原作:古内一絵(青春アドベンチャー)
報知杯フィリーズレビュー、そして桜花賞での激闘から1年。鈴田競馬所属の女性騎手・芦原瑞穂はくすぶっていた。勝てない。中央競馬のGⅠに挑戦した瑞穂とフィッシアイズのペアなのに、場末の鈴田競馬ですら満足に勝つことができなくなっていた。原因はフィッシュアイズではなく瑞穂にある。なんで自分はこんな場末の地方競馬にいるのか。なんでその場末でさえ勝てないのか。騎手を続けていく意味すら見失いかけていた瑞穂に、突然のチャンスが訪れる。中央競馬にすらめったにいない超良血馬ティエレン。この馬体500kgを超える勇壮な牡馬がなぜか鈴田に、それも「藻屑の漂流先」と称される瑞穂所属の緑川厩舎にやってきたのだ。

2023年は年始に「風の向こうへ駆け抜けろ」が再放送され、年末に続編の「蒼のファンファーレ」が再放送され、ファン感涙。
放課後はミステリーとともに」もいいけど私はやっぱり朝倉あきさんはこのシリーズが好きだな。

■リスナーの感想■

  • 2023年は「風の向こうに駆け抜けろ」シリーズの2作品が再放送された。シリーズ第3作のオーディオドラマ化の前触れと期待したい。(Hirokazu)
  • 溢れ出る朝倉あきさんの声の力にレースの展開シーンがより一層効果的に描写されてる様に感じます。(北辺のマック使い)
  • 朝倉あきのはまり役。(K2)
  • 前作は「頑張ってるねー」くらいの感想しか持たなかったが、今回の各登場人物の頑張りや話の展開にはかなり胸を打たれました。(匿名希望)
  • 風の向こうへ駆け抜けろの続編で面白かった気がしますが、風の向こうへ駆け抜けろとごっちゃになって記憶があやふやです。(hirog3)
  • シリーズまとめて良かった!朝倉あきの声、大好き!(鈴木橙輔)
  • 最後気持ちよく終わってくれる爽快ストーリーでした。(かなゆいひむら)
  • 「風の向こうへ駆け抜けろ」とともに良かったです。(酒呑みたぬき)

小袖日記(再)

小袖日記 原作:柴田よしき(青春アドベンチャー)
不倫相手に別れを告げられた29歳の“あたし”は、公園でヤケになって騒いでいるときに雷に打たれてしまった。そして、ふと気がつくと、見知らぬ時代、見知らぬ場所にいることを知る。彼女は平安時代にタイムスリップ、それも「小袖」という女官の体の中に精神だけタイムスリップしてしまったのだ。小袖は中宮の家庭教師をしている才媛である香子(こうし)という女性に仕えているという。仕方なく小袖として生活を始めた“あたし”だったが、実は香子は後生に「紫式部」として知られることになる女性だった。こうして、小袖と香子はコンビを組んで、後に「源氏物語」としてまとめられる様々な物語の元ネタとなる事件に取り組んでいくことになるのだった。

2004年の「タイムスリップ明治維新」以来、青春アドベンチャーでは年初のタイムスリップシリーズでその年の大河ドラマに連動した作品を放送するのが恒例だった(2005年「タイムスリップ源平合戦」、2006年「タイムスリップ戦国時代」、2007年「タイムスリップ川中島」、2011年「タイムスリップ大坂の陣」)。
そんなことを思い出したこの作品の再放送。

