青春アドベンチャーに最も多くの楽曲を提供した作曲家

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【なんでもベストテン11】青春アドベンチャーにオリジナル音楽を提供した作曲家ランキング

今回はNHK-FMのラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」に最も多くの音楽を提供している作曲家をランキング形式で紹介します。

オリジナル音楽は少数派

青春アドベンチャーという番組は、通常、2週間で1つという極めて速いペースで作品を放送します。
そのため、オリジナルのテーマ曲や劇伴をつくることは少なく、既存の曲を選曲して使用することが多い番組です。
ただ、中には音楽がオリジナルの作品もあり、近年はそれが増える傾向にあります。
そして、このようなオリジナル音楽を手掛けた作曲家さんのなかには複数の作品に楽曲を提供している方もいらっしゃいます。
今回はそのランキングです。

2002年以降の作品を集計

なお、今回の集計対象は青春アドベンチャーの中でもNHK公式ホームページにデータが残っている2002年以降、2024年2月の「火星ダーク・バラード」までを対象とします。
それ以前もある程度は分かっているのですが、どうしても漏れが発生してしまうため、今回は公式HPで確認できる範囲としました。
ご容赦ください。
また、シリーズものは1作品としてカウントします。
これをしないと例によって、あのシリーズが集計をゆがめてしまうためです。
一部敬称略です。

さて、まずは17位タイからです。

第18位タイ:1作品を担当された方

14人が同数で並んでいます。
BANANAさんは、今回の特集の集計期間外ですが、他に「レッドレイン」などの音楽も担当していますし、「アドベンチャーロード」時代に遡れば「ロスト・タイム」も担当されており、名古屋局の作品では割と頻繁に登場されていました。
なお、久保こーじさんは「音楽」ではなく「劇中音楽作曲」と紹介されましたが、久保さんの音楽なしでは成り立たない作品ですので、ここに含めました。
また、AViAさんも「ラップ音楽」とされていますが、同様の理由から含めました。
一方、「予言村の転校生」における黒田賢一さんは「選曲・作曲」とされ、一部の劇中歌を作曲されているようですが、選曲メインと考えここには入れていません(「初恋ドキン」、すばらしかったですけどね)。
その他、テレビゲーム「クロノ・トリガー」、「ゼノギアス」などの音楽で有名な光田康典さんなどがここに含まれています。
田頭勉さんの「サマルカンド年代記」の音楽は、CD化され発売されるという青春アドベンチャー珍しい展開がなされました。
過去にまで遡れば、細野晴臣さんが関与された「マージナル」が音楽CDになっていますが、近年ではかなり珍しい例だと思います。
谷川賢作さんは御父上である谷川俊太郎さんの詩をフューチャーした作品で音楽を担当されています。

第14位タイ:2作品を担当された方

梶本芳孝さんは長編シリーズを担当されているため、作品数を単純に数えるとほぼ最上位になるのですが、「シリーズ物は1作品扱い」というルールにより、この順位になりました。
「七帝柔道記」では音楽担当としておかもとだいすけさんと川崎良介さんのおふたりがクレジットされていましたので、おかもとだいすけさんは厳密には「1.5作品」の担当ということになります。
2019年に「ぱきゅん」が放送されて木原健太郎さんがここに加わりました。
また、2020年、2021年に「~うた絵巻」というタイトルの2作品で音楽を担当された「まきりか」さんは、同時に脚本も担当されています。

第13位タイ:3作品を担当された方

堀口純香

「さよなら、田中さん」、「北海タイムス物語」と現在日本を舞台にした良作を続けて彩った堀口純香さん。
3作品目「まるみちゃんとうさぎくん」はファンタジー要素のある作品でとてもやさしい楽曲でした。
なお、「北海タイムス物語」は川崎良介さんと堀口純香さんのおふたりがクレジットされていましたので厳密には「2.5作品」の担当ということになります。

第10位タイ:4作品を担当された方

和田貴史

SF、ミステリー、サスペンスと毛色の違った、でも青春アドベンチャーらしい作品に楽曲を提供。
ステップを聴かせて」などFMシアターの作品も多数制作されています。


坂東邑真

坂東邑真さんは2016年~2017年にかけて2作品を続けざまに担当されていたのですが、2019年、2021年に1作品ずつ加わり、合計4シリーズ(5作品)になりました。
今後の活躍が楽しみです。


川崎良介

増田俊也さんの原作作品と古内一絵さん原作作品だけで合計4作品担当されています(「風の向こうへ駆け抜けろ」と「蒼のファンファーレ」は同一シリーズ)。
ただし、「七帝柔道記」はおかもとだいすけさんと、「北海タイムス物語」は堀口純香さんと共同名義なので、暫定8位といったところでしょうか。

第8位タイ:5作品を担当された方

山本清香

多くのCM曲や劇伴を制作されている山本清香さんが初起用されたのは2011年の「サバイバル」。
その後、スピード感がウリの「小惑星2162DSの謎」、荘厳な?「タイムライダーズ」、ファンタジックで少しミステリアスな雰囲気の「ニコルの塔」や「クラバート」とタイプの違う作品で巧みな作曲をされています。
「ニコルの塔」のテーマ曲は以下で聞くことができます。
(外部サイト)https://soundcloud.com/sayaka_yamamoto/nicole


小林洋平

東京理科大学宇宙物理学研究室出身の異色の音楽家・小林洋平さん。
青春アドベンチャーで担当したのは上記の4作品だけですが、「飛ばせハイウェイ、飛ばせ人生」、「星を掘れ!」などFMシアター・特集オーディオドラマでは非常の多くの作品の音楽を担当されています。
その他、「夕凪の街 桜の国2018」などのTVドラマ、国際報道2020などの報道番組など、NHKと縁の深い方です。
なお、「滅びの前のシャングリラ」はテーマ音楽のみの担当です。

