【なんでもベストテン⑤】最も採用されている原作者(その1)
前回の「原作と作」から、またしてもしばらく時間が空いてしまいました。
久しぶりの何でもベストテンです。
今回は青春アドベンチャーの原作者について調べてみたいと思います。
原作作品のみのランキング
青春アドベンチャーでは一部にオリジナル脚本の作品もありますが、小説等を原作とする作品が約75%以上を占めています(原作付き作品とオリジナル作品の分析についてはこちらの記事をご参照下さい)。
今回の「なんでもベストテン」はこの原作付きの作品を整理して、採用されている作品が多い原作者のベストテンを発表したいと思います。
ちなみに上記の記事で紹介していますが、実はオリジナル作品の「作」を含めると、青春アドベンチャー向けに最も多くの作品を書いているのは脚本家の藤井青銅さんです。
ただし、今回はあくまで「原作」扱いの作品のみの集計とします。
そのため、藤井さんの作品は、もともと存在した藤井さん自身の原作小説をラジオドラマ化した3作品以外はランク外となりました。
藤井さんは殿堂入りと言うことでご理解下さい。
帯番組のみ
また、基本的に平日に15分又は10分の帯で放送された作品だけを対象としており、作品内容が青春アドベンチャーっぽい作品であっても、1時間単位などで単発又は数回で放送された作品は除外しています。
そのため、例えば既に紹介した作品ですが、30分の帯で放送された「アルジャーノンに花束を」は除外しました。
逆に、例えば「いつか猫になる日まで」は「SFファンタジー」という冠で放送されましたが15分の帯番組でしたので対象としています。
(※:「ふたりの部屋」及び「カフェテラスのふたり」の扱いと記事の大幅加筆については末尾の追記をご参照ください。)
シリーズは1作品扱い
そして、今回重要なルールをひとつ設定しました。
「最多放送回数シリーズ」特集で書いたように、青春アドベンチャーには数作品・何十話にも及ぶ超長期のシリーズ作品が複数存在します。
この状況で、単純に作品数・放送話数で比較すると、「最多放送回数シリーズ」特集のベストテンとほとんど同じ結果になってしまいます。
そこで今回の集計では、シリーズものは何作品あろうとも、何十話もあろうとも、単純に1作品扱いすることにしました。
ただし、特に古い作品は同じシリーズの作品なのかそうでないのか、よくわからないものがあります。
間違いもあろうかと思いますので、お気づきの際はご指摘頂ければ幸いです。
いずれにしろ、これによって一気にランキングは混沌としてきました!
なお、本記事は原作者さんの人名がたくさん出るので一部、敬称略としています。ご了承下さい。
お待たせしました、第31位からスタートです
さて、例によって前置きが長くなりましたが、それではスタートします。
まずはベストテンに入らなかった、2作品(2シリーズ)採用されている原作者さんです(お名前は50音順です)。
ちなみにこの方々の順位は23位タイということになります。
(SA=青春アドベンチャー、SY=サウンド夢工房、AR=アドベンチャーロード、FA=FMアドベンチャー、CH=カフェテラスのふたり、HH=ふたりの部屋)
◆第31位(タイ)2作品
- 有川浩(三匹のおっさん(SA)、旅猫リポート(SA))
- アレクサンドル・デュマ(モンテ・クリスト伯(SA)、三銃士(SA))
- 池澤夏樹(氷山の南(SA)、南の島のティオ(SA))
- 五木寛之(青年は荒野をめざす(HH)、ヤヌスの首(AR))
- イッセー尾形(イッセー尾形のたゆたう人々(SA)、イッセー尾形のたまゆら日記(SA))
- 伊藤海彦(「旋律と風景」から 遠くて近い青春(HH)、走る歌(HH))
- 岩本隆雄(イーシャの舟(SA)、星虫(SA))
- 楳図かずお(漂流教室(AR)、わたしは真悟(SY))
- 大沢在昌(アルバイト探偵シリーズ(AR)、新宿鮫・氷舞(SA))
- 逢坂剛(カディスの赤い星(AR)、あでやかな落日(SA))
- 岡田淳(二分間の冒険(SA)、びりっかすの神さま(SA))
- 小川一水(イカロスの誕生日(SA)、時砂の王(SA))
- 景山民夫(遠い海から来たCOO(AR)、遥かなる虎跡(AR))
- 梶尾真治(サラマンダー殲滅(SY)、つばき、時跳び(SA))
- 菊地秀行(風の名はアムネジア(AR)、インベーダー・サマー(AR))
- 北方謙三(危険な夏(AR)、檻(AR))
- 小林信彦(ちはやふる奥の細道(HH)、背中あわせのハート・ブレイク(SY))
- 近藤史恵(さいごの毛布(SA)、昨日の海は(SA))
- 佐藤多佳子(一瞬の風になれ(SA)、しゃべれどもしゃべれども(SA))
- 斉藤洋(シュレミールと小さな潜水艦(SA)、白狐魔記シリーズ(SA))
- 椎名誠(さらば国分寺書店のオババ、かつをぶしの時代なのだ(HH)、気分はだぼだぼソース-日本の異様な結婚式について(HH))
- 柴田よしき(小袖日記(SA)、レッドレイン(SA))
- 志水辰夫(あっちが上海(FA)、背いて故郷(AR))