■リスナーの感想■

  • 来年の大河が楽しみになりました。(真夜中のオレンジ)
  • 大河便乗? 来年はあちこちでこういう作品が増えそうですね。(ろんろん)
  • ユニークなストーリー展開に聞き惚れました(北辺のマック使い)
  • 大河ドラマに寄せたのかな?大河ドラマとラジオドラマのコラボをしていってほしい(みっきーちゃん)
  • 次の大河ドラマに合わせた放送なんだろうけど、再放送でも軽妙で新鮮でした。(vt)
  • 大河絡みの番宣といったところだが、3回目のお勤めのよう。今回初めて聞いたが、なかなか面白かった。現代へ帰還する方法は、やや乱暴。(K2)
  • ちょっとしたミステリー仕立てな展開が良かったです。源氏物語を読みたくなりました。(けく)
  • 淡々と進む物語でした。面白いかと言われたら記憶に残っていません。(hirog3)
  • 前作の反動か、この軽快さがよかった。若い時読んだコバルト小説のような、軽快なストーリー運びがよかった。俳優さんのお声もみな、聴きやすく素敵でした(匿名希望)
  • 大河コラボ枠w。我が家はヅカヲタ、特ヲタなので凄く楽しかったです。(鈴木橙輔)
  • 源氏物語に興味を持つきっかけとなった(かなゆいひむら)
  • ここ数年、似たような短編集や中世のヨーロッパが舞台の話とか多くて、青春アドベンチャーからは離れてましたが、この前週の放送から再びファンになりました。これは古い作品ですが、女同士の共闘の要素もあり、好ましかったです。ヒーローが活躍する話には飽きていたので。(ボン)

第17位(4票・5作品)

風の向こうへ駆け抜けろ(再)

風の向こうへ駆け抜けろ 原作:古内一絵(青春アドベンチャー)
「初めっから勝ち組は決まっているんだよ…」淡々とした口調で先生が吐く言葉は、あるいは真実なのかもしれない。「競馬の名門に生まれて技術もある。そんなやつには地方競馬出の雑草なんて、とても太刀打ちなんかできない。」でも、でも…悔しい!そう、私の中にある思いもまた真実だ。「先生、教えてください。私、勝ちたいんです。」

この青春アドベンチャー版が初回放送されたのが2017年。
その後、2021年には平手友梨奈さん主演でTVドラマ化もされたが、主演俳優の個性のためか、先に青春アドベンチャー版を聞いてしまったからかTVドラマ版の暗さがどうにも気になってしまった。
朝倉あきさん演じる瑞穂は、真剣さの中に見える明るさ、軽やかさに何とも言えない味がある。

■リスナーの感想■

  • 主人公を応援したくなります。(レモン)
  • 今後のみずきの成長が楽しみです。
    次回を楽しみにしてます。(真夜中のオレンジ)
  • 競走馬についての知識がなくても、主人公の明るさにひっぱられて楽しくきいていました。(かな)
  • 臨場感溢れる演出が圧巻。(K2)
  • 朝倉さんの必死さがすごく伝わった(げん)
  • 人間関係だけでなく、馬同士の関係も面白かったです(けく)
  • 青春ドラマらしく良かった。(hirog3)

マクロプロスの処方箋

マクロプロスの処方箋 原作:カレル・チャペック(青春アドベンチャー)
1922年、チェコ・プラハ。ヤロスラフ・プルス男爵とアルベルト・グレゴリの100年に及ぶ財産争いの裁判はブルス男爵の勝利へと形勢が傾きつつあった。しかし、人気オペラ歌手エミリア・マルティの介入により一気に事態は混迷の度を深める。彼女は、プルス男爵の屋敷にグレゴリに有利な証拠となる手紙が眠っているというのだ。恋人同士である、ブルス男爵の嫡男ヤネスとグレゴリの弁護士の娘クリスティナは、協力してその手紙を探そうとするのだが、彼らの前にあらわれたのは3人の「E・M」の謎だった。

元々戯曲が原作だが、このオーディオドラマ版も登場人部や場面を絞った舞台演劇風の作品。
不思議な雰囲気を含め2021年の「人工心臓」、2024年の「影をなくした男」などと近いニュアンスを感じる。

■リスナーの感想■

  • カレル・チャペック原作ですね。短いけれど楽しめました。(ろんろん)
  • 5回目後半の男達の掛け合いが、人間の欲を表していて良かったです。(匿名希望)
  • まさに古典SFですね。(HYRON)
  • こちらも原作を読みたいと思わせた作品(まだ読んでませんが)(にざえもん)
  • 長く生きた魔女の最後はなんともさびしいものだと思った作品でした。(かな)
  • 演劇的な醍醐味がある良作。(K2)
  • 上手くまとまっている。聴く舞台作品という感じがした(本とかえる)
  • 不老不死の薬を巡っての議論の場面が白熱して面白かったです(けく)
  • 文庫での翻訳出版と並行してラジオドラマ化の話があったらしいのも興味深かった。原作自体、戯曲なので舞台化のタイミングがあわなかかったのだろうか?
    作中の登場人物、舞台だと作中の今と近過去、遠過去で一人二役また三役とかになるのかなと予想するのも楽しかった。舞台化も楽しみに待っておこう。それはともかくとして、全五話なので意外に聴きやすくまとまったのではないかと思う。(潤之)
  • 5回の割には最後の種明かしは思いもよらず、好きな作品です。(匿名希望)
  • 不老不死とはとても魅力的です。私も不老不死になれるならと思います。(hirog3)
  • 台詞に説得力がありました。しかしなんで宝塚出身者は花組経験者が多いのか。(鈴木橙輔)