第6位タイ:6作品を担当された方

関向弥生

関向弥生さんの初担当作は「カムパネルラ」。
宮沢賢治風の舞台をファンタジックな音楽で彩りました。
その後、2021年、2022年とオリジナル脚本作品の劇伴を担当されています。
特に2022年は2作品も担当されています。


内山修作

内山修作さんは恐らくカプコンの「バイオハザード」の作曲家の方だと思うのですが、上記で挙げた作品のうち、「ハッピーバースデー」は「内山周作」名義です。
ひょっとしたら違う方なのかもしれません。
ちなみに、「DINER」以外は「バイオハザード」とは全く違った性格の作品です。

第4位:7作品を担当された方

森悠也

森悠也さんはNHKドラマ「ROMES/空港防御システム」やTVアニメ「生徒会役員共」(2010年、2014年)の劇伴も担当されている方。
青春アドベンチャーでは2013年以降、7作品を担当され、最近はSF作品を担当することが多いようです。


山下康介

「山下康介さんが音楽を担当されている作品に外れなし」
私にとって、青春アドベンチャーで今一番のジンクスがこれであり、実際、上記の作品はすべて良作。
これは単なるジンクスというより、作品の質に山下さんの音楽が確かに貢献しているからだと感じます。
なお、「風神秘抄」についてはすべてが山下さんのオリジナル曲ではなく、演出の藤井靖さんによれば「劇中曲(草十郎の笛、糸世の歌、万寿姫の琴の音色)が山下康介さんオリジナル。そのほかのBGMは、伊藤守恵さんの選曲。」とのことです。

第3位:9作品を担当された方

澁江夏奈

東京音楽大学在学中より劇伴作家として活動されている澁江夏奈さんですが、2013年の「僕たちの宇宙船」で青春アドベンチャーデビューして以降、急速に採用数が増えて、採用作品が有数に多い作曲家さんになりました。
「あなたがいる場所」以外はすべて青春アドベンチャーオリジナル脚本の作品で、特に樋口ミユさん作品は「僕たちの宇宙船」、「ニコイナ食堂」、「ギルとエンキドゥ」と3作品連続して担当されています。
個人的には効果音や演技と一体となった迫力ある演出の「人喰い大熊と火縄銃の少女」、全編ミュージカル風で歌が満載の「走れ歌鉄!」が印象的です。

第2位:11作品を担当された方

川田瑠夏

2014年放送の「あたたかい水の出るところ」で初起用された川田瑠夏さんは、NHK-Eテレの「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」の劇伴を担当されていた方です。
青春アドベンチャーでも最近、起用が多くなっています。
現代日本を舞台にした「あたたかい水の出るところ」、「シブちゃん」、「ベルリン1989」、タイムトラベルものの「晴れたらいいね」、「つばき、時跳び」、「月下花伝 時の橋を駆けて」のほか、大正期の日本を舞台にした「ヨコハマ・ジャスミンホテル」や19世紀や20世紀の外国を舞台にした「白銀騎士団 シルバー・ナイツ」や「ウィル」も担当されています。
なぜか美山加恋さん出演作品が多い!

第1位:16作品を担当された方

日高哲英

日高哲英さんの特徴は過去を舞台とした作品ばかりを担当されていること(「タランの白鳥」を「過去を舞台」といえるかは微妙なところではありますが)。
すべては藤井靖さんの演出作品ですので、意図して採用されているのだと思います。
「白狐魔記」は青春アドベンチャーでも有数の長期シリーズですので、何度も聞いているうちにメロディを覚えてしまいます。

まとめ

ということで、日高哲英さんが単独の1位となりました。
ただし、この辺の順位は頻繁に入れ替わるので、大体のランキングと思っていただければ幸いです。

増加して欲しい

冒頭に述べましたが下表(2002年~2015年)からもわかる通り、近年、オリジナル音楽の作品が増えつつあります。
これは、アドベンチャーロード時代から長い間、この番組とともにあった名選曲家・伊藤守恵さんの逝去と軌を一にしているようにも見えます(完全な推測ですが)。
もちろん、オリジナルでなくとも雰囲気ドンピシャの音楽がもってこれればそれで十分ではあるのですが、やはりオリジナル音楽は作品にあっているものが多いと思います。
何より今後の音源のオンデマンド化を考えると、音楽はオリジナルであった方が良いと思います。
NHKからの対価が作曲家の苦労に見合うものであるのかはとても気になるところではあるのですが、是非、制作者側も作曲家側も青春アドベンチャーのオリジナル音楽に挑戦していただきたいものです。

新作におけるオリジナル音楽割合

2002年以降の新作におけるオリジナル音楽の割合は以下のとおりです。
徐々に増える傾向があるようです。

放送年 割合
2002年 6.7% (1/15)
2003年 13.3% (2/12)
2004年 0.0% (0/9)
2005年 11.1% (1/9)
2006年 38.9% (7/18)*
2007年 13.3% (2/15)
2008年 12.5% (1/8)
2009年 10.0% (1/10)
2010年 27.3% (3/11)
2011年 17.6% (3/17)
2012年 21.4% (3/14)
2013年 37.5% (6/16)
2014年 31.3% (5/16)
2015年 44.4% (8/18)
2016年 53.3% (8/15)
2017年 62.5% (10/16)
2018年 87.5% (14/16)
2019年 61.1% (11/18)
2020年 64.3% (9/14)
2021年 44.4% (8/18)
2022年 58.8% (10/17)

*おいしいコーヒーのいれ方4作品を含む


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