- ジャック・ヒギンズ(暗殺のソロ(AR)、鷲は舞い降りた(SA))
- ジュール・ヴェルヌ(アドリア海の復讐(SA)、皇帝の密使(AR))
- 須賀しのぶ(帝冠の恋(SA)、また、桜の国で(SA))
- 田中渉(ウォーターマン(SA)、シブちゃん(SA))
- 田辺聖子(夜あけのさよなら(HH)、くどきのテクニック教えます(CH))
- 辻真先(韓国・鉄道・グルメの旅(CH)、時はそよ風、時はつむじ風(AR))
- 都筑道夫(男の女の殺人百科(HH)、にぎやかな悪霊たち(SY))
- 豊田有恒(夢の10分間(HH)、カルチャー戦争(HH))
- 成井豊(サンタクロースが歌ってくれた(SA)、あたしの嫌いな私の声(SA))
- 南里征典(密林よ熱き獣を誘え(FA)、黄金海峡(SA))
- 花井愛子(夢の旅(AR)、夢行き階段(SY))
- 葉室麟(蜩ノ記(SA)、あおなり道場始末(SA))
- 林真理子(花より結婚きびダンゴ(HH)、映画みたいな恋したい(SY))
- 東野圭吾(虹を操る少年(SA)、分身(SA))
- 船戸与一(山猫の夏(AR)、夜のオデッセイア(AR))
- 別役実(虫づくし(HH)、真説・動物学体系(HH))
- 堀川アサコ(幻想郵便局(SA)、予言村の転校生(SA))
- マイクル・クライトン(スフィア(SA)、ジュラシック・パーク(SA))
- 増田俊也(七帝柔道記(SA)、北海タイムス物語(SA))
- 眉村卓(夏の朝夢を見てしまった(HH)、眉村卓のショート・ショート(HH))
- 三浦哲郎(娘と私の時間(HH)、林檎とパイプ(HH))
- 宮部みゆき(蒲生邸事件(SA)、今夜は眠れないシリーズ(SA))
- 村山由佳(おいしいコーヒーのいれ方シリーズ(SA)、エンジェルス・エッグ(SA))
- 森絵都(DIVE!!(SA)、カラフル(SA))
- 矢野徹(折紙宇宙船の伝説(HH)、カムイの剣シリーズ(FA・AR))
- 山川健一(壜の中のメッセージ(HH)、サンタのいる空(HH))
- ロバート・ウェストール(海辺の王国(SA)、クリスマスの幽霊(SA))
補足①:岩本隆雄さん
岩本隆雄さんは「星虫」と「イーシャの舟」とで2作品ですが、この2作は関連のある作品ですので1作とカウントすべきかも知れません。この辺は微妙なところです。
補足②:外国作家
そのほか、全般的にみると、番組が放送された1980年代から2010年代までのそれぞれの時期の日本の人気作家さんが並んでいます。
ちなみに外国作家の方々が並んでいるのは主としてここまででして、これ以上の上位には外国作家が非常に少なくなってしまいます。
「五番目のサリー」のダニエル・キイスは、冒頭の条件設定の結果「アルジャーノンに花束を」が抜けてしまったのでランキング外となりました。
そのほか、SF小説のクラーク(渇きの海)やハインライン(夏への扉)、刑事小説のエド・マクベイン(警官嫌い)などの各分野の大家も1作ずつでありランク外に留まりました。
補足③:大家の作品
大家という意味では井上靖(おろしや国酔夢譚)、小松左京(闇の中の子供)、西村京太郎(名探偵なんか怖くない)、手塚治虫(やけっぱちのマリア)、山田風太郎(妖異金瓶梅)などの日本の各ジャンルの大家も1作どまりです。
もちろん例外はありますが、青春アドベンチャーの制作陣が、古典でもなく超人気作でもない微妙なところを狙っていることが窺えます。
補足④:長編シリーズとの関係
なお、「超長篇シリーズ」の記事で上位に入っていた「おいしいコーヒーのいれ方」の村山由佳さんがこの29位タイに入っています。
「おいコー」以外のもう一作の村山さん原作作品は「エンジェルス・エッグ~天使の卵」です。
上記の条件設定のお陰?で、「最多放送回数シリーズ」特集のトップテンに入った作品の原作者で、今回のランキングに入っている方は村山さんともう1名しかおりません(もう一人は後日ご紹介します)。
超長篇に採用された原作者さんはそれ以外の作品は採用されづらい、というのは青春アドベンチャーの意外なジンクスなのかも知れません。
例によって長くなってしまったので、肝心の3作品以上が採用されている作家さんのランキングは(その2)に続きます。
(2022/7/30追記)
最初にアップした2013年2月以降も、新しく2作品目が採用される作家さんが出てくるたびに書き加えてきたこの記事ですが、2022年7月に大幅に加筆しました。
具体的には、当初、この記事では「ふたりの部屋」及び「カフェテラスのふたり」を対象外としていました。
詳細が分からないというのがその理由でしたが、その後、「ふたりの部屋」のスタートが1978年の「銀河鉄道999」とはっきりしたこと、その他の作品もタイトルだけは概ね分かったことから両番組の作品を加えて再整理しました。
まだ不明な点も多いので不十分な点もあろうかと思います。
間違い等ありましたらご指摘ください。
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