あおなり道場始末(再)

あおなり道場始末 原作:葉室麟(青春アドベンチャー)
ついに米櫃の米が尽きてしまった。それはそうだ、最後の門人も先日出て行ってしまったのだから。このままでは父上の一周忌もできない。それなのに道場主の兄上は「困ったなあ」と繰り返すばかり。世間の人たちは、失礼にも兄上を「青瓢箪」と「うらなり」を掛けて「あおなり」などと呼ぶが、これでは評判どおりだ…姉上は姉上で「こうなったら道場破りをするしかない」などと、脳筋ならではの暴言を吐く始末。これでは姉上が「鬼姫」などと呼ばれるのも仕方がないではないか。しかし…道場破り?意外といいかもしれない。兄上が得意なものといえば剣術だけなのだから。こうなったら、この勘六、神童の誉れ高く「天神小僧」の異名をとる末弟様が軍師役を務めて、何とか道場破りを成功させるしかない。それに道場破りを続ければ、兄上が言う父上の死の謎に迫れるかもしれないし。

同じ葉室麟さん原作でも2012年の「蜩ノ記」との落差に面食らう。
違うタイプの作品と思えば本作品もこれはこれで楽しめる。

■リスナーの感想■

  • コミカルなお話の中にもかっこいいシーンもあり、楽しかったです。(かな)
  • 葉室麟作品をラジオドラマで聴けるのは嬉しい。他の作品も聞きたい。(本とかえる)
  • 三回に一回しか成功しない奥義という奇妙な設定が面白かったです。(けく)
  • 主人公のノーテンキな感じが気楽に聞けるいい作品でした。(匿名希望)
  • 揺れる柳葉のような話でした。(hirog3)
  • 吉見一豊の怪演がキュートだった。(ちず)
  • よくもこれだけの剣劇を音だけで。(鈴木橙輔)

ウィル

ウィル 作:今城文恵(青春アドベンチャー)
1863年の夏、新聞記者として赴いた西部ネバダ州ブルーバードビルで、私はウィリアム・オマリーという少年と出会った。彼は両親を亡くし叔父に養われる貧しい少年で、友人といえる人間は保安官の息子である足の不自由なクリスだけ。街一番の腰抜けと揶揄される臆病な少年だった。しかしある時、一人の女性と一丁の銃との出会いが彼の人生に大きな転機がもたらすのを私は見た。私は私自身のため、この暴力に支配された街で見聞きしたすべてをここに記す。世界の片隅で起きた少年の小さな成長の物語。発表のあてはない。しかし書き残すべき価値があるものだと私は信じている。

イッツ・ア・ビューティフルワールド」、「ウブヒメ」に続く今城文恵さんのオリジナル脚本第3弾。
それにしても、ゾンビもの・時代劇・西部劇ってすごい組み合わせ。
いずれも変化球だけど。

■リスナーの感想■

  • いわゆる西部劇だが今城文恵さんらしく内容的には反西部劇。爽やかだがどこかもやっとした終わり方も今城さんらしい。(Hirokazu)
  • 実在したマークトウェインと西部の少年という話にリアリティがありました。あと一歩で選択したかった。(ろんろん)
  • 西部劇はあまり好きでは無い。・・・が、南北戦争の時代に、良くも悪くも、戦争とは関係無しに生活している人もいたのだなぁ、と。(HYRON)
  • 西洋劇の舞台と出演者の声がとても良かったです。加藤清史郎君の演技の成長も感じられました。(みか)
  • こんなハードボイルドな作品も刺激的でいいですね。(vt)
  • 人物造形が、ステロタイプすぎる。(K2)
  • 力が支配する下品で残酷な世界にヒリヒリしたものを感じて面白かったです。(けく)
  • 三作品とともに、好きだった一作。
    西部劇ものというのも珍しかったし。(潤之)
  • 設定は良かったが、後半の展開に共感できなかった記憶あり。(匿名希望)
  • 渋かった、カッコ良かった。留衣まきせ再評価。(鈴木橙輔)
  • 西部劇の雰囲気がたっぷり出ていてワクワクした(匿名希望)
  • 留依まきせさんのデイジーが良かった。(酒呑みたぬき)

雨にも負けず粗茶一服(再)

雨にもまけず粗茶一服 原作:松村栄子(青春アドベンチャー)
19歳になった。受験した大学はみんな落ちた。ちょっとだけ真面目にやっていたギターだって、正直、プロになれるとは思えない。なんにもやる気が起きない。家元ジュニアとして、子供のころからやらされてきた茶道には全く興味がわかない。親に反発して家を飛び出して、流されるまま京都に来てみたけど…今の自分が中途半端でカッコ悪いことは、頭の悪い自分でだってわかる。オレって一体、何がしたいんだろう。

茶道の家元ジュニアを主人公にした成長物語だが、物語はやや中途半端なところで終わっている。
原作小説の続編「風にも負けず粗茶一服」で補完するしかないのか。
ただこの作品だけでも好きな人は極めて高評価していることが以下のコメントから窺える。

■リスナーの投票理由■

  • 「青春」って感じで聞き逃しで何回も聞き直してました。
    続編はないのでしょうか?(真夜中のオレンジ)
  • 結構たのしめる。中学生の弟が本家を継ぐのは飛躍しすぎるような。続編が作られなかったのは残念。(K2)
  • ナレーションがスッと入ってきた。何気にかんなが一番印象的。(げん)
  • 茶人のドロドロした人間関係が面白かったです。遊馬の冒頭のクズっぷりから、ラストの成長ぶりに感動を覚えました。(けく)
  • 再放送で、意外に面白く聴くようになった。本放送の時のことは少し覚えてるぐらいだったけど。軽い話といえばそうだけど、コメディとしてのまとまりが良かったように思う。続きが気になることもなくはないが、すごく見事なラストになっていると思う。(潤之)
  • 昨年の個人的なベスト1。滅茶苦茶で自分勝手な主人公なのに、登場人物のぱっと出る一言が含蓄があって何度もうならされた。変化球な明るい成長物語にはとても元気をもらった。(匿名希望)
  • 友衛遊馬の揺れ動く青春物語だが弟の手のひらの上で全て動いてたようです。(hirog3)
  • 心の動きが繊細。雰囲気もよかった!(鈴木橙輔)
  • ナレーションも含めて、登場人物が全体的に薄っぺらく感じました。特に遊馬にイラつきながら聴いてました。(ちい)

第22位(3票・4作品)

日本のヤバい女の子(再)

日本のヤバい女の子 原作:はらだ有彩(青春アドベンチャー)
私は平成生まれ。女だからこうしなさいと親に言われたことはなかったし、女だから損をしたと思うこともなかった。だから、就職してみて初めて気がついた。この国の女性に押しつけられている「女子」という役割に。だから、どうしても知りたくなった。現代でさえこんなに生きづらいのに、昔の女の子はどうしていたのかということを。だから、会いに行くことにした。昔話に登場するあの女の子たちに。

青春アドベンチャーはエンタメ枠なのであまり作者の主張を押しつけてくるような作品はどうかと思うが、本作は演出が巧みでそれなりにバランス感の感じられる作品だったと思う。
ただ、内容的にどうしてもジェンダー論に絡めざるを得ないのはやむを得ないところ。

■リスナーの投票理由■

  • 面白かったです。(匿名希望)
  • ほんとヤバイ(K2)
  • なんかよくわからなかったけど、勉強にはなった。(げん)
  • 様々な価値観の女性が出てくるので、バランスがとれていて良かったと思います。(けく)
  • 「女の子」って昔の人に失礼では。タイトルも内容も好きになれなかった。(匿名希望)
  • 男を悪役に見せるのが酷いステレオ型演出があってゲンナリします。(hirog3)
  • 内田慈さんをこれで知りました。(鈴木橙輔)

ふれるストーリーボックス

ふれるストーリボックス 作:美野洋平ほか(青春アドベンチャー)
本作品「ふれるストーリーボックス」はシリーズ4作品目となるオリジナル脚本のオムニバス作品。「ストーリーボックスシリーズ」は2019年の「夜のストーリーボックス」以来、ほぼ年1作品が制作され、青春アドベンチャーではすっかりおなじみになりました。

ストーリーボックスシリーズは2023年に2作品制作されたが、そのうちの1作品がこれ。
同一オムニバスシリーズの作品が同じ年に2作品制作されることはかつてなかったのではないかと思ったが、よく考えたら両作品とも全5話なので、あわせても10話だった。

■リスナーの感想■

  • 「ふれる」事で何かが大きく動き出すような話がなかったので残念。(HYRON)
  • 気軽に聞けてよかった。桐山漣、イケメン俳優のイメージだったけど、声の演技がよいことに驚きがあった(本とかえる)
  • 「ふれる」の解釈に幅があって面白かったです。(けく)
  • 「ふれあう二人」が良かった。(匿名希望)
  • 出演者達の演じ分けが楽しい。(ちず)
  • これ、何気にみんな良かったです。鉄道の子供のと音が鳴る上司が特に。(鈴木橙輔)
  • 5本どれもストーリーにあまり工夫がないなと思った(匿名希望)

つばき、時跳び(再)

つばき、時跳び 原作:梶尾真治(青春アドベンチャー)
趣味で書いた小説がコンテストの優秀作になったのを切っ掛けに、俺はサラリーマンを辞め、作家になった。といっても、駆け出しの新人作家に生活力なんて、ある訳がない。今は、死んだじいさんの使っていた家を親から借りてただで住まわせてもらっている。戦後に廃屋同然だったのを買い取ったというだけあり、いつ建てられたのかも分からないほど古びたわが家。しかし、庭に肥後椿が咲き誇るこの家で、ちゃぶ台に向かって原稿を打つ生活を、実は俺は結構気に入っている。ただひとつ気になることがある。先日、母が急に「その家には女の幽霊がでる」と言い出したのだ。何でもその幽霊は女性にしか見えず、新しくこの家に嫁に来た代々の女性は、この幽霊を見てはじめて「あなたもこの家の嫁になったのねえ」などと言われるらしい。そういうことは早く言って欲しい…?そういえば、あそこに見えるのは何だ…

「時砂の王」以外のもう1つのタイムトラベルものがこれ。
こちらは、不意のタイムスリップ+歴史改変に関係ないプライベートな時間移動もの。
こういう小さい世界の心の動きを描くのにもタイムトラベルは使いやすい小道具ではある。
そういえば映画化企画はどうなっちゃったのかな…

■リスナーの投票理由■

  • 二人が末長く幸せだったことを祈ってました。(真夜中のオレンジ)
  • 好きな作品ですが、再放送ということで。(ろんろん)
  • 最終回へと続く描写に引き込まれました。(北辺のマック使い)
  • 捻りがきいてて良い。いきなり団子のエピソードはタイムトラベルものの定番といって良いが、結局誰の発案?(K2)
  • 終わり方が微妙だった。そこまでして会いに行きたいのかと。(げん)
  • 切ないお話が良かったです。(けく)
  • 梶尾真治さんを舞台で知って好きになり、この舞台版も観ていたのですが、ラジオ版は途中が間延びしてテンポが悪かった印象でした。最後は良かったです。(匿名希望)
  • これは美山加恋が可愛かったし、見事なタイムパラドックスものでした。(鈴木橙輔)

ウィッグ取ったらただの人(再)

ウィッグ取ったらただの人 作:伊勢直弘(青春アドベンチャー)
「でもシュンキ君、ホントすごいよなあ」なによ…「目力強くて、細マッチョ。で、顔も声もアクションもキャラに寄せてて、なおかつあの青のロン毛が似合うって!」やっぱりそれか…「マジで奇跡の再現度!!」そこじゃねえよ…お前と違って俺はちゃんと演技してんだから演技褒めろよ…このままじゃ俺はいつまでたっても「2.5次元の人」。ちゃんとした俳優として認めてもらえない。俺にとって2.5次元はもはや足枷だ。なんとかしないと。

これも2020年初出なのでかなり早い再放送。
そもそも既に「一日で聴く青春アドベンチャー」で再放送しているので合計で3回目の放送である。
男性声優が多数出演している点で異例の青春アドベンチャーなのだが、よほど人気なのだろう。

■リスナーの投票理由■

  • 再放送がこんなに早くて驚いた。内幕モノとして面白いと思うし、実際に2.5次元をきっかけに大きい舞台に出演する俳優は非常に多いので、そこそこリアル感を出しつつフィクションとしてまとまっていたと思う。(ともこ)
  • 実際に生でステージを見たいと思った。実は再放送は仕事が忙しくて聴けなかったけど、初めて放送された時と、何年か前の年末にまとめて再放送された時は聴かせてもらった。(げん)
  • 初回放送時は特に惹かれませんでしたが、今回再度聴いてみて、元気をもらいました。(匿名希望)
  • 意外とリアルな芸能もの。再放送納得。(鈴木橙輔)
  • 2.5次元の世界観が楽しかった(匿名希望)

第26位(2票)

ベルリン1989(再)

ベルリン1989 作:古川健(青春アドベンチャー)
「ベルリンの壁」が崩壊した直後の西ベルリンの医科大学。医学生のハインツは、指導教官のアルベルト・ギュンター教授から、ある奇妙な依頼を受ける。「東ベルリンにあるハンス・アイスラー音楽大学。その構内にある楡の木の根元に埋まっている私の忘れ物を取りに行って欲しい。」教授は東ドイツからの亡命者だが、壁が崩壊した今となっては東ベルリンに自ら足を運ぶこともできるはず。一体、なぜ自分などに依頼するのだろう…あまり気が進まないながらも音楽大学へと出向いたハインツは、そこで憂愁を帯びた表情でピアノを弾くひとりの音大生に出会う。彼女が弾いていたのは東ドイツ-ドイツ民主主義人民共和国-の国歌だった。

これも衛星国家の悲劇という意味では「また、桜の国で」に通じるものがある。同様にロシアのウクライナ侵攻とも。
思えば本放送の2019年はベルリンの壁崩壊から30年目だったんだな。
歴史は繰り返すのだろうか。

■リスナーの投票理由■

  • これもなかなか。(ろんろん)
  • 再放送には票を入れない事にしているが、今年は他に候補がなく、一票入れました。(HYRON)
  • 主人公の幼さというか、周りを知らない感じがちょっとドキドキしたけど、アンナの心の広さ?がカバーしてくれたと思う。(げん)
  • 過去が明らかになるたびに切なさを感じました。(けく)
  • シュタージ聞いたことはあったけど、初めて身近に感じました。時代的背景が興味深かったです(匿名希望)
  • ドイツものは重たいです(褒めてます)。(鈴木橙輔)

第27位(1票)

深夜プラス1

深夜プラス1 原作:ギャビン・ライアル(青春アドベンチャー)
第二次世界大戦時の戦友メルランが持ちかけてきた“運び”の仕事。ノルマンディーからリヒテンシュタインまで。期限は72時間。依頼人であり輸送対象でもあるのはカスパル社の社長とその秘書だという。レジスタンスの英雄と呼ばれた元イギリスの情報部員も今はしがない民間エージェント。今の俺には似合いの仕事だ。ただ、この仕事、本当に受けて大丈夫なのか。メルランや依頼人、そして相棒となった元CIAのハーヴィーは信頼できるのか。いや、一番信用できないのは自分自身だ。大戦終結から16年。あの銃声、あの死、あの悲惨、あの憎悪。俺は今でもあの頃に囚われているのだから。

リスナーさんのコメントが多い割には票は伸びなかった。
正直なところ冷戦下の雰囲気を再現するのはなかなか難しいと思うが、あの異常な時代を忘れないことは人類の未来にきっと必要なことだと思う。
今後も逃げずに立ち向かってドラマ化して欲しい。

■リスナーの投票理由■

  • 結構好きです。(ろんろん)
  • 原作の評価がものすごく高いので期待していたのだが・・・残念。(HYRON)
  • やむおえないが、あくの強い役者が、2役以上やると気になる。(K2)
  • 原作が好きなのでラジオドラマ化は嬉しい。
    原作とちょっとティストが違う点が少し気になった。(本とかえる)
  • 時間制限がある割には、あちこち寄り道している印象が残りました。(けく)
  • 最後の主戦場へ至るところでの緊迫感も良く活劇として素晴らしい。(hirog3)
  • 津田寛治さんの味!(鈴木橙輔)
  • これまた演技が濃くて…銀河万丈さんがナレーションのシリーズはちょっと苦手です。(銀河万丈さんは好きで、批判ではありません)(ちい)

性別によるランキング

男女別のベスト10は以下のとおりです(太字は男女どちらかでのみベスト10の作品)。
上位の作品は男女であまり傾向に差はありませんが、集中投票のあった「とけるストーリーボックス」だけは圧倒的に女性票優位です。

女性票

順位 票数 作品名
1 17 とけるストーリーボックス
2 14 嘘の木
3 11 玉麒麟 羽州ぼろ鳶組
4 8 また、桜の国で
あたふたオペラ からふる物語
6 9 昼も夜も彷徨え
7 6 うるはしみにくし あなたのともだち
人工心臓(再)
9 2 風の向こうへ駆け抜けろ(再)
常識のない喫茶店
ラングドックの薔薇
小袖日記(再)

男性票

順位 票数 作品名
1 13 嘘の木
2 10 玉麒麟 羽州ぼろ鳶組
3 8 昼も夜も彷徨え
4 7 あたふたオペラ からふる物語
5 6 時砂の王(再)
6 5 うりはしみにくし あなたのともだち
また、桜の国で(再)
蒼のファンファーレ(再)
9 4 シャドー81
白狐魔記 洛中の火(再)

その他票

順位 票数 作品名
1 4 嘘の木
2 3 玉麒麟 羽州ぼろ鳶組
あたふたオペラ からふる物語
4 2 うりはしみにくし あなたのともだち
常識のない喫茶店
ラングドックの薔薇
夜に星を放つ
8 1 マクロプロスの処方箋
日本のヤバい女の子(再)
あおなり道場始末(再)
つばき、時跳び(再)
白狐魔記 洛中の火(再)
雨にも負けず粗茶一服(再)
また、桜の国で(再)
小袖日記(再)

まとめ

作品編の結果は以上のとおりです。
例年、上位に食い込んでいる並木陽さんのオリジナル西洋歴史ドラマですが、今年の「ラングドックの薔薇」は意外と伸び悩みました。
一方、その並木陽さんが脚色を担当した「昼も夜も彷徨え」は男女バランスよく支持を受けて上位に入りました。

【2023年のアンケート結果一覧】


■アンケート企画の結果
今までの各年ごとアンケートの結果一覧と2022年に実施した全作品アンケートの結果一覧は以下からご覧ください。

当ブログ実施!年ごとのリスナー人気アンケートの結果一覧
当ブログで実施した年ごとのアンケートの結果一覧青春アドベンチャー2015年より毎年当ブログで実施しているその年の青春アドベンチャーについてアンケート結果です。作品編出演者編その他編特別集計2024年○○○※2023年○○○※2022年○○○...
当ブログ実施!青春アドベンチャー全作品対象アンケートの結果一覧
当ブログで実施した全作品対象アンケートの結果一覧リスナー格付け随時実施している各作品のリスナー格付けの投票状況はこちらです。2022年実施全作品アンケート青春アドベンチャーの30周年にそれまで放送された全作品を対象に実施したアンケートの結果...

■2023年の放送作品
2023年に青春アドベンチャーで放送された作品を一覧にした記事は以下のとおりです。

2023年の青春アドベンチャー一覧
【2023年放送の青春アドベンチャー総括】2023年に青春アドベンチャーで放送された作品の一覧です。2023年は新作14作品、再放送13作品と、新作と再放送が拮抗した年でした。新作の放送回数が少なかった新作のうち5作品が全5回の短い作品で、...

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